474 / 625
第二十五章 オブリビアダンジョン
第四百六十二話 まるで地獄絵図
しおりを挟む
敵の反応が無くなったモニターの表示が切り替わり、ミサイル攻撃可能状態が解除される。
「マスタング、発射したのは小型ミサイルだよな?12発で1000人規模の敵を壊滅ってのは、実際どうなんだ」
あまりに現実感の無い数字に思えたので、思わず確認をしてしまった。
「発射したミサイル自体は小型ですが、威力と効果範囲は魔力にて強化済みです。敵の密集した地点を重点的に狙いましたので、例え運良く生き残ったとしても内臓破裂や窒息死で無力化が完了します」
「えげつないな」
「少し間をおいてから調査に向かいましょう」
「何か手掛かりが残っていれば良いが」
念の為に時間を置く事およそ1時間。
イズミはゆっくりとマスタングを走らせ、敵拠点だった場所へと向かう。
火はほとんど消えており、パッと見るだけでは問題無いように思えたが、少し窓を下げた瞬間に強烈な異臭がイズミの鼻腔に突き刺さった。
「…トラウマになりそうだ。ベリアは大丈夫か?」
「あのドリンクのお陰で何とか。もし飲んで無かったら、臭いを嗅いだ瞬間に吐いて気絶してたかも」
「出直すか?」
早くも気が滅入ってきたイズミだったが、マスタングがドリンクを出してくれたので一気に飲んだ。
これである程度は耐えられる筈だ。
ヘッドライトをハイビームに切り替え、徐行で敵拠点へ侵入する。
聞こえるのはマスタングのV8エンジンの音と走行音、そして通り抜ける風の音くらいである。
「…静かだな」
「何処もかしこも燃えカスだ」
2人は少しだけ窓を下げてから探索用ライトを構え、車外を照らして周囲の状況を確認してゆく。
「惨いな」
イズミがライトで照らした先には、燃え尽きた敵の死体が複数倒れていた。
装備は一部溶けたのか歪な形になっており、ミサイル攻撃の凄まじい威力に改めて衝撃を受ける。
「こりゃ地獄絵図と言われても肯けるな」
「マスター、この威力は上位種のレッドドラゴンの魔法攻撃と同程度です」
「そんな怪物が敵として現れたら、一目散に逃げるとしよう…いや、先ずはドラゴン側の話を聞くべきか?」
「上位種であれば言語による意思疎通は可能かと」
本筋とは離れた会話をしつつも、油断せずに調査を行う。
マスタングから降りた2人は、若干気分が悪くなりつつもテントだっただろう拠点内の探索を行う。
「マスタング、念の為に索敵を頼む」
「かしこまりました…敵の反応はありません」
「分かった」
ほとんど燃えてしまった状態であり、何か物色するにも原形の無い物がチラホラとある。
燃料気化爆弾の高温と炎で、文字通り燃え尽きたのだろう。
あまり期待はせずにテントの外に出ると、広場のように開けている場所をライトが照らし出す。
そこには大量の焼失死体が転がっていた。
「奇襲攻撃をして来た奴の報告を聞いて、進軍を時期を早めたんだろうな…見ろよイズミ、これは帝国兵士の甲冑だ」
地面に転がっていた完全装備の甲冑を着ている死体は、見た目こそ酷くは無いが何かに手を伸ばすような姿勢のまま硬直していた。
調査の為に甲冑を外してみると身体は焼けただれてはいなかったので、恐らく窒息死か内臓が強く圧迫されて破裂でもしたのだろう。
「コイツもか」
この死体も見てくれは異質だった。
人間と犬とゴブリンかオークの継ぎ接ぎでもしたかのような、ホラー映画にでも出て来そうな絵面である。
「イズミ!コッチに来てくれ」
「何かあったのか?」
「無事な代物があったぞ」
ベリアの声がする方へ向かうと、表面は高温で僅かに溶解した跡のある金属の箱が置かれていた。
大きさは縦が約1m横が約2m、奥行約1mの頑丈そうな箱だった。
「金属だから大丈夫だったのか」
「中身が無事かは分からないけど、触りたくない」
風魔法で箱の周囲にある燃えカスを退かすと、イズミがメガネを使いマスタングにスキャンを頼んだ。
「魔法鍵で施錠されています。破壊可能ですので解除用の弾を実体化します。跳弾は発生しない弾ですので、至近距離で発砲して下さい」
一度マスタングに戻り魔法解除用の弾…ショットシェル2発…を手に取ると、ソードオフショットガンに込める。
箱まで戻ると真ん中を狙って至近距離で2発撃ち込むと、パキン!と音がして魔法鍵自体を破壊する事が出来た。
罠が仕掛けられていると厄介なので、少しだけ箱を開けてライトで照らしながら、細い紐とかで何かと繋がっていないかなど目視で確かめる。
大丈夫そうなので蓋を開けると、中には3種類の瓶が入っていた。
1つは緑色で細長い小瓶で、中身は液体のようである。
残りの2つは透明な瓶で、中には紫と黒の錠剤がミッチリと収まっている。
「…これは回収して、詳しい人に調べてもらう必要があるな」
ベリアは瓶に触るのすら嫌なようなので、イズミは銀貨をまとめていた布袋を手袋代わりにして瓶を掴むと、ショルダーバッグへ収納してゆく。
「まさか無事な代物があるとはな」
箱に入っていた瓶を全て回収したイズミ達はマスタングの元へ向かうと、ベリアが少し離れた所から聞き慣れない音がする事に気が付いた。
「…イズミ、近くに何か居るみたいだ」
声を潜めたベリアは音も無く異音のする方へ足を進める。
バキン…ガチャン…グシャ…
