転生したら倉庫キャラ♀でした。

ともQ

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エレメント正邪激闘編

361話 後藤さん

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「相変わらず、ストーンヴァイスは賑わっているね」

 素材の売買に関しては随一の国だろう。
 気になるアイテムはいっぱいあるが――目的は別にある。この人で溢れる広大なエリアの中、はたして発見できるのか否か。
 以前、酒場でラミュアが口にしていた。

『アクアニアスは剣聖と呼ばれるもの、ストーンヴァイスは銀髪眼帯の男と犬耳のミミモケ族が奮闘しているって話だ』

 フレイムドルフが、各国を攻めていた時である。
 僕たち以外にも、世界の理不尽に抗っているものがいた。
 剣聖の正体は僕の妹と判明したが、銀髪眼帯男とは間違いなく後藤さんだろう。

 コールディンとの一件以来、ストーンヴァイスは避けていると思っていたが、理由があって拠点地にしていた可能性もある。
 まだ、滞在してくれていることを――祈る。

「クーラ、後藤さんを見つけました」
「マジで?」
「あの目を引く姿は間違いないと思います」

 想像以上に一瞬であった。
 ナコと物陰に隠れながら、こっそりと様子を窺う。
 銀髪、眼帯、両腕に包帯、中二病の代名詞みたいなファッション――僕の記憶に合致する。

「一人、ミミモケ族を連れていますね」

 犬耳の女の子がいた。
 雪のように淡い白の毛並み、ピコピコと上下左右に尻尾を揺らしながら――後藤さんの後を小走りで付いて行っている。

 ……一体、どういった組み合わせなのか。

 それはさて置き、犬耳の女の子――歩幅を気にせず歩く後藤さんを、必死に追いかけている姿がとにかく愛らしい。

「か、可愛いすぎる」

 ポツリと、無意識に言葉が漏れた。
 その時、禍々しいオーラを感じ――視線を移すと、ナコが頬を膨らませながら僕を睨み付けていた。

「……」
「違うんだ、ナコ」
「なにが違うんですか?」
「今の可愛いは、子供の仕草的な意味合いであって――深い理由は一ミリもないんだよ」
「……私は、可愛くないですか?」
「ナコはめちゃくちゃに可愛いよ」

 僕は即答する。
 実際、ナコは誰もが振り向くほどの美少女だ。カメラ機能でキャラ作成をしたということで――もとの世界の容姿と変わらない。
 ホムラもまた同様なのだろう、姉妹揃って目を見張るレベルとなっている。
 ナコが疑うようジト目をしながら、

「……嘘っぽい」
「ど、どうしたら信じてもらえるかな」
「じゃあ、ナコ愛してるって100回言葉にしてください」
「あれ? 内容変わってない?」

 その時、僕たちに影が覆い被さる。

「おい、お前ら――隠れる気あんのか? ごちゃごちゃぐだぐだ、騒がしくって気付いちまっただろうが」

 目の前に後藤さんが立っていた。
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