異世界無宿

ゆきねる

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第十三章 陰謀の気配

第百七十五話 いざハルハンディア共和国へ

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「では、我々は出発します。色々とお世話になりました」

イズミは訓練後の休憩を終えたベリアと一緒に、アレクセイ達に最後の挨拶をする。

「うむ。派手に暴れない方が平穏な旅路となるだろうな」

アレクセイはそう言って笑う。

「いや~、それは難しいと思うぞ。イズミは面倒事に愛されてるから」

ベリアが速攻で否定してしまう。
それを聞いたエレナやゾルダが口元を隠すようにして笑っている。

「そんなか?」

「確かに、それはあるな」

エレナの背後からジーヴルが現れると、否定しようとしたイズミの発言を止める。

「其奴は我ら精霊からしても、面白い男じゃ。興味本位で近付く者が今後も増えるじゃろう」

氷の精霊であるジーヴルのお墨付きを得てしまった。
イズミは少し困った表情をしてから、腕を組んだ。

「面白ければ、それも有りか」

刺激が無い生き方よりは、少しでも刺激が有った生き方のが面白い。
そう考えたのだ。

ベリアを助手席に乗せると、イズミはマスタングへ乗り込んでドアを閉める。
直ぐにマスタングが起動して重低音を響かせる。

「では、また何処かで」

そう言ってイズミは辺境伯の邸宅から出発した。


「まず、寄り道だな。回収する代物があってな」

「代物って、レア物か?」

「うまく使えば、ちょっとした賄賂になる…かもしれない」

そんな会話をしながらパールのネックレスを受け取りにマスタングを走らせる。

道中で一泊を挟み、翌日の昼間…腕時計だと午前中…に店に到着した。

「いらっしゃい…アンタか!」

職人のドルフが店の奥から姿を見せる。

「料金は全額前払いだから良いが、幾つ受け取りに来るのかと待ってたんだ」

「此方にも色々と用事が出来てな」

ドルフが店の奥へ戻ると、綺麗な木箱を持って戻って来た。
木箱を開けると、内側に赤い布が張られている。

「どうだ?使用しているのは全て、この国で認定を受けている純銀だ」

細身のチェーンもパールの受けも、しっかりと作り込まれたネックレスに仕上がっていた。
パールを固定している金具の両側に、波の模様をあしらった小振りなリングがある。

「綺麗に波模様が出来てるな」

「最初は苦労したが、慣れると楽しくなってな…灰色の布が銀磨き用で、白い布がパールを拭く用だ。ま、貴族ならメンテナンスくらい分かるだろ」

木箱をイズミへ手渡すと、ドルフは店の奥へ戻ってゆく。

「また来いよ!次はもっと凝ったのを作りたい」

「良い案が浮かんだらな」

イズミは木箱を左手に持ち、マスタングへと歩き出した。

「待たせた」

イズミがマスタングへ乗り込み、グローブボックスに木箱を仕舞う。

「では、ハルハンディアに向かうとしますか」

マスタングのアクセルを踏み込み、町の出入口へと走らせる。

辺境伯の屋敷での日々では、あまりマスタングを走らせられなかった。
今回の旅路では思う存分走れると信じ、町の門番へ手続きをする。

「2人なら銀貨2枚だ。よし、通ってくれ!良い旅路を」

門番への挨拶をして、新たな旅路へとマスタングを進ませる。
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