転生したら倉庫キャラ♀でした。

ともQ

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エレメント正邪激闘編

387話 ギルド対抗戦(予選) その11

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 ハッピーに亀裂が走る。
 それは、ナコの限界が近いことを告げていた。メイン武器同士のぶつかり合い、片方が砕け散ればどうなるかは明白――終わりの時は近かった。

 ニャニャンの考え方を、否定する気は一ミリもない。

 少数を犠牲にして多数を救う可能性があるのなら、より多くの命を救える可能性があるのなら――選択としては正解なのだろう。その場の状況判断、命の重さだけを天秤に掛けられるニャニャンをすごいとも思う。
 だが、僕は――根本的に違うのだ。

「ニャニャン、ごめん」
「まあ、ソラにゃんなら――そう言うと思ってたのね」
「ああ。僕は行く」

 目の前で大切な仲間が死ぬ瞬間を、黙って見ていることなどできない。
 僕はナコと黒騎士の間に割って入る。
 ニャニャンとの一戦、傀儡糸を行使したことによる反動、僕の余力はほとんど残っていない。
 ならば、絞りカスまで――抗い尽くせ。

「傀儡糸」

 さらに、重ね合わせる。
 ナコのハッピーが砕け散った瞬間、その生と死の境目に僕は滑り込んだ。両拳を大剣に押し当て――ナコの前に立つ。
 さすが、古代の武器――簡単には壊れなかった。

「クーラっ?! どうしてっ!?」
「……ナコ、すごいな。こんな、一撃を、防いでくれていたのか」
「私が聞いているのは、そんなことじゃありませんっ!」
「頑張りを無駄にして――ごめん。だけど、僕は君の命を糧に、自分の命が助かったとしても嬉しくないんだ」

 どうせなら、君と共に――死ぬ。

「あんた、猫ちゃんの飼い主か」
「そうだ。申しわけないけれど、あんまり虐めないでくれるかな。話が通じるのなら、退いてくれるとありがたい」
「あんたもプレイヤーだろう。今はギルド対抗戦の真っ只中、障害になりそうなものは徹底的に排除するのが常、退くと思うか?」
「だから、お願いしているんだ」
「くっく、ははっは。素直すぎるだろ――面白いやつばっかだな。その願い、一考してやってもいい」

 黒騎士が豪快に笑いながら、

「俺っちのこの一撃、耐え抜けたらな」

 ズシリと。
 世界が大きく揺れ動いたような感覚、僕の全身から――血が噴き出した。
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