転生したら倉庫キャラ♀でした。

エレメント正邪激闘編

421話 Aブロック本戦・第一 その２

「さーて、残り４人かぁ」

　琴葉が"美・少女隊"のメンバーに視線を移す。
　圧倒的な実力差を目に、皆怯んでいるのがわかる。今の反応から察するに同程度の力量で構成されたギルド、自身の未来を想像しているかのようだった。
　ジョブの相性を無視した勝利は――大きい。

「セルビちゃんだっけ？　すぐに私と戦えるから準備しといた方がいいよ」
「ぐっ、ぐぬぬっ」

　琴葉の煽りに、セルビの顔が真っ赤になる。
　試合開始前に申請した順番は変更することはできない。今の一言は琴葉一人で勝ち抜くと宣言しているに等しかった。
　その言葉通り、琴葉が――とまることはない。

「２人目、３人目っ！」
「ど、ど、ど、どうなってますのよっ！　わたくしたち"美・少女隊"は呪術師のみのギルドなのですわよっ？！　相性抜群の剣士一人に全滅させられるなんて――あってはならないことですわっ！」

　セルビが叫んだ。
　確かに、通常ならば――信じられない光景であろう。決して、セルビの率いる"美・少女隊"のメンバーは弱くない。
　スキルの創意工夫、熟練者の立ち回り、上位の部類である。
　改めて、僕の周囲の異常さを認識させられる。フレイムが化け物揃いかという例えはこれでもかというくらい――的を得ている。
　この世界には一定数、枠には収まらない強者がいるのだ。

「ゅ、ユルリン。わたくしの番が回るまでになにかしら――ダメージを与えるなり、呪いをかけるなり、有利に戦えるよう繋げてくださいませ」
「む、無理だよぉおおっ！　どう考えても私たちより強いんだもぉんっ！」

　残り２人、副将の女性が泣き喚く。
　名前の通り、なんだかほんわかとした口調の人物である。震えながらも舞台上、琴葉の前に立つあたり――覚悟は強いのかもしれない。
　ファイトファイトと、セルビは右拳を上下させながら、

「ユルリン、なんとか頑張ってほしいですのっ！　あいつさえ倒せば、残りは――幼女と老いぼれですわっ！」
「幼女ってライカのことぉっ？！」
「老いぼれってワシのことっ？！」

　仲良くハモっている。
　激似の反応、琴葉陣営から――抗議の声が飛び交う。

「セルビちゃん、幼女は小さく見過ぎだよぉお。よ、４年生くらいじゃないっ？」
「失礼しましたわ、ピンクのガキンチョ」
「ガぁあッ？！　ライカは、ライカは――これでも最高学年だぁあっ！」
「いかんっ！　ライカたん、落ち着くんじゃぁあっ！」

　セルビの言葉に触発され、ライカが犬歯を剥き出しに飛び上がる。
　その行動を抑えようとしたお祖父ちゃんごと、２人が――ごろごろと、舞台上に転がり込んでしまった。
　静寂が場を包み込む中、ゆっくりと審判が手を上げ、

「ライカ、ライゾウ、ルール上失格とするっ！」

　お祖父ちゃん、ライゾウって名前だったんだ。