転生したら倉庫キャラ♀でした。

ともQ

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エレメント正邪激闘編

362話 巡り合い繋がる手

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 かくかくしかじか、僕は後藤さんに全てを説明する。
 立ち話もなんなのでと思い、近くにあった茶店に場所を移した。僕はコーヒー、ナコと犬耳の子は炭酸ジュース、後藤さんはデラックスパフェを注文する。

 ぱぱ、パフェ――パフェ?
 偏見はよくないが、あまりにイメージと違いすぎる。あえて尋ねはしないが、甘いものがお好きなんだろうか。
 後藤さんはパフェを豪快に頬張りながら、

「ギルド対抗戦に出場してほしいってか。俺と散々殺し合いしといて、よくそんな話持ち掛けられたな」
「諦めます。ごめんなさい」
「クーラ、早すぎます。まだ答えを聞いていませんよ」
「だって、今にも襲い掛かってきそうな雰囲気なんだもん」
「落ち着いてください。後藤さんは――話せばわかってくれる方ですよ」

 えぇ、どこ情報?

「その子が言う通り、後藤は悪いやつじゃないの」

 ピコピコ。
 犬耳を揺らしながら――後藤さんの隣にいる子が口を開いた。フワリとした白毛、なんとも可憐な容貌をしており、ナコとは違った愛らしさを感じる。
 いや、よく見たら――この子、どこかで見た記憶がある。

「お姉様、お久しぶりなの」
「まさか、君は」
「あの時は、助けてくれて――ありがとうなの。またお姉様に会えて、イリスはとっても嬉しいの」

 イリスと名乗る少女が、柔らかな笑みを浮かべる。
 アクアニアスの奴隷商、救出したミミモケ族の一人である。確か、ミミさんと一緒にいた子だ。
 イリスは首元の奴隷輪を擦りながら、

「お姉様のおかげで、イリスは元気に生きているの」
「ひゃはっ、なんの因果か――たまたま拾ったやつが、ここで繋がりやがるのか。奴隷輪も特に反応しやがらねえし、主は馬鹿なんじゃねえかと思ってたぜ」

 後藤さんが愉快そうに言う。

「後藤、イリスは――お姉様に恩返しがしたいの」
「恩返し、か。それはお前が勝手に抱いてる感情じゃねえか。イリス、俺に付き合えって指図する気か?」
「指図じゃない。お願いしているの」

 後藤さんとイリスが睨み合う。
 数秒の沈黙、後藤さんがやれやれといった風にため息を吐く。
 後藤さんはガシガシと、イリスの頭を乱暴になでながら、

「飼い犬が世話になったとあっちゃあ――仕方ねえか」
「後藤っ!」

 イリスが後藤さんに飛び付く。
 ナコとイリスの言う通り、意外と後藤さんは――見た目と言葉遣いに反して、優しいのかもしれない。
 後藤さんは僕を真っ直ぐに見やり、

「触術師、名前を教えろ」
「クーラ」
「クーラ、今日からお前のギルドに一時的だが加入してやる。後藤とイリス両名、よろしく頼むぜ」

 あの日、せめぎ合った手と手は――今この瞬間、違う形で交差した。
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