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第十五章 ハルハンディア共和国
第二百十一話 ドワーフの勘
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「折角店に来たんだ、無料で刃を研ごうか?」
「良いのか?じゃぁ頼む!」
ナイフを片付けたドワーフがベリアのナイフを受け取ると、目の前で砥石と他の道具を用意して研ぎ始める。
「こいつは良いナイフだ。えらく特殊な作り方をしているが、間違い無く上物だ」
研ぎ終えると刃を綺麗な布で拭き、光の下で状態を確認する。
「まるで所有者の力を引き出したがっているかのようだ」
ドワーフの呟きベリアの動きが止まる。
もしかしたら、思い当たる節があるのかもしれない。
「最初は魔石で研いだのかと思ったが、研いでみて分かった。これは俺の勘だが、このナイフは良い鉄に良い魔石を溶かし込んでいる」
ドワーフからナイフを受け取ったベリアが、状態を確認した後に慣れた動作でシースに仕舞う。
「鉄と魔石では溶ける温度が違う。素材としての相性も良いとは言い難い。それでもこの出来栄え、かなりの熟練工が拵えたナイフと見た」
ドワーフが笑いながら話を続ける。
「久しぶりに良いナイフを見て、燃えてきたぞ」
ベリアがイズミの方を見て、何か言いたげな表情をする。
流石に魔改造しましたとは言い出せない雰囲気だったので、ベリアとアイコンタクトを取って黙っておく事に決めた。
「工房にそのナイフを見せたら、恐らく回答は2つ来るだろう。1つは金貨数百枚で新たなナイフを特注で製作する。もう一つは…」
砥石を片付け終えたドワーフがベリアの目を見る。
「そのナイフとの物々交換だ」
「ドワーフの職人が、物々交換を提案するのか?」
「あり得るな。そのナイフは最早、魔法剣の類と成っておる。それはつまり、魔剣としての素養を持っているのと同義だ」
ベリアの目が大きく見開き、ククリナイフに手をかける。
「魔法剣を作れる者はドワーフとて非常に少ない。金はしっかり貰うが好奇心や探求心の旺盛な者が殆どのドワーフ工房だ。提案は来るだろうな」
そこまで言ったドワーフだったが、また笑いながら話を続けた。
「俺の手に余る代物だ。見れただけ、刃を研げただけでも幸せ者よ!」
満足気なドワーフの笑い声を聞いた2人は、挨拶をして店を後にした。
「…そんな凄い武器だったんだな」
ベリアが改めて口にした。
まだ実感が湧いてきていないようだ。
「マスタングの魔改造ナイフだからな。想定の範囲を越える事は多々ある」
イズミは特に驚いてはいなかった。
ベリアと魔改造ナイフのコンビは、既にクラーケンを葬った実績があるからだ。
「交換って言われても…」
「別に構わないぞ。俺もドワーフの作る至極の逸品には興味があるし、マスタングも魔改造に協力してくれるぞ」
「そうやって魔法剣を増やそうとするな!冒険者にとって、魔法剣や魔剣は伝説の武器なんだからな」
「希少故の伝説、価値ってやつか」
買い出しの途中だが、周囲に悟られないように話し込む。
「自分には不相応だ、なんて考えるなよ?」
イズミは先んじて釘を差しておいた。
ベリアが少し、しゅんと小さくなっているように見えたからだ。
「でも…」
「良いんだよ、人生は楽しんだ者勝ちだ。特に冒険者や旅人ってのはな」
旅をして冒険をして、その道中で手に入れた代物なのだから、誰も文句を言う権利は無い。
他の冒険者連中や貴族からの妬みはがっつりあるかもしれないが、それは単に縁が無かっただけ。
そんなものである。
「深く考えない方が楽だぞ?少なくとも、俺は深く物事を考えるのは止めてるし、ベリアから見ても分かる通り…俺はその場のノリと勢いで生きてるけど、どうにかなってる」
「…確かに」
ベリアは納得したようだが、その納得だと自分が本当に後先を考えていない、ノリと勢いの男だと思っているように感じるのは気の所為だろうか?
