異世界無宿

ゆきねる

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第二十五章 オブリビアダンジョン

第四百八十九話 お宝?

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謎の覚醒をしたベリアの勢いは全く止まる事を知らず、残る2体の魔物にも攻撃を加えた。
それも2体同時に行い、1体は両断されて地面に倒れ、1番巨大だった1体は首を切断されてあっという間の決着となった。

マスタングは魔物の無力化を確認したのか減速すると、アイテムを回収すべく接近する。

「ベリア、今の攻撃は凄かったな」

「いや~、レアアイテムと聞いたらソワソワしちまって。我を忘れちまった」

「お陰で危機を脱せたのは大きい。さっさとアイテムを回収しよう」

2体は地面に倒れてからアイテムをドロップすると同時に消滅してしまい、最も巨大だった魔物は何故かアイテムをドロップしても爪と頭蓋は残されたままだった。

「イズミ!こんなアイテム初めて見たぞ」

ベリアは興奮気味に回収したアイテムをイズミに見せた。
ダマスカス鋼みたいな色合いの片手剣、表紙に謎の紋章が描かれている分厚い書物、見るからに高そうな宝石や金属が使われた首飾り。
それに倒した数と同数分のデカい魔石と、青白い光を放つ薬草がだった。

「こりゃ豪華なアイテムみたいだな!後で鑑定してもらわないと」

「おう!なんかさ、とんでもないアイテムな気がするよ」

ルンルンなベリアが自身のアイテムボックスに回収品を収納してから、まだ消滅しない魔物の爪と頭蓋へ目をやった。

「…消えないな」

「ベリア、火魔法で燃やしてみてくれないか」

「どうしてさ?」

「昔な、とんでもねぇサイクロプスと戦った事があってな。ベリアも一緒に訓練戦したろ?」

「…あぁ!クラーケンを討伐した時くらいのか」

「そう。その時にサイクロプスの頭蓋骨を燃やしてたんだが、頭蓋骨が魔石化してたって事があったんだ」

イズミの言いたい事が理解出来たベリアは、魔物の頭を火魔法で燃やしてみる。
するとやはり、骨は魔石化していたのだ。

ベリアは綺麗に処理をすると見事な迄に欠けやヒビの無い、ティラノサウルスな魔物の魔石化した頭蓋が姿を見せた。

「うわぁ…圧巻だ」

「これは貴重な代物だろうな。オークションに出すか、何処かに寄贈するか、慎重に考える必要がありそうだ」

呆気に取られたベリアを尻目に、この魔石化した頭蓋の今後を考えてしまった。

ベリアのアイテムボックスには収まりそうにないので、マスタングに収納を頼んでみるとすんなり入ってしまった。

「よし、脱出しよう」

「そうだった…急ごう!」

さっきまでレアアイテムに狂喜していたベリアが冷静に脱出と言うので、テンションの乱高下に噎せそうになったイズミだったが、気を取り直してマスタングに乗り込み第1階層の扉へ向かう。

扉を通過してもオルドリン達は見当たらず、マスタングに調査をしてもらうと既に脱出済みだと分かった。

「マスター、第1階層と地上との扉付近に数名の反応があります」

「ギリギリまで俺達を待ってるのか?」

「恐らく」

「なら、安心させてやらないとな」

イズミはステアリングを握りしめると、真っ直ぐに地上への扉までマスタングを走らせた。


「まだかの?」

「オルドリン様、まだ時間には余裕があります」

「しかし…」

「あの人達は必ず戻って来ますから、私達は待っていようと決めましたでしょう?」

セリーヌはイズミ達を心配しているオルドリンに、脱出中に決めた事を改めて言い聞かせた。

「皆も無事にダンジョンから脱出出来た訳ですし…もう少し落ち着きましょう」

「儂が心配性持ちなのを知っておるだろう」

オルドリンとセリーヌの会話を聞いていたヴィラードは、苦笑いを浮かべつつ会話に割って入る。

「話の途中だが、この辺りにも修復ってのが来始めたぞ」

ヴィラードが指差す先で、空間に小さなヒビが入り始めている。

「あの程度ならまだまだ…」

「来ましたわ!」

セリーヌが遠くにイズミ達が乗っているアーティファクトである、マスタングの存在を発見する。

「マスター、門の手前にてセリーヌ様達が待機しております」

「無事に撤収出来ていたようで何よりだ。地上も無事なら良いのだが」

セリーヌ達の手前でマスタングを駐車し、窓を下ろして声を掛ける。

「待たせて済まない」

「イズミよ、アレはどうなった?」

「ちゃんと始末を付けた。コレでオブリビアの変異も終わる」

「…そうか」

オルドリンは安堵の表情を見せたが、セリーヌが隣で咳込むと険しい表情に戻った。

「ダンジョンがざわついておる、直ぐに外に向かうぞ」

「そうしましょう」

オルドリン達の先導でダンジョンから無事に脱出したイズミとベリアは、螺旋階段を上り終えると数日振りに太陽の下に到着した。
見上げると太陽は丁度真上くらいにある、地上は快晴の昼間だったのだ。

ダンジョン内に昇る太陽とはまた違う太陽光線が、肌に照りつける慣れ親しんだ感覚が、無意識に緊張していたイズミの肉体には新鮮に感じるのだった。
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