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第二十五章 オブリビアダンジョン
第四百七十七話 転移先で待つのは
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イズミ達を覆った黒い煙が消え去ると、先程まで居たはずの第2階層とは思えない場所に立っていた。
足元は草原ではなく、固められた土の様にシッカリとしたものだった。
「…間に合わなかったか」
「オルドリン様、呪文は発動出来たのですが、対象であるケルベロスが溶けるように消えてしまったので転移魔法を打ち消せなかったのです」
「ふむ。ケルベロスは儂らが対応する事まで想定して動いた可能性があるのか」
セリーヌとオルドリンが周囲を見渡しながら現状の把握に勤しんでいる間に、イズミは一緒に転移してきたマスタングに乗り込みスキャンを頼んだ。
「マスタング、周囲の索敵と情報収集を頼む」
「かしこまりました」
マスタングの武装は使用可能な状態にしておいて、何時でも対応が出来るように備えておく。
恐らくだが、ケルベロスの転移魔法で移動させられた者達の中で、最高戦力はマスタングなのだ。
緊急事態において武装の出し惜しみは悪手にしか思えない。
降車したイズミにベリアが声を掛け、ナイフで示した先を見てみると巨大な魔物のだろう骨が散らばっていた。
巨大な2つの頭蓋、あのケルベロスの骨かもしれない。
「見ろイズミ。ありゃ、完全に死んでるな」
「あれで生きてたら困る。んで、此処は何処になるんだろうな」
周囲へ目をやると老朽化したコロッセオのように見える空間である。
「マスター、魔物等の反応はありません。現在地ですが最終層である可能性が高いです」
「魔物が居ないのは朗報だが…俺達は最終層まで飛ばされたのか?」
マスタングからの情報を皆に共有していると、冒険者の1人が駆け足で近付いて来た。
「此処の階層移動の門は閉じられているみたいだ。俺達に少し時間をくれれば開けられると思う」
「そうじゃのう…門の開放は任せるとしよう、儂らは防御魔法の展開をしておく」
運悪く一緒に転移してしまった冒険者の4人が、オルドリン達と話をまとめると門の開放する為に動き始めた。
「セリーヌ、防御魔法の広域展開を頼む。儂はあの骨から何か掴めないか調べてみよう」
「分かりましたわ」
セリーヌがワンドを構えて魔物からの防御魔法を展開すると、オルドリンがケルベロスの骨へと近付いてゆく。
「…む?コレは」
「どうしました」
急に動きを止めたオルドリンにイズミが声をかけると、真剣な表情でオルドリンが唸った。
「こりゃ参ったな…制限魔法の結界じゃ」
「なんです?」
「結界内への入りと出に制限を掛ける魔法じゃ。条件を満たさねば結界内に入れないし、出る事も出来ない」
「その条件は分かります?」
「ちぃと待っておれ」
オルドリンはその場に座り込むと、結界に武器を軽く触れさせて呪文を唱え始めた。
「イズミ、オルドリンは何をしてるんだ?」
「あの骨の周囲に結界が張られてるみたいなのだが、条件を満たさないと入れないし出れないらしい。その条件を探ってくれてる」
「そんな面倒な魔法を仕掛けたのは誰だろうな」
「さぁな」
イズミは水分補給をしながら遠くで門の開放を頑張る冒険者達を見ていると、オルドリンが声を荒らげながら立ち上がった。
「なんてことじゃ、コレはトレイズ様の結界じゃ!」
結界から少しだけ距離を取ったオルドリンが、一度セリーヌの所まで戻り水を飲んだ。
「トレイズって誰です?」
「この地で行方不明になった司祭職の男じゃよ。不味い事にな」
「不味いって、貴方方の身内でしょう」
「そこではない、結界に組み込まれた条件が不味いのじゃ」
オルドリンは近くにいる全員の顔を見てから、詳しい話を続ける。
「あの結界じゃが、発動者と同等かそれ以上の実力者で無ければ通れない仕様になっている」
「具体的には」
「魔法適性が6個以上無ければ、何をしても無理じゃな」
「6個ですって?」
セリーヌが驚いた声を上げると同時に、他の者達の顔も一斉に青ざめた。
イズミは声を低くして確認を取る。
「それで、この中に魔法適性が6個以上ある方は?」
オルドリンは頭をガクリと落としながら答えた。
「居らぬ。儂が4個、セリーヌでも5個じゃよ…此処には居らぬロレッタやテレジアも4個、誰も条件を満たしておらん」
イズミはベリアに顔を向けると、静かに顔を横に振られた。
「アタイは2個だ。女神様の加護が個数にカウントされても4個だな」
「じゃあ、手詰まりって事か」
水筒をショルダーバッグに収納したイズミが、腕を組みつつマスタングに寄りかかる。
「外から魔法適性が6個以上ある人材を呼ぶとして、どのくらいの時間がかかる?」
「イズミよ、それ程の人材は殆ど居らぬぞ。冒険者ギルドでも現役で2人、光の教会には1人しか居らんがダンジョンには入らぬ決まりになっておる」
「その理由は」
「光の神子様はセリーヌ達の様な御子様とは別で、教会の規則によってダンジョンに入る事が禁じられておるのだ」
「…つまり、本当に手詰まり?」
そんな現実を耳にしたら、トレイズと言う男はとんでもなくハードルの高い結界を張ったと言う事になる。
「現役の冒険者は勇者に最も近いと名高いSランクパーティーに所属しているけど、確か結構遠くのダンジョンに挑戦しているって聞いたし」
