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第十八章 手掛かりを探して
第二百五十六話 スタンピードの気配
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冒険者ギルドの建物に到着したイズミは昨日と同様に近くの店で時間を潰そうとしていたが、建物から出て来た職員達に勢い良くベリアが連れて行かれたついでにがてら、何故か一緒に応接室へと案内された。
「こらお前ら、お祭りじゃないんだぞ!」
元気な職員達に叱責している男を見ると、この男が冒険者ギルドの責任者なのだろう。
上質な服だが大分くたびれており、男の髪は非常に寂しい状態だった。
「職員達が大変失礼いたしました」
「…あー、大丈夫だ」
丁寧な謝罪を受けたベリアが答える。
ソファへ案内されたベリアが座ると、男が会話を切り出した。
「では改めて。私はこのトーテリア町の冒険者ギルド長をしております、ヨーレムと申します。早速ですが」
ヨーレムと名乗る男が簡素な木箱をテーブルに置くと、中からカードと1枚の書類を取り出した。
「ジェヴェドール王国の冒険者ギルドから連絡を受けました。内容ですが、ベリア氏の冒険者ランクを上げると正式に決まりました」
テーブルに置かれた金色のカードを見たベリアの尻尾がブワッと膨らんだ。
「Aランク…ゴールドカードだ」
「Aランクになると、何か特典でもあるのか?」
喜んでいるベリアは一旦放っておいて、ヨーレムに確認をした。
「Aランクになりますと、冒険者ギルドが運営する宿屋でしたり都市部でしたら戸建てを借りる際に優遇やその他サービスが付きます」
「その対価は?」
「緊急事態において、その対応が義務付けられます。例えばですが活動拠点付近でのスタンピード発生時、Aランク以上の冒険者は必ず戦闘に参加しなければならない、とかです。拒否した場合は冒険者ギルドからの強制退会となります」
「例外もあるのか?」
「勿論御座いますが、その判定は冒険者ギルド本部の者が情報を精査した後に下す事になっております」
質問への回答を聞いていたベリアが、ヨーレムに尋ねた。
「ギルドからの招集命令って、どう受け取るんだ?」
「今後は冒険者ギルドのある町に到着しましたら、到着、滞在期間、出発と行き先の報告が必要となります。行き先はおおよそで構いませんが、決まっている場合は報告となります、行き先に魔法通信を繋ぎ連絡する決まりになってまして」
高ランクの冒険者はその実力が故に、行動に制限が入るようだ。
「ソロのAランク冒険者ってのは結構いるのか?」
「いえ、ほとんどは冒険者パーティーに対して交付されますね。ベリア氏は単独でもAランクのパーティーに匹敵する実力だと判断がされたのです」
「…イズミのお陰なんだけどな」
ベリアとヨーレムの視線がイズミに向いたが、イズミは一切気にしない事に決め込んだ。
「緊急時にはベリアがギルドからお呼び出しを受けて、現場に向かう事になると」
「そうなります」
「その時の移動の足は、ギルドが手配するのか?」
「場合によって様々です。パーティーで馬車を所有している事も多々ありますので」
「緊急時に都合良く移動の足が手配しきれるのかは疑問だな。ベリアと旅を共にしている俺を体よく利用したいと言う思惑が見え隠れしている気がするのは気の所為か?」
イズミはヨーレムを無感情な目で睨みつけた。
表情も特に無く感情も見えないが、相手を突き刺す様な視線だった。
「それもあると思います。なので、此方の書面が一緒にあるのです」
ヨーレムが書面を開き、要点を教えてくれた。
「ベリア氏はソロの冒険者なので、緊急時の対応に関しては原則として局地的な戦闘のみとする。ただし、広範囲の移動が可能な場合は対応に協力頂きたい」
「ギルドからは直接俺に頼めないから、ベリアを通じて対応を依頼するとはな」
腕を組み壁に寄りかかったイズミが小さくため息をついた。
「それじゃまるで、アタイが冒険者ギルドの代わりにイズミを利用してるみたいだ」
「だな。姑息な手段の一言で終わるが、訳ありか?」
ベリアが疑いの眼差しをヨーレムに向けるので、イズミは真意の確認をする。
