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火の都サラマン激突編
206話 白雪の修行 後編
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あらゆる鍛錬を一週間ほど続け、ついに修行は次の段階に入った。
白雪に連れて来られたのは――連なりの巨塔をさらに北上した山中、モンスターが大量に生息するエリアだった。
崖下には角が3本生えたイノシシ、この形状には見覚えがある。
ここ最近、ずっと白雪といたため、その強気な性格上――なにをたくらんでいるか大体の予想は付く。
絶対に、あのモンスターを狩ってこいの一択に違いない。
「そういえば、僕に構ってばっかりだけど協議の方は進んでるの?」
「安心しろ。妾の分身体が順調に進めている」
分身、体? なにそれ、初耳すぎる。
「魔力を分離させているのだ。長く生きたドラゴンの大半は――"変質"というスキルを持っている。今の妾のよう人間に変化したり、それくらいは容易いことだ」
「ライカの分身と似た感じかなぁ?」
ライカが分身を発動――5人に増える。
以前、鈴華姫とジャンケン勝負した時は3人だったはずだが、ライカの分身数に上限はあるのだろうか。
白雪も同じことが気になったのか、
「……ライカ、貴様は全てが規格外が故にもう驚かないと決めていたが、分身を見た限りどれも本体に近しいぞ」
「ライカすごい、すごいー?」
「素直にすごすぎる。妾とて分身は2人が限界だ。魔力の配分を少なくすると、形状が保てず粒子となって霧散してしまうからな」
白雪が称賛しながら、何気なく質問をする。
「ちなみに、貴様の分身数の限界はどれくらいだ?」
「本気だしたら100くらいかなぁ」
「は?」
「無理しすぎると、魔力の欠乏症で倒れちゃうからやらないけどねぇ」
「100なんて数を魔力操作できるのか?」
「ライカの"禁術"シリーズの一つに――"神詠"ってのがあるんだよ。このスキルを発動した次の忍術は効果が激増するんだぁ」
ライカは証明するべく、忍術発動の態勢に入り、
「"禁術"――あ、駄目ダメっ! ライカ、クーにぃと約束してるの。禁術シリーズは使用するの禁止っだって」
ん? 僕は口寄せの術だけ禁止と言ったはずだ。
でも待て、このまま――勘違いさせておく方がいいかもしれない。別の禁術もどんな副作用があるかわからない。
約束を守って良い子だねと、僕はライカの頭をなでる。
ライカは目を細めながら、嬉しそうに僕に抱き付き、
「えへへ。ライカは良い子っ!」
「クーラ、貴様――明らかに自分より強い存在に命令するとは大物か? それを受け入れているライカもよくわからないぞ」
白雪は大きく首を傾げながら、
「いや、しかし、それが人間か――強いものだけが上に立つわけではない。他の要素も取り合わせた結果、双方が納得する関係が構築されるわけか。力だけのドラゴンの世界とは全く違うな」
「白雪も勉強になるねぇ」
「ライカの言う通りだ。共存の道を歩むなら、時代に沿った人間のルールもしっかり覚えておくべきことだろう。協議する上での参考にしよう」
白雪はしっかりと、今後のこと――未来のことを考えてくれている。
加えて、僕の世話までしてるとなっては頭が上がらない。
僕も僕で――白雪の気持ちに正面から応えるのが筋というものだ。
「白雪、僕も強くなるよ。遠慮せずビシバシ修行を付けてほしい」
「やっとやる気をだしてくれたか。それじゃ、早速行って来い――下のモンスターを殲滅させるまで帰ってくるんじゃないぞ」
白雪が笑顔で僕を崖から――蹴落とす。
前言撤回、もう少し優しくしてほしいと言うべきだった。
崖から落下する最中、僕は後悔し続けるのであった。
白雪に連れて来られたのは――連なりの巨塔をさらに北上した山中、モンスターが大量に生息するエリアだった。
崖下には角が3本生えたイノシシ、この形状には見覚えがある。
ここ最近、ずっと白雪といたため、その強気な性格上――なにをたくらんでいるか大体の予想は付く。
絶対に、あのモンスターを狩ってこいの一択に違いない。
「そういえば、僕に構ってばっかりだけど協議の方は進んでるの?」
「安心しろ。妾の分身体が順調に進めている」
分身、体? なにそれ、初耳すぎる。
「魔力を分離させているのだ。長く生きたドラゴンの大半は――"変質"というスキルを持っている。今の妾のよう人間に変化したり、それくらいは容易いことだ」
「ライカの分身と似た感じかなぁ?」
ライカが分身を発動――5人に増える。
以前、鈴華姫とジャンケン勝負した時は3人だったはずだが、ライカの分身数に上限はあるのだろうか。
白雪も同じことが気になったのか、
「……ライカ、貴様は全てが規格外が故にもう驚かないと決めていたが、分身を見た限りどれも本体に近しいぞ」
「ライカすごい、すごいー?」
「素直にすごすぎる。妾とて分身は2人が限界だ。魔力の配分を少なくすると、形状が保てず粒子となって霧散してしまうからな」
白雪が称賛しながら、何気なく質問をする。
「ちなみに、貴様の分身数の限界はどれくらいだ?」
「本気だしたら100くらいかなぁ」
「は?」
「無理しすぎると、魔力の欠乏症で倒れちゃうからやらないけどねぇ」
「100なんて数を魔力操作できるのか?」
「ライカの"禁術"シリーズの一つに――"神詠"ってのがあるんだよ。このスキルを発動した次の忍術は効果が激増するんだぁ」
ライカは証明するべく、忍術発動の態勢に入り、
「"禁術"――あ、駄目ダメっ! ライカ、クーにぃと約束してるの。禁術シリーズは使用するの禁止っだって」
ん? 僕は口寄せの術だけ禁止と言ったはずだ。
でも待て、このまま――勘違いさせておく方がいいかもしれない。別の禁術もどんな副作用があるかわからない。
約束を守って良い子だねと、僕はライカの頭をなでる。
ライカは目を細めながら、嬉しそうに僕に抱き付き、
「えへへ。ライカは良い子っ!」
「クーラ、貴様――明らかに自分より強い存在に命令するとは大物か? それを受け入れているライカもよくわからないぞ」
白雪は大きく首を傾げながら、
「いや、しかし、それが人間か――強いものだけが上に立つわけではない。他の要素も取り合わせた結果、双方が納得する関係が構築されるわけか。力だけのドラゴンの世界とは全く違うな」
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「ライカの言う通りだ。共存の道を歩むなら、時代に沿った人間のルールもしっかり覚えておくべきことだろう。協議する上での参考にしよう」
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加えて、僕の世話までしてるとなっては頭が上がらない。
僕も僕で――白雪の気持ちに正面から応えるのが筋というものだ。
「白雪、僕も強くなるよ。遠慮せずビシバシ修行を付けてほしい」
「やっとやる気をだしてくれたか。それじゃ、早速行って来い――下のモンスターを殲滅させるまで帰ってくるんじゃないぞ」
白雪が笑顔で僕を崖から――蹴落とす。
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崖から落下する最中、僕は後悔し続けるのであった。
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