「呼んでも到着には時間が掛かるのか…参ったな」
イズミは大きなため息をつき、何か出来る事がある筈だと考えを巡らせ始めた。
足元は草原ではなく、固められた土の様にシッカリとしたものだった。
「…間に合わなかったか」
「オルドリン様、呪文は発動出来たのですが、対象であるケルベロスが溶けるように消えてしまったので転移魔法を打ち消せなかったのです」
「ふむ。ケルベロスは儂らが対応する事まで想定して動いた可能性があるのか」
セリーヌとオルドリンが周囲を見渡しながら現状の把握に勤しんでいる間に、イズミは一緒に転移してきたマスタングに乗り込みスキャンを頼んだ。
「マスタング、周囲の索敵と情報収集を頼む」
「かしこまりました」
マスタングの武装は使用可能な状態にしておいて、何時でも対応が出来るように備えておく。
恐らくだが、ケルベロスの転移魔法で移動させられた者達の中で、最高戦力はマスタングなのだ。
緊急事態において武装の出し惜しみは悪手にしか思えない。
降車したイズミにベリアが声を掛け、ナイフで示した先を見てみると巨大な魔物のだろう骨が散らばっていた。
巨大な2つの頭蓋、あのケルベロスの骨かもしれない。
「見ろイズミ。ありゃ、完全に死んでるな」
「あれで生きてたら困る。んで、此処は何処になるんだろうな」
周囲へ目をやると老朽化したコロッセオのように見える空間である。
「マスター、魔物等の反応はありません。現在地ですが最終層である可能性が高いです」
「魔物が居ないのは朗報だが…俺達は最終層まで飛ばされたのか?」
マスタングからの情報を皆に共有していると、冒険者の1人が駆け足で近付いて来た。
「此処の階層移動の門は閉じられているみたいだ。俺達に少し時間をくれれば開けられると思う」
「そうじゃのう…門の開放は任せるとしよう、儂らは防御魔法の展開をしておく」
運悪く一緒に転移してしまった冒険者の4人が、オルドリン達と話をまとめると門の開放する為に動き始めた。
「セリーヌ、防御魔法の広域展開を頼む。儂はあの骨から何か掴めないか調べてみよう」
「分かりましたわ」
セリーヌがワンドを構えて魔物からの防御魔法を展開すると、オルドリンがケルベロスの骨へと近付いてゆく。
「…む?コレは」
「どうしました」
急に動きを止めたオルドリンにイズミが声をかけると、真剣な表情でオルドリンが唸った。
「こりゃ参ったな…制限魔法の結界じゃ」
「なんです?」
「結界内への入りと出に制限を掛ける魔法じゃ。条件を満たさねば結界内に入れないし、出る事も出来ない」
「その条件は分かります?」
「ちぃと待っておれ」
オルドリンはその場に座り込むと、結界に武器を軽く触れさせて呪文を唱え始めた。
「イズミ、オルドリンは何をしてるんだ?」
「あの骨の周囲に結界が張られてるみたいなのだが、条件を満たさないと入れないし出れないらしい。その条件を探ってくれてる」
「そんな面倒な魔法を仕掛けたのは誰だろうな」
「さぁな」
イズミは水分補給をしながら遠くで門の開放を頑張る冒険者達を見ていると、オルドリンが声を荒らげながら立ち上がった。
「なんてことじゃ、コレはトレイズ様の結界じゃ!」
結界から少しだけ距離を取ったオルドリンが、一度セリーヌの所まで戻り水を飲んだ。
「トレイズって誰です?」
「この地で行方不明になった司祭職の男じゃよ。不味い事にな」
「不味いって、貴方方の身内でしょう」
「そこではない、結界に組み込まれた条件が不味いのじゃ」
オルドリンは近くにいる全員の顔を見てから、詳しい話を続ける。
「あの結界じゃが、発動者と同等かそれ以上の実力者で無ければ通れない仕様になっている」
「具体的には」
「魔法適性が6個以上無ければ、何をしても無理じゃな」
「6個ですって?」
セリーヌが驚いた声を上げると同時に、他の者達の顔も一斉に青ざめた。
イズミは声を低くして確認を取る。
「それで、この中に魔法適性が6個以上ある方は?」
オルドリンは頭をガクリと落としながら答えた。
「居らぬ。儂が4個、セリーヌでも5個じゃよ…此処には居らぬロレッタやテレジアも4個、誰も条件を満たしておらん」
イズミはベリアに顔を向けると、静かに顔を横に振られた。
「アタイは2個だ。女神様の加護が個数にカウントされても4個だな」
「じゃあ、手詰まりって事か」
水筒をショルダーバッグに収納したイズミが、腕を組みつつマスタングに寄りかかる。
「外から魔法適性が6個以上ある人材を呼ぶとして、どのくらいの時間がかかる?」
「イズミよ、それ程の人材は殆ど居らぬぞ。冒険者ギルドでも現役で2人、光の教会には1人しか居らんがダンジョンには入らぬ決まりになっておる」
「その理由は」
「光の神子様はセリーヌ達の様な御子様とは別で、教会の規則によってダンジョンに入る事が禁じられておるのだ」
「…つまり、本当に手詰まり?」
そんな現実を耳にしたら、トレイズと言う男はとんでもなくハードルの高い結界を張ったと言う事になる。
「現役の冒険者は勇者に最も近いと名高いSランクパーティーに所属しているけど、確か結構遠くのダンジョンに挑戦しているって聞いたし」
「呼んでも到着には時間が掛かるのか…参ったな」
イズミは大きなため息をつき、何か出来る事がある筈だと考えを巡らせ始めた。
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