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第二十五章 オブリビアダンジョン
第四百九十二話 スピードマスター
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翌朝。
イズミ達はオブリビアのダンジョンが正常に戻ったと、冒険者ギルドの男から説明を受けた。
魔道具が検出していた異常は全て消え、本来のダンジョンに戻ったのだ。
「これからオブリビアは忙しくなるぞ!なにせダンジョンが復活したんだ、冒険者もじゃんじゃん来るから再開発が必要だ」
「それは忙しそうだな」
「オタクらも大概だぞ。昨夜ベリアからの報告を内々で聞いたが、本部が正式に聞いたら間違い無くSランク冒険者に昇格だ」
「それは目出度いじゃないか」
「分かってないな?新たなSランクが現れれば、盛大なイベントになるんだ。2ヶ月は…そうだな、ヒュミトール辺りで身動きが取れなくなるだろうな」
男が言うにはSランク冒険者自体が極僅かな存在であり、新たなSランク冒険者が現れたとなればそれはそれは大騒ぎになるらしい。
「ベリアの生まれはジェヴェドール王国だから、そっちでも祝い事があるな。Sランク冒険者証の授与式とかな。ちなみにだが、これは国家的祝い事だからベリアに拒否権が無い」
「つまり暫くは俺じゃなくて、ベリアが忙しいのか」
「そうなるな」
話を聞き終えたイズミは、一足先にオブリンドの冒険者ギルドに報告をすると言ってオブリビアを出発する。
ベリアが報告をしている間に、イズミはアーリアに魔法通信を繋いで話をしておく。
「アーリア、今は大丈夫か?」
「大丈夫よ、話をするのに何処か落ち着ける場所が良いのだけど」
「分かった、冒険者ギルドの受付さんに頼んで個室を用意してもらうよ」
イズミはマスタングを駐車してから冒険者ギルドの建物に入ると、受付嬢に頼み個室を用意してもらった。
ベリアが報告を終えたら個室に案内してもらうように依頼をするついでに、手間賃として金貨を3枚ほど握らせたらニッコニコで対応してくれた。
転移魔法でやって来たアーリアは、椅子に座ると持参するラムネを飲んでから本題を切り出した。
「実はね、私の知り合いがコレを見てほしいって」
テーブルに置かれたのはソレを見たイズミは、無言のまま持ち上げる。
ステンレスケースは42mm、右側は竜頭を守る為に左右非対称だ。
オーソドックスなクロノグラフは9時位置が通常秒針、6時位置が12時間計、3時位置が30分計の構成である。
インダイヤルと外周は掘り込まれており、文字盤の視認性タキメーターの黒と同じくらいに良好だ。
12時位置にはメーカーロゴと商品名がプリントされている。
ガラスはヘサライト製なのか小キズが無数に付いており、付け替えたのだろう革製のベルトはかなりヘタっている。
裏返して裏蓋を確認すると特徴的なシーホースが居て、その周囲には完全に掠れてしまっているが英文が書かれている。
「何だか分かるようね」
「ああ。俺の居た世界にも同じような物があった」
それは紛れもなく、オメガのスピードマスタープロフェッショナルだったのだ。
「詳しい話を聞かせてくれ」
「そうね…私の知り合いのお祖父様の遺品整理の際に出て来た品物の1つよ。逝去したのが18年前で、記録によれば60年前には皇国の納税者名簿に記載があったわね」
「60年前?」
イズミは試しに竜頭を巻こうとしたが、かなり動作が渋くなっており無理に巻くのは止めておいた。
とても丁寧に取り扱っていたのが、目立つような腐食や錆も見当たらない。
流石にパッキン類は駄目になっているだろうけれども。
気がかりなのは、このスピードマスターの生産時期だ。
息の長いモデルなので、持ち主がどの年代の人間なのかが特定し難い。
