異世界無宿

ゆきねる

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第十八章 手掛かりを探して

第二百四十九話 飯食べて酒屋に行く

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飯屋に入った2人はテーブル席へ案内される。

「凄え良い匂いがする」

「フォレストリザードのシチューです!オススメですよ」

店員が説明してくれた料理を2人して注文する。
イズミのシチューのイメージは日本のクリームシチューだが、この異世界では標準的な煮込み料理だ。

良い匂いがしているので、味も確かだと判断しての注文だった。

「でイズミ、この町で何かするのか?」

「特に考えてはいないな。まず食料の買い出しをして、次の町までの移動ルートを調べて。ちょっかいを掛けられたら考えるかなってくらいだ」

イズミとしては特に用事は無いと伝える。

「ベリアは何かあるか?あるなら手を貸すぞ」

「…商人ギルドの件が、どうも気になる。変な臭いがするんだ。風に乗って遠くから来てる感じ」

それ以上は言わなかったが、ベリアは気になって仕方が無いようだ。

「なら調べてみるか。後でマスタングにも確認しよう」

今いるのは飯屋で、もうすぐ食欲を刺激するシチューが届くのだ。
難しい話は後にしたい。

「お待たせしました!フォレストリザードのシチューです。こちらのパンと一緒にどうぞ」

木製の大きな皿にたんまりと入ったシチューに、旅路では食べない柔らかめのパンがついてきた。
出来立てなのか湯気が見えるのが有り難い。

温かい料理と言うだけで、幸福度が増すのだ。

よく見ると肉は大きくカットされており食べ応えがあり、葉野菜や根菜もしっかりと煮込まれて味が染みているようだ。
旅先にある飯屋のオススメ料理を食す、これぞ旅の醍醐味である。

味わうようにじっくりと食事をしていると、ベリアは耳がピクピクと動かしながらパクパクと食べ進めている。

相変わらずの爆速で食べ終えたベリアが、椅子に寄りかかりながら店内で世間話をしている客の話を聞き分けていた。

「…変な話は聞こえないな」

「なら良かった」

ようやく食べ終えたイズミが肩を回しながら、周囲を見渡して席を立った。
店員に会計を済ませてから、2人はゆっくりと店を出る。

「思い出した。あの臭い、呪い返しを受けた奴からした臭いと一緒だ」

「え?」

歩き始めてすぐベリアがポソッと零した言葉を、聞きそびれたイズミが立ち止まって聞き返した。

「間違い無い、この町に居るぞ。呪い返しを受けた奴の片割れ」

どうもベリアは風の女神の加護を得てから、自らの能力が成長しているらしい。
集中すれば以前より遠くの匂い、風に乗って来る匂いも嗅ぎ分けられる領域に到達していると言う。

ベリアの話を信じるならば、この町でも調査をしなければならない。

「そうか、なら宿屋に戻ったらマスタングにも確認をしてもらおう」

新しい町の商店通りが目の前にあるのに、それを後回しにするのは勿体無いと判断したイズミは、調査は一旦保留にして通りを歩き始めた。

「イズミ!酒屋があるぞ」

ベリアが目敏く酒屋を発見し、イズミの腕を引っ張って酒屋へ一直線に向かい出す。

「おいそっちの腕を引っ張るな、まだ痛いんだって!」

問題はベリアがイズミの左腕を引っ張っている事である。
どうも約1ヶ月程度は痛みが残ると言うのは、あながち間違いでは無いようだ。

酒屋に入り商品を眺めていると、きちんとした身なりの男がやって来た。

「いらっしゃい。何かお探しですか?」

「美味い酒だな」

男に対してベリアがあっけらかんと答えるので、イズミが代わりに色々と聞いてみる事にした。

「コッチの酒には疎くてね、まずどういった酒が主力商品なのか教えて欲しいな」

「そう言う事でしたら」

男が酒棚を案内しながら説明を始める。

「当店はドワーフ酒と国内で製造されているワイン、それとエールを中心に販売をしております」

酒瓶はドワーフ酒とワイン、樽販売はエールとワインらしい。

「ドワーフ酒も多種多様でして、大きく分けて2級1級特級、3つの組分けがされています」

自家製の酒は3級と言う隠語があると言う豆知識と一緒に、まず2級品の棚へ到着する。

「コチラが2級品のドワーフ酒です」

瓶の形が概ね同じだが微妙に作りの甘い瓶で、ワインボトルに近く色合いは透明のが多かった。
各ボトルには木札が括り付けられており、そこに何処で製造された酒なのかが書かれていた。

「2級品でしたら、どんなに高い商品でも銀貨20枚でお釣りが出ますね。安い分癖が強いのが多いですが」

「下手に飲むと翌朝が辛くなったり?」

「そう言う話もありますね」

次に案内されたのは1級品の商品が並ぶ棚だった。
この棚から瓶の色に茶色や緑色が加わり、瓶の品質も一定になっている。

「1級品は最低でも銀貨50枚からとなります」

2級品と1級品の間に微妙な開きがあるのが気になったが、今は確認しない事にした。

「この木札と一緒に花が飾ってあるのは何です?」

「此方は女性でも飲みやすいようにと、酒精を控えめにしてある商品と言う目印で御座います」

印刷ラベルの無いこの世界で、女性向けと判別させるには良いアイデアだと思いながら、イズミは棚を見つめていた。
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