そんな音がする場所をライトで照らすと、一匹の狼のような動物の姿があった。
「マスタング、発射したのは小型ミサイルだよな?12発で1000人規模の敵を壊滅ってのは、実際どうなんだ」
あまりに現実感の無い数字に思えたので、思わず確認をしてしまった。
「発射したミサイル自体は小型ですが、威力と効果範囲は魔力にて強化済みです。敵の密集した地点を重点的に狙いましたので、例え運良く生き残ったとしても内臓破裂や窒息死で無力化が完了します」
「えげつないな」
「少し間をおいてから調査に向かいましょう」
「何か手掛かりが残っていれば良いが」
念の為に時間を置く事およそ1時間。
イズミはゆっくりとマスタングを走らせ、敵拠点だった場所へと向かう。
火はほとんど消えており、パッと見るだけでは問題無いように思えたが、少し窓を下げた瞬間に強烈な異臭がイズミの鼻腔に突き刺さった。
「…トラウマになりそうだ。ベリアは大丈夫か?」
「あのドリンクのお陰で何とか。もし飲んで無かったら、臭いを嗅いだ瞬間に吐いて気絶してたかも」
「出直すか?」
早くも気が滅入ってきたイズミだったが、マスタングがドリンクを出してくれたので一気に飲んだ。
これである程度は耐えられる筈だ。
ヘッドライトをハイビームに切り替え、徐行で敵拠点へ侵入する。
聞こえるのはマスタングのV8エンジンの音と走行音、そして通り抜ける風の音くらいである。
「…静かだな」
「何処もかしこも燃えカスだ」
2人は少しだけ窓を下げてから探索用ライトを構え、車外を照らして周囲の状況を確認してゆく。
「惨いな」
イズミがライトで照らした先には、燃え尽きた敵の死体が複数倒れていた。
装備は一部溶けたのか歪な形になっており、ミサイル攻撃の凄まじい威力に改めて衝撃を受ける。
「こりゃ地獄絵図と言われても肯けるな」
「マスター、この威力は上位種のレッドドラゴンの魔法攻撃と同程度です」
「そんな怪物が敵として現れたら、一目散に逃げるとしよう…いや、先ずはドラゴン側の話を聞くべきか?」
「上位種であれば言語による意思疎通は可能かと」
本筋とは離れた会話をしつつも、油断せずに調査を行う。
マスタングから降りた2人は、若干気分が悪くなりつつもテントだっただろう拠点内の探索を行う。
「マスタング、念の為に索敵を頼む」
「かしこまりました…敵の反応はありません」
「分かった」
ほとんど燃えてしまった状態であり、何か物色するにも原形の無い物がチラホラとある。
燃料気化爆弾の高温と炎で、文字通り燃え尽きたのだろう。
あまり期待はせずにテントの外に出ると、広場のように開けている場所をライトが照らし出す。
そこには大量の焼失死体が転がっていた。
「奇襲攻撃をして来た奴の報告を聞いて、進軍を時期を早めたんだろうな…見ろよイズミ、これは帝国兵士の甲冑だ」
地面に転がっていた完全装備の甲冑を着ている死体は、見た目こそ酷くは無いが何かに手を伸ばすような姿勢のまま硬直していた。
調査の為に甲冑を外してみると身体は焼けただれてはいなかったので、恐らく窒息死か内臓が強く圧迫されて破裂でもしたのだろう。
「コイツもか」
この死体も見てくれは異質だった。
人間と犬とゴブリンかオークの継ぎ接ぎでもしたかのような、ホラー映画にでも出て来そうな絵面である。
「イズミ!コッチに来てくれ」
「何かあったのか?」
「無事な代物があったぞ」
ベリアの声がする方へ向かうと、表面は高温で僅かに溶解した跡のある金属の箱が置かれていた。
大きさは縦が約1m横が約2m、奥行約1mの頑丈そうな箱だった。
「金属だから大丈夫だったのか」
「中身が無事かは分からないけど、触りたくない」
風魔法で箱の周囲にある燃えカスを退かすと、イズミがメガネを使いマスタングにスキャンを頼んだ。
「魔法鍵で施錠されています。破壊可能ですので解除用の弾を実体化します。跳弾は発生しない弾ですので、至近距離で発砲して下さい」
一度マスタングに戻り魔法解除用の弾…ショットシェル2発…を手に取ると、ソードオフショットガンに込める。
箱まで戻ると真ん中を狙って至近距離で2発撃ち込むと、パキン!と音がして魔法鍵自体を破壊する事が出来た。
罠が仕掛けられていると厄介なので、少しだけ箱を開けてライトで照らしながら、細い紐とかで何かと繋がっていないかなど目視で確かめる。
大丈夫そうなので蓋を開けると、中には3種類の瓶が入っていた。
1つは緑色で細長い小瓶で、中身は液体のようである。
残りの2つは透明な瓶で、中には紫と黒の錠剤がミッチリと収まっている。
「…これは回収して、詳しい人に調べてもらう必要があるな」
ベリアは瓶に触るのすら嫌なようなので、イズミは銀貨をまとめていた布袋を手袋代わりにして瓶を掴むと、ショルダーバッグへ収納してゆく。
「まさか無事な代物があるとはな」
箱に入っていた瓶を全て回収したイズミ達はマスタングの元へ向かうと、ベリアが少し離れた所から聞き慣れない音がする事に気が付いた。
「…イズミ、近くに何か居るみたいだ」
声を潜めたベリアは音も無く異音のする方へ足を進める。
バキン…ガチャン…グシャ…
そんな音がする場所をライトで照らすと、一匹の狼のような動物の姿があった。
31
あなたにおすすめの小説
彼に勇者は似合わない!
