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エレメント正邪激闘編
372話 ナコ日 その1
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ギルド対抗戦が2日後に迫る。
戦術、戦略、僕とナコは――特に作戦を練ることはしなかった。今日までずっと一緒に困難を乗り越えて来たパートナー、変に動きを制限するような縛りはいらないと判断したのだ。
当日まではゆっくり、ナコと過ごすことにする。
「クーラ、晩御飯はどうしますか?」
「んー、せっかく王都に来たから――どこか食べに行こうか」
「それも素敵なのですが、私が作っちゃうのはいかがでしょう」
「えっ? ナコの手料理?」
ナコが頬を赤らめ、毛先を指で弄りながら、
「く、クーラに、食べて欲しいなって」
「食べる」
僕は即答する。
愛らしさ溢れる仕草、こんなのもうイエス以外の選択肢って存在する?
まさかまさかの提案、なんやかんや今まで食べる機会は――なかった。
基本的には僕が料理好きということもあり、率先して作っていたのが原因だったりもする。
早速とばかり、ナコと共に食材の買い出しにでかける。
よくある王道のパターン。
激マズ料理がでてきたりする心配は――微塵もしていなかった。
なんでも卒なくこなすナコ、作る料理はすでに決まっているのか、お店での買い物に全く迷いがない。
卵、鶏肉、野菜、その他諸々、ナコが買い物袋に入れながら、
「私の家、両親が共働きでよく作っていたんです」
「ホムラに?」
「大正解です。ホムラお姉ちゃん、お家では一切動かず――グータラぐーたら、テレビのリモコンすら取ろうとしませんでした。私が注意をしたら泣きながら謝るのですが、次の日にはいつものホムラお姉ちゃんに戻っています」
その光景を思い出してか、ナコがげんなりとした顔をする。
ホムラと過ごした月日は、僕の方がナコより遥かに少ないけれど――ナコの言葉は全て真実だと理解できてしまう。
僕は2人のやり取りを想像しながら、
「あはは。ホムラらしいね」
「むぅ、笑いごとじゃありません。クーラもホムラお姉ちゃんと、ペルファリア大山脈で二人っきりになったという話でしたよね」
「そうだね。ライカ、ポンズと離れ離れになって――合流するまで一週間くらいは二人っきりだったかな」
「ホムラお姉ちゃん、迷惑かけませんでしたか?」
「非常時にチョコレート一枚1000万エドルって言い出した時、嘘か本気か掴みづらいから動揺しちゃったよね」
今となっては笑い話である。
だが、ナコ――家族にとってそうは受け取れなかったのか、ナコは怒りや悲しみの混じった複雑な表情を僕に向ける。
ナコは色々なものを凝縮させたようなため息を一つ、
「その部分は初耳でした。冗談も時と場所を選ぶべきと、ホムラお姉ちゃんを叱りに叱っておきますね」
「お、穏便に頼むよ」
ホムラ、ごめん。
僕、余計なこと言ったかもしれない。
戦術、戦略、僕とナコは――特に作戦を練ることはしなかった。今日までずっと一緒に困難を乗り越えて来たパートナー、変に動きを制限するような縛りはいらないと判断したのだ。
当日まではゆっくり、ナコと過ごすことにする。
「クーラ、晩御飯はどうしますか?」
「んー、せっかく王都に来たから――どこか食べに行こうか」
「それも素敵なのですが、私が作っちゃうのはいかがでしょう」
「えっ? ナコの手料理?」
ナコが頬を赤らめ、毛先を指で弄りながら、
「く、クーラに、食べて欲しいなって」
「食べる」
僕は即答する。
愛らしさ溢れる仕草、こんなのもうイエス以外の選択肢って存在する?
まさかまさかの提案、なんやかんや今まで食べる機会は――なかった。
基本的には僕が料理好きということもあり、率先して作っていたのが原因だったりもする。
早速とばかり、ナコと共に食材の買い出しにでかける。
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激マズ料理がでてきたりする心配は――微塵もしていなかった。
なんでも卒なくこなすナコ、作る料理はすでに決まっているのか、お店での買い物に全く迷いがない。
卵、鶏肉、野菜、その他諸々、ナコが買い物袋に入れながら、
「私の家、両親が共働きでよく作っていたんです」
「ホムラに?」
「大正解です。ホムラお姉ちゃん、お家では一切動かず――グータラぐーたら、テレビのリモコンすら取ろうとしませんでした。私が注意をしたら泣きながら謝るのですが、次の日にはいつものホムラお姉ちゃんに戻っています」
その光景を思い出してか、ナコがげんなりとした顔をする。
ホムラと過ごした月日は、僕の方がナコより遥かに少ないけれど――ナコの言葉は全て真実だと理解できてしまう。
僕は2人のやり取りを想像しながら、
「あはは。ホムラらしいね」
「むぅ、笑いごとじゃありません。クーラもホムラお姉ちゃんと、ペルファリア大山脈で二人っきりになったという話でしたよね」
「そうだね。ライカ、ポンズと離れ離れになって――合流するまで一週間くらいは二人っきりだったかな」
「ホムラお姉ちゃん、迷惑かけませんでしたか?」
「非常時にチョコレート一枚1000万エドルって言い出した時、嘘か本気か掴みづらいから動揺しちゃったよね」
今となっては笑い話である。
だが、ナコ――家族にとってそうは受け取れなかったのか、ナコは怒りや悲しみの混じった複雑な表情を僕に向ける。
ナコは色々なものを凝縮させたようなため息を一つ、
「その部分は初耳でした。冗談も時と場所を選ぶべきと、ホムラお姉ちゃんを叱りに叱っておきますね」
「お、穏便に頼むよ」
ホムラ、ごめん。
僕、余計なこと言ったかもしれない。
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