もう一度文字盤をジックリと確認していると、大きな違いを発見した。
歴代のモデルでは秒目盛りは1/5秒の細かい刻みだったが、目の前にあるモデルは1/3秒の刻みだったのだ。
これは自分が元の世界に居た時の最新モデルの特徴の筈である。
1/3秒刻みにする事でムーブメントの振動数とマッチし、ストップウォッチ機能を使用した時に針と目盛りが綺麗に重なるのだ。
この事から考えるに腕時計の持ち主は恐らく、自分とほぼ同じあるいは近い時代を生きていた人間の可能性が非常に高い。
何故ならばこのモデルが製造販売されているのは確か、2021年頃からだったと記憶しているからだ。
自分が異世界に転移してからまだ1年は経過していない筈なので、かなり時間的な開きがある。
「不思議と言うべきか、神様は気まぐれと言うべきか」
「どうしたの?」
「…いや、何でもない。マスタングにスキャンを頼んでも良いか?」
「それを期待してたのよ。どう使うのか聞きたかったの」
アーリアはそう言うと、イズミと共にマスタングの元へ向かう。
マスタングのグローブボックスに腕時計を入れてスキャンを頼むと、あっさりと自分の居た世界の腕時計と同一だと判明した。
「長期間メンテナンスされていなかったようです」
「整備出来そうか?」
「勿論です。コンプリートメンテナンスで宜しいでしょうか」
「それで頼む」
「10分程度で終わらせますので、完了したらご連絡致します」
「分かった」
メンテナンスを頼んだイズミは一旦個室に戻り、昨日の出来事を軽く話してから此方の頼みを聞いてもらう。
「それでだ、ドロップされたアイテムを冒険者ギルドの連中に見てもらう前に、ちょいとアーリアに見て欲しいんだ」
「軽く見る程度なら別に構わないけど、どんなアイテムよ」
「詳しくはベリアが来てからだ」
腕時計のメンテナンスが完了したと連絡を受けて回収に向かい、個室へと向かう途中で受付嬢とベリアに鉢合わせたので、受付嬢に礼を言ってからベリアと共に個室へと入った。
イズミ達はオブリビアのダンジョンが正常に戻ったと、冒険者ギルドの男から説明を受けた。
魔道具が検出していた異常は全て消え、本来のダンジョンに戻ったのだ。
「これからオブリビアは忙しくなるぞ!なにせダンジョンが復活したんだ、冒険者もじゃんじゃん来るから再開発が必要だ」
「それは忙しそうだな」
「オタクらも大概だぞ。昨夜ベリアからの報告を内々で聞いたが、本部が正式に聞いたら間違い無くSランク冒険者に昇格だ」
「それは目出度いじゃないか」
「分かってないな?新たなSランクが現れれば、盛大なイベントになるんだ。2ヶ月は…そうだな、ヒュミトール辺りで身動きが取れなくなるだろうな」
男が言うにはSランク冒険者自体が極僅かな存在であり、新たなSランク冒険者が現れたとなればそれはそれは大騒ぎになるらしい。
「ベリアの生まれはジェヴェドール王国だから、そっちでも祝い事があるな。Sランク冒険者証の授与式とかな。ちなみにだが、これは国家的祝い事だからベリアに拒否権が無い」
「つまり暫くは俺じゃなくて、ベリアが忙しいのか」
「そうなるな」
話を聞き終えたイズミは、一足先にオブリンドの冒険者ギルドに報告をすると言ってオブリビアを出発する。
ベリアが報告をしている間に、イズミはアーリアに魔法通信を繋いで話をしておく。
「アーリア、今は大丈夫か?」
「大丈夫よ、話をするのに何処か落ち着ける場所が良いのだけど」
「分かった、冒険者ギルドの受付さんに頼んで個室を用意してもらうよ」
イズミはマスタングを駐車してから冒険者ギルドの建物に入ると、受付嬢に頼み個室を用意してもらった。
ベリアが報告を終えたら個室に案内してもらうように依頼をするついでに、手間賃として金貨を3枚ほど握らせたらニッコニコで対応してくれた。
転移魔法でやって来たアーリアは、椅子に座ると持参するラムネを飲んでから本題を切り出した。
「実はね、私の知り合いがコレを見てほしいって」
テーブルに置かれたのはソレを見たイズミは、無言のまま持ち上げる。
ステンレスケースは42mm、右側は竜頭を守る為に左右非対称だ。
オーソドックスなクロノグラフは9時位置が通常秒針、6時位置が12時間計、3時位置が30分計の構成である。
インダイヤルと外周は掘り込まれており、文字盤の視認性タキメーターの黒と同じくらいに良好だ。
12時位置にはメーカーロゴと商品名がプリントされている。
ガラスはヘサライト製なのか小キズが無数に付いており、付け替えたのだろう革製のベルトはかなりヘタっている。
裏返して裏蓋を確認すると特徴的なシーホースが居て、その周囲には完全に掠れてしまっているが英文が書かれている。
「何だか分かるようね」
「ああ。俺の居た世界にも同じような物があった」
それは紛れもなく、オメガのスピードマスタープロフェッショナルだったのだ。
「詳しい話を聞かせてくれ」
「そうね…私の知り合いのお祖父様の遺品整理の際に出て来た品物の1つよ。逝去したのが18年前で、記録によれば60年前には皇国の納税者名簿に記載があったわね」
「60年前?」
イズミは試しに竜頭を巻こうとしたが、かなり動作が渋くなっており無理に巻くのは止めておいた。
とても丁寧に取り扱っていたのが、目立つような腐食や錆も見当たらない。
流石にパッキン類は駄目になっているだろうけれども。
気がかりなのは、このスピードマスターの生産時期だ。
息の長いモデルなので、持ち主がどの年代の人間なのかが特定し難い。
もう一度文字盤をジックリと確認していると、大きな違いを発見した。
歴代のモデルでは秒目盛りは1/5秒の細かい刻みだったが、目の前にあるモデルは1/3秒の刻みだったのだ。
これは自分が元の世界に居た時の最新モデルの特徴の筈である。
1/3秒刻みにする事でムーブメントの振動数とマッチし、ストップウォッチ機能を使用した時に針と目盛りが綺麗に重なるのだ。
この事から考えるに腕時計の持ち主は恐らく、自分とほぼ同じあるいは近い時代を生きていた人間の可能性が非常に高い。
何故ならばこのモデルが製造販売されているのは確か、2021年頃からだったと記憶しているからだ。
自分が異世界に転移してからまだ1年は経過していない筈なので、かなり時間的な開きがある。
「不思議と言うべきか、神様は気まぐれと言うべきか」
「どうしたの?」
「…いや、何でもない。マスタングにスキャンを頼んでも良いか?」
「それを期待してたのよ。どう使うのか聞きたかったの」
アーリアはそう言うと、イズミと共にマスタングの元へ向かう。
マスタングのグローブボックスに腕時計を入れてスキャンを頼むと、あっさりと自分の居た世界の腕時計と同一だと判明した。
「長期間メンテナンスされていなかったようです」
「整備出来そうか?」
「勿論です。コンプリートメンテナンスで宜しいでしょうか」
「それで頼む」
「10分程度で終わらせますので、完了したらご連絡致します」
「分かった」
メンテナンスを頼んだイズミは一旦個室に戻り、昨日の出来事を軽く話してから此方の頼みを聞いてもらう。
「それでだ、ドロップされたアイテムを冒険者ギルドの連中に見てもらう前に、ちょいとアーリアに見て欲しいんだ」
「軽く見る程度なら別に構わないけど、どんなアイテムよ」
「詳しくはベリアが来てからだ」
腕時計のメンテナンスが完了したと連絡を受けて回収に向かい、個室へと向かう途中で受付嬢とベリアに鉢合わせたので、受付嬢に礼を言ってからベリアと共に個室へと入った。
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