「…既に国内にてスタンピード発生の兆候があります。現在Aランク冒険者のパーティーが調査をしておりますが、食い止め及び阻止は困難だと昨日報告がありました」
「こらお前ら、お祭りじゃないんだぞ!」
元気な職員達に叱責している男を見ると、この男が冒険者ギルドの責任者なのだろう。
上質な服だが大分くたびれており、男の髪は非常に寂しい状態だった。
「職員達が大変失礼いたしました」
「…あー、大丈夫だ」
丁寧な謝罪を受けたベリアが答える。
ソファへ案内されたベリアが座ると、男が会話を切り出した。
「では改めて。私はこのトーテリア町の冒険者ギルド長をしております、ヨーレムと申します。早速ですが」
ヨーレムと名乗る男が簡素な木箱をテーブルに置くと、中からカードと1枚の書類を取り出した。
「ジェヴェドール王国の冒険者ギルドから連絡を受けました。内容ですが、ベリア氏の冒険者ランクを上げると正式に決まりました」
テーブルに置かれた金色のカードを見たベリアの尻尾がブワッと膨らんだ。
「Aランク…ゴールドカードだ」
「Aランクになると、何か特典でもあるのか?」
喜んでいるベリアは一旦放っておいて、ヨーレムに確認をした。
「Aランクになりますと、冒険者ギルドが運営する宿屋でしたり都市部でしたら戸建てを借りる際に優遇やその他サービスが付きます」
「その対価は?」
「緊急事態において、その対応が義務付けられます。例えばですが活動拠点付近でのスタンピード発生時、Aランク以上の冒険者は必ず戦闘に参加しなければならない、とかです。拒否した場合は冒険者ギルドからの強制退会となります」
「例外もあるのか?」
「勿論御座いますが、その判定は冒険者ギルド本部の者が情報を精査した後に下す事になっております」
質問への回答を聞いていたベリアが、ヨーレムに尋ねた。
「ギルドからの招集命令って、どう受け取るんだ?」
「今後は冒険者ギルドのある町に到着しましたら、到着、滞在期間、出発と行き先の報告が必要となります。行き先はおおよそで構いませんが、決まっている場合は報告となります、行き先に魔法通信を繋ぎ連絡する決まりになってまして」
高ランクの冒険者はその実力が故に、行動に制限が入るようだ。
「ソロのAランク冒険者ってのは結構いるのか?」
「いえ、ほとんどは冒険者パーティーに対して交付されますね。ベリア氏は単独でもAランクのパーティーに匹敵する実力だと判断がされたのです」
「…イズミのお陰なんだけどな」
ベリアとヨーレムの視線がイズミに向いたが、イズミは一切気にしない事に決め込んだ。
「緊急時にはベリアがギルドからお呼び出しを受けて、現場に向かう事になると」
「そうなります」
「その時の移動の足は、ギルドが手配するのか?」
「場合によって様々です。パーティーで馬車を所有している事も多々ありますので」
「緊急時に都合良く移動の足が手配しきれるのかは疑問だな。ベリアと旅を共にしている俺を体よく利用したいと言う思惑が見え隠れしている気がするのは気の所為か?」
イズミはヨーレムを無感情な目で睨みつけた。
表情も特に無く感情も見えないが、相手を突き刺す様な視線だった。
「それもあると思います。なので、此方の書面が一緒にあるのです」
ヨーレムが書面を開き、要点を教えてくれた。
「ベリア氏はソロの冒険者なので、緊急時の対応に関しては原則として局地的な戦闘のみとする。ただし、広範囲の移動が可能な場合は対応に協力頂きたい」
「ギルドからは直接俺に頼めないから、ベリアを通じて対応を依頼するとはな」
腕を組み壁に寄りかかったイズミが小さくため息をついた。
「それじゃまるで、アタイが冒険者ギルドの代わりにイズミを利用してるみたいだ」
「だな。姑息な手段の一言で終わるが、訳ありか?」
ベリアが疑いの眼差しをヨーレムに向けるので、イズミは真意の確認をする。
「…既に国内にてスタンピード発生の兆候があります。現在Aランク冒険者のパーティーが調査をしておりますが、食い止め及び阻止は困難だと昨日報告がありました」
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