258 / 619
第十八章 手掛かりを探して
第二百五十話 割り材はあり、特級品は高い
しおりを挟む
特級品の酒棚へ向かう途中に、今までとは少し違う棚があったので店員の男に確認をする。
「失礼、あの棚の商品は?」
「あちらは、ドワーフ酒を薄めて飲む為の飲料で御座います。ドワーフ酒は酒精が強く、そのまま飲むのが難しいお客様もいらっしゃいますので」
「割り材もちゃんとあったのか」
イズミは感心しながら棚の位置を記憶し、特級品の棚まで進んだ。
「此方が特級品の棚となります」
「おぉ、瓶から豪華だ」
ベリアが装飾の施された酒瓶を凝視している隣で、イズミが店員に話を投げる。
「不学で恐縮なのですが、特級と1級品の違いと言うのは?」
「大きな違いは、製造工程にあります。詳しい話は職人や工房の秘密になりますが、熟練の職人がより繊細により時間を掛けて作られた最高品質の商品が特級品と呼ばれております」
特級品の瓶に掛けられた木札の中には、縁に金属のあしらいがある物や、札自体が金属で作られた物もあった。
「金や銀で作られた札の商品は、王侯貴族の方々の試飲会で優秀と認められた商品の証となっております」
店員の男が棚ある瓶から1本取り出すと、試飲分をグラスに注いでイズミへ手渡した。
「…高級品なのに、試飲があるのですか?」
「こちらの商品はドワーフ工房からの計らいでして、試飲分として数本頂いているのです」
イズミは飲む前にグラスを軽く回し香りを確かめる。
エタノール臭は影を潜めており、代わりに香草や柑橘系の香りが鼻腔をかすめる。
「…なるほどね」
嗅ぎ慣れたとは言えないが、紛れも無くジンの香りである。
少しスパイシーな香りが強めではあるが。
2級品のドワーフ酒は粗悪品のウォッカみたいだったが、この世界にもジンは存在しているようだ。
「イズミだけズルいぞ」
ベリアがジト目でイズミを見つめて来たので、グラスをベリアに渡した。
「そうこなくっちゃ、複雑な香りだ。良く飲んでる酒のツンと来る感じが無い」
香りを確かめたベリアがクイッと試飲する。
「しっかりと酒の強さがあるのに、全然クラッとして来ないぞ!コレが特級品…」
ベリアの尻尾がブンブンと揺れているが、途中でピタリと止まった。
「どれどれ…うーん」
イズミはベリアからグラスを受け取り、残りを飲んでみる。
「確かに美味しいが…1つの香りが飛び抜けて目立っているような?」
グラスを返却したイズミは他の瓶も軽く見て見るが、全ての瓶の中身が透明だった。
ウイスキーやバーボンはこの地域には無いのか、はたまたこの世界ではまだ出回っていないのか。
不明だがジンがあるのが分かっただけでも収穫である。
イズミとベリアは割り材の棚へと足を運ぶと、色々と物色を始めた。
この棚にある商品は瓶の中身がカラフルなのだ。
これはカクテル作りも期待出来るかもしれない。
「ここの棚にある商品も、酒で合ってますか?」
「はい、主に2級品のドワーフ酒を元に果物と砂糖と一緒に瓶詰めした物が多いです。完成したら果物を取り除く場合もあります。この国でも砂糖の安定供給の目処が立ちはじめまして、以前よりは価格も安定しました」
説明を聞いたイズミは、気になった酒瓶を何本がピックアップした。
果実酒かリキュールである酒を飲んでみたくなったのもあるが、カクテルを作れる可能性が高まった嬉しさもあった。
「ベリア、飲んでみたいのがあれば言ってくれ」
「分かった!」
考えた結果、イズミはフラスコみたいなデザインが気になった特級品を1本、1級品を2本とリキュール?を数本。
ベリアは1級品を3本とリキュールを2本購入する事に決めた。
特級品が1本で金貨10枚と言われた時は一瞬身体が震えたが、金銭に余裕があったので購入してしまった。
「ありがとう御座いました」
店員が店の入口まで来て挨拶をしてくれたのが、高級な店と言う感じでむず痒いものがあった。
「イズミ、宿屋に戻ったら酒盛りしような!」
「酒だけだとキツいから、ツマミとか水とかも必要だな」
その後ベリアは通りの店を駆け巡り酒のツマミを買い漁り、ウキウキな足取りで宿屋まで戻って来た。
イズミはマスタングから念の為にソフトドリンクやトニックウォーターを実体化させ、忘れかけていたベリアの話をマスタングに伝えた。
「…スキャン完了しました。この町にて呪い返しが発動した形跡があります」
「やはりベリアの話は正しかったか」
「詳細な位置を特定しますか?」
「…今日は止めておこう。明日から本格的に動く事になるかもしれない」
マスタングへの魔力補給を済ませたイズミは過去に実体化してもらったカクテルセットを確認し、宿屋で酒盛りの準備を進めるベリアの元まで歩いて行った。
「失礼、あの棚の商品は?」
「あちらは、ドワーフ酒を薄めて飲む為の飲料で御座います。ドワーフ酒は酒精が強く、そのまま飲むのが難しいお客様もいらっしゃいますので」
「割り材もちゃんとあったのか」
イズミは感心しながら棚の位置を記憶し、特級品の棚まで進んだ。
「此方が特級品の棚となります」
「おぉ、瓶から豪華だ」
ベリアが装飾の施された酒瓶を凝視している隣で、イズミが店員に話を投げる。
「不学で恐縮なのですが、特級と1級品の違いと言うのは?」
「大きな違いは、製造工程にあります。詳しい話は職人や工房の秘密になりますが、熟練の職人がより繊細により時間を掛けて作られた最高品質の商品が特級品と呼ばれております」
特級品の瓶に掛けられた木札の中には、縁に金属のあしらいがある物や、札自体が金属で作られた物もあった。
