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第二十五章 オブリビアダンジョン
第四百六十七話 薬の調査結果
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ダンジョンの階層は全部で6層構成となっており、2層目と3層目の間と4層目と5層目の間、5層目と最終層である6層目の間には休憩や帰還用の魔法陣が設置された空間があるらしい。
1~2層は草原や森系で、3~4層が市街地系、5層は城系で最終層は恐らくホール状だろうとの事だ。
5層目からの詳細な情報がまとまるにはもう少し時間がかかるらしく、現時点では想定の域を出ないらしい。
「まぁ、ダンジョンの形としてはオーソドックスだな」
「崩壊前との違いは?」
「出て来る魔物の種類が変わってるみたいだ。確認出来た限りではどの魔物もグール化しているから、御子様の聖魔法で対応してるって」
「かなり体力勝負な展開だな」
「それとなんだけど」
ベリアの声のトーンが下がる。
「ダンジョン内にも汚れた魔石があった」
「まだあったのか…どれだけ用意してたんだ彼奴等」
呆れたと言ったような表情をしたイズミは、ダンジョンの入口がある領主の屋敷がある方角を見つめる。
「調査隊の被害は?」
「今の所は順調みたいで、特に大きな被害は無いってさ」
「…それなら良いが。俺達はまだ待機だな」
コップの水を飲み干し左腕の感覚を確かめると鋭い痛みが襲い掛かってきて顔を顰めたイズミは、ベリアにロレッタの元へ向かうと告げて歩き出した。
「…はい、終わりましたよ」
「ありがとうございます、助かりました…そう言えば、あの薬について進展はありましたか?」
左腕の痛みが引いてきて余裕が出て来たイズミは、調査を依頼していた薬について確認をする。
「紫色の錠剤ですが、強制変化剤でした。しかもかなり凶悪です」
ロレッタは調査結果をまとめた資料を見ながら説明に入る。
「通常の変化誘発剤であれば、人間が飲んでも変化はしません。しかしこの錠剤は人間であっても強制的に変化します」
「人間でも変化するって、変化する先が無いでしょう?」
「それが有るんです。黒い錠剤を飲む事で、その変化先を用意しているのです。黒い錠剤には獣人や亜人、魔物の血や骨等が薬草や魔石と一緒に混ぜ込まれていて、紫色の錠剤を飲んだ人間にランダムで強制変化を発生させます。しかも解除は想定されておらず完全な一方通行です」
「えげつないな。時間で元にも戻らないのか」
「戻りません…問題はまだあります。あの液体は正に劇薬でして、身体能力の強制的な向上や戦闘意欲の向上、痛覚の遮断と回復速度の向上もあります」
「劇薬って事は、副作用があるんだな?」
「まず無理矢理変化をさせるので肉体が悲鳴を上げます。効果が切れたら正気を保つ事は不可能でしょう。定期的に劇薬を飲まなければ、変化して数日で人間としての記憶は無くなり知能がゴブリン並みにまで落ち、食欲と性欲を満たす為に暴れ回る魔物…キメラ擬きと化すでしょう」
イズミは昨夜の戦闘で確認した敵の姿を思い出す。
人間と魔物と獣人を無理矢理継ぎ接ぎしたような姿、人間の身体の限界を大きく超えた身体能力、あの狼の姿をした存在が口にした『外道共』の意味。
「帝国は、何故そこまでするんだ?人間至上主義を謳っているのに、何故自分達の兵をバケモノに変化させる必要があるんだ」
「それを私に聞かれても、特に思い浮かびませんわ」
素朴な疑問を口にしたら、ロレッタが困った表情で答えた。
「取り敢えず薬は私が保管しておきます。誰の手にも届かない場所に」
「それが良いと思います。光の教会としても、直ぐに預かり管理する体制までは整っておりません」
「しかし、とんでもない代物を生み出してるな、帝国ってのは」
「そうですね。信じ難いものばかりで、どう本部に報告したら良いか…」
「そろそろ帝国には罰が当たる気がするな…報告?」
イズミがロレッタへと顔を向ける。
「はい。流石にこの薬の存在は光の教会と冒険者ギルド、ハルハンディア共和国やジェヴェドール王国にも情報を渡さなければ危険です」
「それは、ロレッタさんが対応をしてくれると?」
「一度オルドリン司教に報告をしてからになりますが、緊急性が高ければ教会の本部に私が直接報告も出来ます。この大きさでしたら、転送魔法が使えますので」
ロレッタの言葉を聞いたイズミは、腕を組んで考え込む。
帝国の動きが分からない以上、此方が動ける所は最速で動くくらいでなければ対応が後手後手になるのでは無いだろうか。
「本部は報告資料を見て、直ぐに行動してくれると思います?」
「本部でも一度調査が入りますね。私よりも念入りに調査すると思いますが、それでも2~3日でまとまるかと」
教会としても薬の効果を調べてその後の対応をしてくれるのであれば、自分は必要な時が来るまで安全な場所で薬を保管しておくだけで良いのだ。
問題は自分の保管場所が安全であると、教会側が理解してくれるのかだ。
「転送魔法と言うのは、何回使えますか?」
「2回分の用意しかないですね。大きさもこの箱に入る程度です」
目の前に出されたのは子供のオモチャ箱サイズの木箱だった。
コレでは薬を全部送りつける事は出来ない。
