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火の都サラマン激突編
219話 ウィンディア・ウィンド奪還戦 その1
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爆発音、白雪が空中戦艦の装甲を貫く。
異常な魔力を持つものが点在する箇所、中枢辺りに狙いを付けて――僕たちは内部に侵入した。
雑魚に用はない。
突然の襲撃者に、艦内は混乱状態を極めていた。それもそのはず、上空に攻撃を仕掛けて来るものがいるなど――想像もしていなかったのだろう。
僕の作戦はただ一つ、この空中戦艦を指揮するボス――司令官を殺す。
眼前には赤い薔薇のような尖った鎧をまとった小柄な人物、その周囲には兵士が何人か立っている。突入した箇所は大当たり――火の都サラマンにて、赤い鎧をまとえるのは将軍クラスの地位を持つものだけだからだ。
そして、この鎧の形状には――見覚えがある。
「あなたが、クーラというわけね」
「炎花の女将軍『ヒオウ』だろう」
被せるよう、僕は言い返す。
僕のことを知っている、なんて――今さら驚きもしない。
火の都サラマンにいる兵士全員が情報を共有していてもおかしくはないからだ。
ヒオウの反応から察するに、フレイムドルフは僕が来ることも――予想の範疇だったに違いない。
「……プレイヤー」
ヒオウが呟く。
「フレイムドルフ様がおっしゃっていた通りなのね。見たこともない相手が自分のことを知っている――気持ち悪い存在だわ」
「悪いけれど、君の感想なんてどうでもいい」
僕は戦闘態勢を取る。
今この瞬間にもナコの痛みが奴隷輪から伝わって来る。
この場を制圧してナコの居場所を聞き出すのが――最善と考える。
「動くな、侵入者っ! それ以上ヒオウ様に近付――ぎゃばぽぃっ!!」
艦内に響く断末魔、兵士たちが爆散する。
歯向かうやつは問答無用、すでに触手は通していた。
周囲には炎花の女将軍ヒオウのみ――明らかな劣勢に陥りながらもヒオウが笑みを浮かべる。
「くふふ。フレイムドルフ様は嬉しそうに話していたわ」
「……嬉しそうに?」
「触術師クーラは絶対に我が前に立ち塞がる、とね。さすが、フレイムドルフ様だわ。惚れ惚れするくらいに先を見通す力――先見の明があるっ! ああ、私のことも言葉にしてくれないかしら、それだけで私の身は喜びで灰になってしまうっ!!」
ヒオウが身をくねらせる。
「フレイムドルフ様のため、フレイムドルフ様のため、フレイムドルフ様のためにぃいいいいっ! 私は全てを捧げて燃やして、フレイムドルフ様に逆らう敵を葬り去ってみせますからぁあああああっ!!」
狂信者。
ゲーム時の設定通りの人格ではあるが、実際に目の前で見ると――どれだけ狂っているかがひと目で理解できる。
「どうして私を差し置いて、差し置いて、差し置いてっ! こんな触手を使うだけしか脳がない気持ち悪い女のことなど――フレイムドルフ様、考えないでくださいなぁあああああああっ!!」
その異常な姿に、白雪もライカも唖然としている。
「師匠、ライカ、お願いがある」
「な、なになにぃ? ヤバい人見ちゃった感が強くて固まっちゃってたよぅ」
「横に同じくだ。こういう輩は相手にしたくない」
「ヒオウは僕がやる。二人には――ナコの捜索をお願いしたい」
「確か、黒猫ちゃんだよねぇ?」
「お願いできるかな」
「うんっ! ライカに任せてぇっ!!」
力強く頷くライカ、白雪は真剣な表情にて、
「クーラ、死ぬなよ。フザけたやつだが――強い」
「ああ。油断はしない」
今、ウィンディア・ウィンド奪還戦が始まる。
異常な魔力を持つものが点在する箇所、中枢辺りに狙いを付けて――僕たちは内部に侵入した。
雑魚に用はない。
突然の襲撃者に、艦内は混乱状態を極めていた。それもそのはず、上空に攻撃を仕掛けて来るものがいるなど――想像もしていなかったのだろう。
僕の作戦はただ一つ、この空中戦艦を指揮するボス――司令官を殺す。
眼前には赤い薔薇のような尖った鎧をまとった小柄な人物、その周囲には兵士が何人か立っている。突入した箇所は大当たり――火の都サラマンにて、赤い鎧をまとえるのは将軍クラスの地位を持つものだけだからだ。
そして、この鎧の形状には――見覚えがある。
「あなたが、クーラというわけね」
「炎花の女将軍『ヒオウ』だろう」
被せるよう、僕は言い返す。
僕のことを知っている、なんて――今さら驚きもしない。
火の都サラマンにいる兵士全員が情報を共有していてもおかしくはないからだ。
ヒオウの反応から察するに、フレイムドルフは僕が来ることも――予想の範疇だったに違いない。
「……プレイヤー」
ヒオウが呟く。
「フレイムドルフ様がおっしゃっていた通りなのね。見たこともない相手が自分のことを知っている――気持ち悪い存在だわ」
「悪いけれど、君の感想なんてどうでもいい」
僕は戦闘態勢を取る。
今この瞬間にもナコの痛みが奴隷輪から伝わって来る。
この場を制圧してナコの居場所を聞き出すのが――最善と考える。
「動くな、侵入者っ! それ以上ヒオウ様に近付――ぎゃばぽぃっ!!」
艦内に響く断末魔、兵士たちが爆散する。
歯向かうやつは問答無用、すでに触手は通していた。
周囲には炎花の女将軍ヒオウのみ――明らかな劣勢に陥りながらもヒオウが笑みを浮かべる。
「くふふ。フレイムドルフ様は嬉しそうに話していたわ」
「……嬉しそうに?」
「触術師クーラは絶対に我が前に立ち塞がる、とね。さすが、フレイムドルフ様だわ。惚れ惚れするくらいに先を見通す力――先見の明があるっ! ああ、私のことも言葉にしてくれないかしら、それだけで私の身は喜びで灰になってしまうっ!!」
ヒオウが身をくねらせる。
「フレイムドルフ様のため、フレイムドルフ様のため、フレイムドルフ様のためにぃいいいいっ! 私は全てを捧げて燃やして、フレイムドルフ様に逆らう敵を葬り去ってみせますからぁあああああっ!!」
狂信者。
ゲーム時の設定通りの人格ではあるが、実際に目の前で見ると――どれだけ狂っているかがひと目で理解できる。
「どうして私を差し置いて、差し置いて、差し置いてっ! こんな触手を使うだけしか脳がない気持ち悪い女のことなど――フレイムドルフ様、考えないでくださいなぁあああああああっ!!」
その異常な姿に、白雪もライカも唖然としている。
「師匠、ライカ、お願いがある」
「な、なになにぃ? ヤバい人見ちゃった感が強くて固まっちゃってたよぅ」
「横に同じくだ。こういう輩は相手にしたくない」
「ヒオウは僕がやる。二人には――ナコの捜索をお願いしたい」
「確か、黒猫ちゃんだよねぇ?」
「お願いできるかな」
「うんっ! ライカに任せてぇっ!!」
力強く頷くライカ、白雪は真剣な表情にて、
「クーラ、死ぬなよ。フザけたやつだが――強い」
「ああ。油断はしない」
今、ウィンディア・ウィンド奪還戦が始まる。
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