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エレメント正邪激闘編
390話 ギルド対抗戦(予選) その14
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「"霞の紋"を付与する」
まず、琴葉が動いた。
以前王都の立ち合いにて、ゴザルを圧倒していただけあって――繊細で鋭い。特段速いというわけではないのだが、敵の隙間を縫う特徴的な動きをしている。
目で追えているつもりが、コマ送りのように見失う瞬間があった。
驚くべきは紋章の使い方である。
本来ならば"霞の紋"は敵に付与、視界を曇らせて命中率を下げるスキルだ。その対象を自分自身にすることで、琴葉の身体が白い霧のようなものに包まれている。
スキルの創意工夫、琴葉の猛攻は終わらない。
「"重の紋"を付与、付与、付与」
攻撃の都度、剣に紋章を重ねていく。
この"重の紋"は敵の動きを遅くするもの、その対象を剣に――驚くべき破壊力の一撃を生み出していた。
ディアゴの重厚な鎧が削れていく。
「あんた、やるじゃないか」
「デカブツなだけあって――当てやすいよねっ!」
「くっく、はっはっはっ! 大口叩くだけはある。こういう強いやつが、たまにでてくるから面白い」
「あっははっ! 中身引きずり出して大地にキスさせてやるよっ!!」
激戦を見守る最中、ナコが僕の頬を優しくなでながら、
「クーラ、回復が終わりました」
「ありがとう、ナコ」
万全とまではいかないが、生命の危機は脱する。
改めて、周囲の状況を確認――後藤さんとイリス、フレイムの姿もなかった。それに伴い"Liberty"の残党、アラシと他一人も見当たらない。
皆、どこに――消えてしまったのか。
「ソラにゃん、ナコにゃん、危ないからこっちの方に行くにゃあ」
ニャニャンが僕たちを抱えて――端の方に移動する。
「会話を聞いてたけど、あの剣士ソラにゃんの妹なのね」
「なんでギルド対抗戦にいるのかは――わからない。だけど、色々なものが思いも寄らない方向性に向かっている」
「お腹いっぱいになった虎の、尻尾を自ら踏みに行ったのは驚いたにゃあ」
「……僕の妹、僕のことになると、周りが見えなくなるんだ」
「ぶにゃはは。羨ましい兄妹愛なのね」
ニャニャンは一拍置きながら、
「まあ、黒騎士3人組がベンジェを倒してくれたのは――正直ありがたいのね。さらに圧倒的なやつが出現するってのはどうかと思うがにゃあ」
「ゲームだとよくあるパターンだけどね」
「オンリー・テイルの世界は広いのね。にゃっちの頑張りなんて、この世界にとったら本当に小さなことだったのにゃあ」
「そんなことないよ」
僕は即答する。
「その積み重ねがあるからこそ、世界の均衡は保たれていると僕は思っている。ニャニャンのしたことは――決して無駄なんかじゃない」
「……」
「ニャニャン?」
「皆がソラにゃんにラブなの、なんだかわかった気がするのね」
ニャニャンが真顔になる。
そして、深々と――意味不明なことを呟くのであった。
まず、琴葉が動いた。
以前王都の立ち合いにて、ゴザルを圧倒していただけあって――繊細で鋭い。特段速いというわけではないのだが、敵の隙間を縫う特徴的な動きをしている。
目で追えているつもりが、コマ送りのように見失う瞬間があった。
驚くべきは紋章の使い方である。
本来ならば"霞の紋"は敵に付与、視界を曇らせて命中率を下げるスキルだ。その対象を自分自身にすることで、琴葉の身体が白い霧のようなものに包まれている。
スキルの創意工夫、琴葉の猛攻は終わらない。
「"重の紋"を付与、付与、付与」
攻撃の都度、剣に紋章を重ねていく。
この"重の紋"は敵の動きを遅くするもの、その対象を剣に――驚くべき破壊力の一撃を生み出していた。
ディアゴの重厚な鎧が削れていく。
「あんた、やるじゃないか」
「デカブツなだけあって――当てやすいよねっ!」
「くっく、はっはっはっ! 大口叩くだけはある。こういう強いやつが、たまにでてくるから面白い」
「あっははっ! 中身引きずり出して大地にキスさせてやるよっ!!」
激戦を見守る最中、ナコが僕の頬を優しくなでながら、
「クーラ、回復が終わりました」
「ありがとう、ナコ」
万全とまではいかないが、生命の危機は脱する。
改めて、周囲の状況を確認――後藤さんとイリス、フレイムの姿もなかった。それに伴い"Liberty"の残党、アラシと他一人も見当たらない。
皆、どこに――消えてしまったのか。
「ソラにゃん、ナコにゃん、危ないからこっちの方に行くにゃあ」
ニャニャンが僕たちを抱えて――端の方に移動する。
「会話を聞いてたけど、あの剣士ソラにゃんの妹なのね」
「なんでギルド対抗戦にいるのかは――わからない。だけど、色々なものが思いも寄らない方向性に向かっている」
「お腹いっぱいになった虎の、尻尾を自ら踏みに行ったのは驚いたにゃあ」
「……僕の妹、僕のことになると、周りが見えなくなるんだ」
「ぶにゃはは。羨ましい兄妹愛なのね」
ニャニャンは一拍置きながら、
「まあ、黒騎士3人組がベンジェを倒してくれたのは――正直ありがたいのね。さらに圧倒的なやつが出現するってのはどうかと思うがにゃあ」
「ゲームだとよくあるパターンだけどね」
「オンリー・テイルの世界は広いのね。にゃっちの頑張りなんて、この世界にとったら本当に小さなことだったのにゃあ」
「そんなことないよ」
僕は即答する。
「その積み重ねがあるからこそ、世界の均衡は保たれていると僕は思っている。ニャニャンのしたことは――決して無駄なんかじゃない」
「……」
「ニャニャン?」
「皆がソラにゃんにラブなの、なんだかわかった気がするのね」
ニャニャンが真顔になる。
そして、深々と――意味不明なことを呟くのであった。
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