異世界無宿

ゆきねる

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第九章 海を目指して

第百二十二話 何気ない時間

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雨が本降りになる前に、イズミは宿へ戻った。
マスタングからリボルバー用のメンテナンスキットを取り出して、周囲の警戒を頼んでから宿へと入った。

割り当てられた部屋に入り、木窓を半分ほど閉めてから部屋内に異常が無いか…変な仕掛けの有無…を確認してから、硬いベッドにマグナムを置いて上着を脱いだ。

ショルダーホルスターを枕元に放り投げ、ベルトに取り付けているポーチからスピードローダーをベッドに並べる。

綺麗な布を用意したらスピードローダーから弾を抜き取り、布で優しく汚れを拭き取る。
マスタングに一度収納すれば問題無いのかもしれないが、イズミは定期的に布で拭く程度の簡易な清掃は自ら行っている。

一通り布で拭き取ったら、弾を込め直してポーチへと戻した。

イズミがマグナムの汚れを落とそうと、シリンダーをスイングアウトさせて弾を抜き取る。

雨音が聞こえてきたので半分閉めていた木窓から外を覗くと、いよいよ本降りになって来た。

「雨か…憂鬱だな」

イズミは木窓を完全に閉めてから、マグナムの掃除に取り掛かった。

枕元に置いたショルダーホルスターを身に着けてから、掃除をし終えたマグナムを仕舞う。

身体を拭く為に宿の受付の所まで行き、水汲み場を教えて貰い水の確保をする。

飲水として使えるとの事なので、持っている水筒を満たしてから残りを体拭きに使う事にした。

身体を拭いてサッパリとしたイズミは、腰の装備類をベッドの足元に置きマグナムを枕の下に忍ばせた。

夜の雨音が心地よいので、イズミはリラックスしながら瞼を閉じた。


翌朝。
イズミは装備を身に着けてから、宿屋を出て商店街へと足を向かわせた。

魔道具を取り扱う店で、携帯用の明かりを入手する為である。
今までは宿屋で明かりを借りていたが、個人用で必要だと思ったからだ。

昨夜の雨で泥濘みが残る通りを進みながら、店の中を覗いて魔道具が売っていそうな店を探す。

途中で店の扉が開きっぱなしだが黒い布が垂れ下がる、店内が見えず入りにくい店が気になったので挑戦した。

「魔道具の明かりかい?」

店にいた御婦人に欲しい物があるか尋ねると、3つほど用意された。

安いの、普通の、高級の順番で見せて貰えた。

安いのは魔石がぼんやりと光るもので、普通のは蝋燭の形をしていて先端が光る魔石になっていた。
高級なのは2つ目の蝋燭の改良品だった。

イズミは普通のと紹介された魔道具を1つ購入した。
銀貨で6枚だったが、それが妥当なのかは分かっていない。

使い方は魔石部分を握ると、握った人間の魔力を必要量吸収して光ると言う簡単な代物だった。

買い物を終えて宿に戻る途中で、ふとアーリアに聞き忘れていた石の事を思い出した。
イズミは魔法通信だけかけてから、商店街をまったりと歩いた。


「これはアメジストね。小振りだけど、何に使うの?」

昨日今日と転移魔法でアーリアに来てもらったので、ラムネとクッキーを手土産がてら渡したイズミが、石を見てもらった。

「うーん。ネックレスや指輪にはしたくないからな」

イズミが腕を組みながら考えていた時、常に身に着けているブレスレットが目に入った。
銀色のブレスレットには魔石の類もついてはいない、シンプルなものなので、アメジストを加工してワンポイントで取り付けてとかは可能だろうか?

「このブレスレットに加工して取り付けるってのは出来るか?」

「追加で取り付けると、見た目が悪くなるけど大丈夫?」

イズミはアーリアからの確認に問題無いと伝えると、ブレスレットとアメジストを手渡した。
アーリアは魔法でバングルを取り出すと、イズミの左手に取り付ける。

「コレを貸しておくわね。加工が終わったら連絡するわ」

アーリアが転移魔法で帰るのを見送ったイズミは、美味しい食事を求めて再び商店街のある方へと歩き出した。
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