「私が薬を保管してると聞いて、教会の方々は理解と納得をしてくれるのかが気になりますね」
「それは…難しいですね。私にはなんとも」
2人はどちらかとも無く、大きなため息をついた。
1~2層は草原や森系で、3~4層が市街地系、5層は城系で最終層は恐らくホール状だろうとの事だ。
5層目からの詳細な情報がまとまるにはもう少し時間がかかるらしく、現時点では想定の域を出ないらしい。
「まぁ、ダンジョンの形としてはオーソドックスだな」
「崩壊前との違いは?」
「出て来る魔物の種類が変わってるみたいだ。確認出来た限りではどの魔物もグール化しているから、御子様の聖魔法で対応してるって」
「かなり体力勝負な展開だな」
「それとなんだけど」
ベリアの声のトーンが下がる。
「ダンジョン内にも汚れた魔石があった」
「まだあったのか…どれだけ用意してたんだ彼奴等」
呆れたと言ったような表情をしたイズミは、ダンジョンの入口がある領主の屋敷がある方角を見つめる。
「調査隊の被害は?」
「今の所は順調みたいで、特に大きな被害は無いってさ」
「…それなら良いが。俺達はまだ待機だな」
コップの水を飲み干し左腕の感覚を確かめると鋭い痛みが襲い掛かってきて顔を顰めたイズミは、ベリアにロレッタの元へ向かうと告げて歩き出した。
「…はい、終わりましたよ」
「ありがとうございます、助かりました…そう言えば、あの薬について進展はありましたか?」
左腕の痛みが引いてきて余裕が出て来たイズミは、調査を依頼していた薬について確認をする。
「紫色の錠剤ですが、強制変化剤でした。しかもかなり凶悪です」
ロレッタは調査結果をまとめた資料を見ながら説明に入る。
「通常の変化誘発剤であれば、人間が飲んでも変化はしません。しかしこの錠剤は人間であっても強制的に変化します」
「人間でも変化するって、変化する先が無いでしょう?」
「それが有るんです。黒い錠剤を飲む事で、その変化先を用意しているのです。黒い錠剤には獣人や亜人、魔物の血や骨等が薬草や魔石と一緒に混ぜ込まれていて、紫色の錠剤を飲んだ人間にランダムで強制変化を発生させます。しかも解除は想定されておらず完全な一方通行です」
「えげつないな。時間で元にも戻らないのか」
「戻りません…問題はまだあります。あの液体は正に劇薬でして、身体能力の強制的な向上や戦闘意欲の向上、痛覚の遮断と回復速度の向上もあります」
「劇薬って事は、副作用があるんだな?」
「まず無理矢理変化をさせるので肉体が悲鳴を上げます。効果が切れたら正気を保つ事は不可能でしょう。定期的に劇薬を飲まなければ、変化して数日で人間としての記憶は無くなり知能がゴブリン並みにまで落ち、食欲と性欲を満たす為に暴れ回る魔物…キメラ擬きと化すでしょう」
イズミは昨夜の戦闘で確認した敵の姿を思い出す。
人間と魔物と獣人を無理矢理継ぎ接ぎしたような姿、人間の身体の限界を大きく超えた身体能力、あの狼の姿をした存在が口にした『外道共』の意味。
「帝国は、何故そこまでするんだ?人間至上主義を謳っているのに、何故自分達の兵をバケモノに変化させる必要があるんだ」
「それを私に聞かれても、特に思い浮かびませんわ」
素朴な疑問を口にしたら、ロレッタが困った表情で答えた。
「取り敢えず薬は私が保管しておきます。誰の手にも届かない場所に」
「それが良いと思います。光の教会としても、直ぐに預かり管理する体制までは整っておりません」
「しかし、とんでもない代物を生み出してるな、帝国ってのは」
「そうですね。信じ難いものばかりで、どう本部に報告したら良いか…」
「そろそろ帝国には罰が当たる気がするな…報告?」
イズミがロレッタへと顔を向ける。
「はい。流石にこの薬の存在は光の教会と冒険者ギルド、ハルハンディア共和国やジェヴェドール王国にも情報を渡さなければ危険です」
「それは、ロレッタさんが対応をしてくれると?」
「一度オルドリン司教に報告をしてからになりますが、緊急性が高ければ教会の本部に私が直接報告も出来ます。この大きさでしたら、転送魔法が使えますので」
ロレッタの言葉を聞いたイズミは、腕を組んで考え込む。
帝国の動きが分からない以上、此方が動ける所は最速で動くくらいでなければ対応が後手後手になるのでは無いだろうか。
「本部は報告資料を見て、直ぐに行動してくれると思います?」
「本部でも一度調査が入りますね。私よりも念入りに調査すると思いますが、それでも2~3日でまとまるかと」
教会としても薬の効果を調べてその後の対応をしてくれるのであれば、自分は必要な時が来るまで安全な場所で薬を保管しておくだけで良いのだ。
問題は自分の保管場所が安全であると、教会側が理解してくれるのかだ。
「転送魔法と言うのは、何回使えますか?」
「2回分の用意しかないですね。大きさもこの箱に入る程度です」
目の前に出されたのは子供のオモチャ箱サイズの木箱だった。
コレでは薬を全部送りつける事は出来ない。
「私が薬を保管してると聞いて、教会の方々は理解と納得をしてくれるのかが気になりますね」
「それは…難しいですね。私にはなんとも」
2人はどちらかとも無く、大きなため息をついた。
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