プリン伯爵
ファンタジー
連日の残業で終電帰りのサラリーマン、神無月無名21歳。
ある夜、突然足元の光に包まれ異世界へと召喚されてしまう。
そこは豪華絢爛な王宮。
第一王女ラクティスは、彼を含む男女5人を「勇者」として召喚したと告げる。
元の世界では時間がほぼ止まっているという説明を受け、半ば強制的に魔国との戦いに協力することになった無名たち。
発現した無名の紋章は歴代でも最高クラスを示し万能の勇者と称され、周囲を驚愕させる。
元の世界への帰還を条件に口頭で協力を約束する勇者たちだが、無名だけは王家に対し警戒心を抱き、王に元の世界への帰還とこの世界で得た力を持ち帰ることを書面で約束させる。
協調性がないと周囲から思われながらも、己の最適解を優先する無名は、果たして他の勇者たちと協力し、魔国を打ち倒して元の世界へ帰ることができるのか。
それぞれの思惑が交錯する中、勇者たちの戦いが幕を開ける。
これは社会不適合者が歩む成長の物語。
不死身のボッカ
暁丸
ファンタジー
逓信(ていしん)ギルドに所属する甲殻人ボッカ。歩荷(ぼっか=運搬人)だからボッカと素性を隠す特急便の運搬人。
小柄な身体に見合わぬ怪力、疾風のスピードと疲れ知らずのスタミナで、野を越え山越え荷物を運ぶ。
逓信ギルドの運搬人になったのは、危険な迷宮には入りたく無いから。面倒と危険を避けてすんなり仕事を終わらせたいのに、時にギルド支部長に命じられ行きたくも無い魔獣狩りの運搬人として駆り出される。
割とチートな身体能力を持ちながら、戦闘能力はからっきしで過剰な期待はされたく無い。こんな殺伐とした異世界生活なんかとっとと終わらせて眠るように死にたいと願う、そんな<不死身の歩荷>のお話。
※種族名とか用語は前作と共通にしてますが、別の世界の物語です。世界観も若干違います。
※「歩荷」とは一般的にいう「ポーター」のことですが、長距離運送も兼任しています。
※作者が設定厨なので、時々本筋に関係ない解説回が入ります。
※第16回ファンタジー小説大賞にエントリーしてみました。
僕だけ入れちゃうステータス欄 ~追放された凄腕バッファーは、たまたま出会った新人冒険者たちと真の最強パーティーを作り上げる~
めでめで汰
ファンタジー
バッファーの少年カイトのバフスキルは「ステータス欄の中に入って直接数字を動かす」というもの。
しかし、その能力を信じなかった仲間からカイトは追放され迷宮に置き去りにされる。
そこで出会ったLUK(幸運)値の高い少女ハルと共にカイトは無事迷宮から生還。
その後、カイトはハルの両親を探すため地下迷宮の奥へと挑むことを決意する。
(スライム、もふもふ出てきます。女の子に囲まれるけどメインヒロインは一人です。「ざまぁ」もしっかりあります)
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
龍と旅する。
水無月
ファンタジー
治安が良くない島々や国を龍と旅する物語。
主人公たちが探すのは「龍の卵」。だがそれを狙うのは彼らだけではなく、「龍狩り」や貴族とも争うことになる。
出会いと別れを繰り返して、ロッドとレリスは大海原を渡る。
・海龍 ロッド……最強。頼りになる。こいつ一人でいいんじゃないかと思われるが、とある理由からレリスと行動している。威厳のある話し方をするが、中身は幼い男の子。
・人間 レリス……男性。人間基準で言えば強いが、あくまで人間の枠組みの中でのこと。お人好し。
※注意
〇喧嘩しまくりの異種族同士ですが、彼らはお互いを家族だと認識しています。家族愛です。
〇レリスが生まれ持った性質のせいで「龍の卵」なみに狙われる時があります。徐々に巻き込まれヒロインみたいになります。
〇上記のふたつが無理な方はお気を付けください。表紙と挿絵は手描きです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる