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第二章 旅の始まり
第十七話 野営とカレー
日本の高速道路で例えるならば、追越車線並みの速度でマスタングを走らせ、魔獣の森に到着してからは浮遊能力を使って森を少し進む。
少し開けた場所を探してマスタングを停める。
少し早いが今日の活動は終わりにして、遅めの昼メシを準備するとしよう。
焚火の準備を済ませ、カレンを読んだ。
「色々と聞きたい事があるだろうが、まずは食べてからだな」
俺はカレンに炙ったパンと水を渡す。
「メシは一緒に食べた方が美味しい…と俺は思ってる」
カレンにそう伝えてから、パンを食べ始める。
「どうして…あの人を殺したの?」
カレンがボソッと聞いてきた。
「あの手の連中が言ってくる事なんて、たかが知れている」
金を寄越せ、金が無いなら…ってやつだ。
だからと言って命を奪うのは、過激過ぎるかもしれないが。
「一緒に地獄を歩くと言ったろ?俺もまだ慣れていないが、早めに人の死に慣れてくれ」
あまりにも無茶苦茶な頼み事だと、自分でも思う。
しかし、これは自分自身にも言い聞かせていた。
暫くの沈黙があって
「私に…隷属の魔法をかけるんですか?」
カレンが震える声が尋ねてきた。
購入した商品が逃げないように、抵抗しないように服従を強制する隷属の魔法…
「ん?俺は魔法なんて大層な物は使えないぞ」
カレンは驚愕の表情で俺を見つめる。
魔法を使えない、見慣れぬ服装をした単身の冒険者。しかも冒険者ギルド未登録で高速移動の出来る謎のアーティファクトを持つ人間。
そんなイレギュラー過ぎる男に買われた…そんな心境だろうか?
そんなカレンを前にしてだが、俺は味気の無いパンをどうにかして胃に入れようと努力していた。
しかし、どうしても進まない。
コーンポタージュが飲みたい。
コーンポタージュにパンを浸して食べたい!
その願望が最高潮に達した時、俺はマスタングに声をかけていた。
「マスタング、今俺がイメージしている物を実体化出来るか?」
返事は直ぐに帰ってきた。
可能です、と。
ならば…と俺はコーンポタージュと同時にヤカンにコップとスプーンをイメージした。
幸いにも直ぐに実体化が完了したので、ヤカンに水を入れて焚火に焚べる。
コーンポタージュは粉末タイプが実体化していた。
それをコップに入れてから、沸騰したお湯を注いでスプーンでかき混ぜる。
試しに一口、コーンポタージュを飲んでみる。
熱いけれど、俺が求めていた美味しさが、そこにあった。
俺はカレンの分も作って、飲んでもらう事にした。
「カレン、飲んでみるか?」
気にいるかは分からないが、と笑いつつ渡した。
カレンはゆっくりと口を付けた。
「…!!」
反応からして、口に合ったようだ。
俺がパンを浸しているのを真似して食べているカレンを見て、俺は少し和んでいた。
「美味しかった…です」
カレンはそう言って、コップを俺に返して来た。
「そうか…それは良かった」
俺は笑顔でカレンに答えた。
日が沈み、周辺は静けさに包まれ始めていた。
カレンが落ち着いたと判断した俺は、自己紹介がてら俺の身に何が起きたかを話す。
カレンからは話しにくいだろうからな。
元々は別の世界の人間である事。
突然の転移で、この世界を全然知らない事。
出会った魔術師のおかげで、何とか意思疎通だけは可能な事。
アーティファクトの事。
こっちの世界に来てから、初めて人を殺した事。
死ぬまで旅を続けるしかない事。
カレンには正直に話をした。
共に旅をするのなら、知っていた方が良いと判断したからだ。
隷属の魔法をかけるつもりは無いので、逃げるのも自由だと補足しておいた。
カレンの話も聞いた。
元々は砂漠地帯の小さな村に住んでいた事。
家族とは戦争で離れ離れになってしまった事。
避難先で盗賊団に捕まった事。
成人のダークエルフとして奴隷として売りに出され、ベベロの町に流れ着いた事。
もう死を覚悟していた事。
お互いの話を終えた頃には日が沈みかけていた。
俺は夕ご飯の準備をしようとマスタングに向かう。
カレンも手伝おうと思ったのか付いて来た。
どうしても食べたい料理がある。
マスタングに頼んで、レトルトカレーとライスを実体化させるのだ。
コーンポタージュが出来るのであれば、レトルトカレーも実体化出来るはず…
「カレン、エルフ族でも肉は食べられるのか?」
俺の世界でのエルフ族知識と言えば、肉は食べない…がある。
動物達と共生しているから、肉は食べない。
そのイメージがあったのだ。
「その…お肉は…」
控えめな表現だが、嫌な事には変わりない。
やはり基本的には駄目なようだ。
…先程のコーンポタージュは大丈夫だったのが幸運と言うべきなのだろうか。
そうであれば、そんな要望に答えたカレーを強くイメージしてみよう。
銃やお菓子に比べると時間はかかったが、実体化に成功した。
鍋や皿まで一緒に実体化されていた。
マスタング…本当にありがとう。
俺はマスタングのルーフを優しく撫でた。
俺の命は、マスタング無しでは成立しない。
改めてマスタングに感謝した。
水を鍋に入れて焚火で沸騰させる。
沸騰したのを確認してレトルトのライス、カレーの順で温める。
皿にライスを盛り付け、待ちわびたカレーをかける。
食欲を刺激する香りが辺りに漂う。
「カレン、出来たぞ。俺の世界の料理で悪いが…カレーライスだ」
カレーの見た目に戦々恐々と言った所だろうか?
俺は構わずに食べ始めた。
まずはカレーだけで。
中辛だったのか、身体が熱くなるのを感じる。
次にライスと絡めて食べる。
…美味い。
香辛料がどうたらとか、そんな総評などいらない。
温かい内にカレーライスを完食する。
それこそが今の私に出来る、カレーライスへの感謝の方法だろう。
「イズミ?…アーリアだけど、今通信しても大丈夫?」
突然、脳に直接声が響いてくるかのような感覚。
魔法通信の受信とは、こんな違和感があるのか…
「大丈夫だ、こっちに転移してきても良いぞ」
そう答えると、マスタングの方から赤紫色の光が見えた。
アーリアが来たのだ。
一瞬で超長距離移動でも可能なのだろうか?
後で聞いてみるとしよう。
少し開けた場所を探してマスタングを停める。
少し早いが今日の活動は終わりにして、遅めの昼メシを準備するとしよう。
焚火の準備を済ませ、カレンを読んだ。
「色々と聞きたい事があるだろうが、まずは食べてからだな」
俺はカレンに炙ったパンと水を渡す。
「メシは一緒に食べた方が美味しい…と俺は思ってる」
カレンにそう伝えてから、パンを食べ始める。
「どうして…あの人を殺したの?」
カレンがボソッと聞いてきた。
「あの手の連中が言ってくる事なんて、たかが知れている」
金を寄越せ、金が無いなら…ってやつだ。
だからと言って命を奪うのは、過激過ぎるかもしれないが。
「一緒に地獄を歩くと言ったろ?俺もまだ慣れていないが、早めに人の死に慣れてくれ」
あまりにも無茶苦茶な頼み事だと、自分でも思う。
しかし、これは自分自身にも言い聞かせていた。
暫くの沈黙があって
「私に…隷属の魔法をかけるんですか?」
カレンが震える声が尋ねてきた。
購入した商品が逃げないように、抵抗しないように服従を強制する隷属の魔法…
「ん?俺は魔法なんて大層な物は使えないぞ」
カレンは驚愕の表情で俺を見つめる。
魔法を使えない、見慣れぬ服装をした単身の冒険者。しかも冒険者ギルド未登録で高速移動の出来る謎のアーティファクトを持つ人間。
そんなイレギュラー過ぎる男に買われた…そんな心境だろうか?
そんなカレンを前にしてだが、俺は味気の無いパンをどうにかして胃に入れようと努力していた。
しかし、どうしても進まない。
コーンポタージュが飲みたい。
コーンポタージュにパンを浸して食べたい!
その願望が最高潮に達した時、俺はマスタングに声をかけていた。
「マスタング、今俺がイメージしている物を実体化出来るか?」
返事は直ぐに帰ってきた。
可能です、と。
ならば…と俺はコーンポタージュと同時にヤカンにコップとスプーンをイメージした。
幸いにも直ぐに実体化が完了したので、ヤカンに水を入れて焚火に焚べる。
コーンポタージュは粉末タイプが実体化していた。
それをコップに入れてから、沸騰したお湯を注いでスプーンでかき混ぜる。
試しに一口、コーンポタージュを飲んでみる。
熱いけれど、俺が求めていた美味しさが、そこにあった。
俺はカレンの分も作って、飲んでもらう事にした。
「カレン、飲んでみるか?」
気にいるかは分からないが、と笑いつつ渡した。
カレンはゆっくりと口を付けた。
「…!!」
反応からして、口に合ったようだ。
俺がパンを浸しているのを真似して食べているカレンを見て、俺は少し和んでいた。
「美味しかった…です」
カレンはそう言って、コップを俺に返して来た。
「そうか…それは良かった」
俺は笑顔でカレンに答えた。
日が沈み、周辺は静けさに包まれ始めていた。
カレンが落ち着いたと判断した俺は、自己紹介がてら俺の身に何が起きたかを話す。
カレンからは話しにくいだろうからな。
元々は別の世界の人間である事。
突然の転移で、この世界を全然知らない事。
出会った魔術師のおかげで、何とか意思疎通だけは可能な事。
アーティファクトの事。
こっちの世界に来てから、初めて人を殺した事。
死ぬまで旅を続けるしかない事。
カレンには正直に話をした。
共に旅をするのなら、知っていた方が良いと判断したからだ。
隷属の魔法をかけるつもりは無いので、逃げるのも自由だと補足しておいた。
カレンの話も聞いた。
元々は砂漠地帯の小さな村に住んでいた事。
家族とは戦争で離れ離れになってしまった事。
避難先で盗賊団に捕まった事。
成人のダークエルフとして奴隷として売りに出され、ベベロの町に流れ着いた事。
もう死を覚悟していた事。
お互いの話を終えた頃には日が沈みかけていた。
俺は夕ご飯の準備をしようとマスタングに向かう。
カレンも手伝おうと思ったのか付いて来た。
どうしても食べたい料理がある。
マスタングに頼んで、レトルトカレーとライスを実体化させるのだ。
コーンポタージュが出来るのであれば、レトルトカレーも実体化出来るはず…
「カレン、エルフ族でも肉は食べられるのか?」
俺の世界でのエルフ族知識と言えば、肉は食べない…がある。
動物達と共生しているから、肉は食べない。
そのイメージがあったのだ。
「その…お肉は…」
控えめな表現だが、嫌な事には変わりない。
やはり基本的には駄目なようだ。
…先程のコーンポタージュは大丈夫だったのが幸運と言うべきなのだろうか。
そうであれば、そんな要望に答えたカレーを強くイメージしてみよう。
銃やお菓子に比べると時間はかかったが、実体化に成功した。
鍋や皿まで一緒に実体化されていた。
マスタング…本当にありがとう。
俺はマスタングのルーフを優しく撫でた。
俺の命は、マスタング無しでは成立しない。
改めてマスタングに感謝した。
水を鍋に入れて焚火で沸騰させる。
沸騰したのを確認してレトルトのライス、カレーの順で温める。
皿にライスを盛り付け、待ちわびたカレーをかける。
食欲を刺激する香りが辺りに漂う。
「カレン、出来たぞ。俺の世界の料理で悪いが…カレーライスだ」
カレーの見た目に戦々恐々と言った所だろうか?
俺は構わずに食べ始めた。
まずはカレーだけで。
中辛だったのか、身体が熱くなるのを感じる。
次にライスと絡めて食べる。
…美味い。
香辛料がどうたらとか、そんな総評などいらない。
温かい内にカレーライスを完食する。
それこそが今の私に出来る、カレーライスへの感謝の方法だろう。
「イズミ?…アーリアだけど、今通信しても大丈夫?」
突然、脳に直接声が響いてくるかのような感覚。
魔法通信の受信とは、こんな違和感があるのか…
「大丈夫だ、こっちに転移してきても良いぞ」
そう答えると、マスタングの方から赤紫色の光が見えた。
アーリアが来たのだ。
一瞬で超長距離移動でも可能なのだろうか?
後で聞いてみるとしよう。
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