確認したい気持ちもあったが、何時ものベリアに戻ったので、聞くのは止めにした。
「良いのか?じゃぁ頼む!」
ナイフを片付けたドワーフがベリアのナイフを受け取ると、目の前で砥石と他の道具を用意して研ぎ始める。
「こいつは良いナイフだ。えらく特殊な作り方をしているが、間違い無く上物だ」
研ぎ終えると刃を綺麗な布で拭き、光の下で状態を確認する。
「まるで所有者の力を引き出したがっているかのようだ」
ドワーフの呟きベリアの動きが止まる。
もしかしたら、思い当たる節があるのかもしれない。
「最初は魔石で研いだのかと思ったが、研いでみて分かった。これは俺の勘だが、このナイフは良い鉄に良い魔石を溶かし込んでいる」
ドワーフからナイフを受け取ったベリアが、状態を確認した後に慣れた動作でシースに仕舞う。
「鉄と魔石では溶ける温度が違う。素材としての相性も良いとは言い難い。それでもこの出来栄え、かなりの熟練工が拵えたナイフと見た」
ドワーフが笑いながら話を続ける。
「久しぶりに良いナイフを見て、燃えてきたぞ」
ベリアがイズミの方を見て、何か言いたげな表情をする。
流石に魔改造しましたとは言い出せない雰囲気だったので、ベリアとアイコンタクトを取って黙っておく事に決めた。
「工房にそのナイフを見せたら、恐らく回答は2つ来るだろう。1つは金貨数百枚で新たなナイフを特注で製作する。もう一つは…」
砥石を片付け終えたドワーフがベリアの目を見る。
「そのナイフとの物々交換だ」
「ドワーフの職人が、物々交換を提案するのか?」
「あり得るな。そのナイフは最早、魔法剣の類と成っておる。それはつまり、魔剣としての素養を持っているのと同義だ」
ベリアの目が大きく見開き、ククリナイフに手をかける。
「魔法剣を作れる者はドワーフとて非常に少ない。金はしっかり貰うが好奇心や探求心の旺盛な者が殆どのドワーフ工房だ。提案は来るだろうな」
そこまで言ったドワーフだったが、また笑いながら話を続けた。
「俺の手に余る代物だ。見れただけ、刃を研げただけでも幸せ者よ!」
満足気なドワーフの笑い声を聞いた2人は、挨拶をして店を後にした。
「…そんな凄い武器だったんだな」
ベリアが改めて口にした。
まだ実感が湧いてきていないようだ。
「マスタングの魔改造ナイフだからな。想定の範囲を越える事は多々ある」
イズミは特に驚いてはいなかった。
ベリアと魔改造ナイフのコンビは、既にクラーケンを葬った実績があるからだ。
「交換って言われても…」
「別に構わないぞ。俺もドワーフの作る至極の逸品には興味があるし、マスタングも魔改造に協力してくれるぞ」
「そうやって魔法剣を増やそうとするな!冒険者にとって、魔法剣や魔剣は伝説の武器なんだからな」
「希少故の伝説、価値ってやつか」
買い出しの途中だが、周囲に悟られないように話し込む。
「自分には不相応だ、なんて考えるなよ?」
イズミは先んじて釘を差しておいた。
ベリアが少し、しゅんと小さくなっているように見えたからだ。
「でも…」
「良いんだよ、人生は楽しんだ者勝ちだ。特に冒険者や旅人ってのはな」
旅をして冒険をして、その道中で手に入れた代物なのだから、誰も文句を言う権利は無い。
他の冒険者連中や貴族からの妬みはがっつりあるかもしれないが、それは単に縁が無かっただけ。
そんなものである。
「深く考えない方が楽だぞ?少なくとも、俺は深く物事を考えるのは止めてるし、ベリアから見ても分かる通り…俺はその場のノリと勢いで生きてるけど、どうにかなってる」
「…確かに」
ベリアは納得したようだが、その納得だと自分が本当に後先を考えていない、ノリと勢いの男だと思っているように感じるのは気の所為だろうか?
確認したい気持ちもあったが、何時ものベリアに戻ったので、聞くのは止めにした。
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