「金や銀で作られた札の商品は、王侯貴族の方々の試飲会で優秀と認められた商品の証となっております」
店員の男が棚ある瓶から1本取り出すと、試飲分をグラスに注いでイズミへ手渡した。
「…高級品なのに、試飲があるのですか?」
「こちらの商品はドワーフ工房からの計らいでして、試飲分として数本頂いているのです」
イズミは飲む前にグラスを軽く回し香りを確かめる。
エタノール臭は影を潜めており、代わりに香草や柑橘系の香りが鼻腔をかすめる。
「…なるほどね」
嗅ぎ慣れたとは言えないが、紛れも無くジンの香りである。
少しスパイシーな香りが強めではあるが。
2級品のドワーフ酒は粗悪品のウォッカみたいだったが、この世界にもジンは存在しているようだ。
「イズミだけズルいぞ」
ベリアがジト目でイズミを見つめて来たので、グラスをベリアに渡した。
「そうこなくっちゃ、複雑な香りだ。良く飲んでる酒のツンと来る感じが無い」
香りを確かめたベリアがクイッと試飲する。
「しっかりと酒の強さがあるのに、全然クラッとして来ないぞ!コレが特級品…」
ベリアの尻尾がブンブンと揺れているが、途中でピタリと止まった。
「どれどれ…うーん」
イズミはベリアからグラスを受け取り、残りを飲んでみる。
「確かに美味しいが…1つの香りが飛び抜けて目立っているような?」
グラスを返却したイズミは他の瓶も軽く見て見るが、全ての瓶の中身が透明だった。
ウイスキーやバーボンはこの地域には無いのか、はたまたこの世界ではまだ出回っていないのか。
不明だがジンがあるのが分かっただけでも収穫である。
イズミとベリアは割り材の棚へと足を運ぶと、色々と物色を始めた。
この棚にある商品は瓶の中身がカラフルなのだ。
これはカクテル作りも期待出来るかもしれない。
「ここの棚にある商品も、酒で合ってますか?」
「はい、主に2級品のドワーフ酒を元に果物と砂糖と一緒に瓶詰めした物が多いです。完成したら果物を取り除く場合もあります。この国でも砂糖の安定供給の目処が立ちはじめまして、以前よりは価格も安定しました」
説明を聞いたイズミは、気になった酒瓶を何本がピックアップした。
果実酒かリキュールである酒を飲んでみたくなったのもあるが、カクテルを作れる可能性が高まった嬉しさもあった。
「ベリア、飲んでみたいのがあれば言ってくれ」
「分かった!」
考えた結果、イズミはフラスコみたいなデザインが気になった特級品を1本、1級品を2本とリキュール?を数本。
ベリアは1級品を3本とリキュールを2本購入する事に決めた。
特級品が1本で金貨10枚と言われた時は一瞬身体が震えたが、金銭に余裕があったので購入してしまった。
「ありがとう御座いました」
店員が店の入口まで来て挨拶をしてくれたのが、高級な店と言う感じでむず痒いものがあった。
「イズミ、宿屋に戻ったら酒盛りしような!」
「酒だけだとキツいから、ツマミとか水とかも必要だな」
その後ベリアは通りの店を駆け巡り酒のツマミを買い漁り、ウキウキな足取りで宿屋まで戻って来た。
イズミはマスタングから念の為にソフトドリンクやトニックウォーターを実体化させ、忘れかけていたベリアの話をマスタングに伝えた。
「…スキャン完了しました。この町にて呪い返しが発動した形跡があります」
「やはりベリアの話は正しかったか」
「詳細な位置を特定しますか?」
「…今日は止めておこう。明日から本格的に動く事になるかもしれない」
マスタングへの魔力補給を済ませたイズミは過去に実体化してもらったカクテルセットを確認し、宿屋で酒盛りの準備を進めるベリアの元まで歩いて行った。
31
あなたにおすすめの小説
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密
藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。
そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。
しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。
過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
通販で買った妖刀がガチだった ~試し斬りしたら空間が裂けて異世界に飛ばされた挙句、伝説の勇者だと勘違いされて困っています~
日之影ソラ
ファンタジー
ゲームや漫画が好きな大学生、宮本総司は、なんとなくネットサーフィンをしていると、アムゾンの購入サイトで妖刀が1000円で売っているのを見つけた。デザインは格好よく、どことなく惹かれるものを感じたから購入し、家に届いて試し切りをしたら……空間が斬れた!
斬れた空間に吸い込まれ、気がつけばそこは見たことがない異世界。勇者召喚の儀式最中だった王城に現れたことで、伝説の勇者が現れたと勘違いされてしまう。好待遇や周りの人の期待に流され、人違いだとは言えずにいたら、王女様に偽者だとバレてしまった。
偽物だったと世に知られたら死刑と脅され、死刑を免れるためには本当に魔王を倒して、勇者としての責任を果たすしかないと宣言される。
「偽者として死ぬか。本物の英雄になるか――どちらか選びなさい」
選択肢は一つしかない。死にたくない総司は嘘を本当にするため、伝説の勇者の名を騙る。
レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる