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第二十一章 武器が出来るまで
第三百二十五話 交渉
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イズミ達の話を聞き終えたグラントは目を閉じ、長い沈黙の末に口を開いた。
「儂は自分の推理はある程度的を射ていると思っている。このままでは上の者達もアーティファクトの能力目的に接触を試みるだろうと言う推論もな。それはイズミやベリアにラミア族の皆々へ迷惑を被り、領地内にも不必要な混乱が生じる結果になる事は火を見るより明らかだ。それは避けたい」
領主たる者、領地内で問題になり得る事象は安全かつ穏便に片付けられるならば、そうしたいのだ。
「儂個人としてはその能力に頼る目的で関係構築をするつもりは無い。しかしながら、他の貴族が同様の考えに至るかと聞かれると、非常に答え難い。そう言った貴族達への牽制も含めて、友好的な関係を築く事が円滑な領地運営に必要であると認識している」
「只の旅人1人にそんな事をしていたら、心労で胃に穴が開きますよ」
「貴族としても領主としても、様々の事を考え決断し対応せねばならんのだ。気を病んでいれば瞬く間に領民が苦しみ、巡り巡って我々が苦しむ事になる」
グラントはそう言って扉の前に立つ騎士へ目をやると、イズミ達へ頭を下げた。
「…この通りだ」
「頭をお上げ下さい、貴方が頭を下げてしまう事が複雑になります。思うところは幾つかありますが、実務的な話をしましょう」
イズミはグラントに頭を上げてもらってから、一度フラウリアと打ち合わせをする。
「フラウリアさん、グラント公爵家との交友関係は?」
「ラミア族として、勿論ありますけど」
「私が賓客としてラミア族の皆さんにお世話になっている時に限り、何方かを受付役とか仲介役を用意する事は可能ですか?」
「つまり…グラント公爵家の担当者とラミア族の担当者間で、イズミさんに関するホットラインの形成する。そのようなイメージでしょうか」
フラウリアはやはり要領が良い。
自分の拙い考え方であっても、ある程度言語化をしてくれる。
「賓客に対してグラント公爵とて直接話を持ち込むとなると、干渉行為と受け取られても文句は言えないでしょうから…」
「分かりやすい連絡手順としては、確かに有用ですね。グラント公爵家が他領地の貴族や元老院に対する話のまとめ役となり、我々ラミア族が賓客として扱う者への専用窓口を開設し対応する」
「そこまでやる理由が、私の様な人間に対して必要かと言われたら…そんな事は無いと思いますがね」
そう言って肩をすくめたイズミだったが、ベリアもフラウリアも表情は硬いままだった。
「もし『仮に』先程の例え話が現実になる得る可能性が有るとすれば、イズミさんは不特定多数に対して良薬にも劇薬にも毒薬にもなりかねないアーティファクトの所有者となります。真っ当な領主や管理者ならば手は出さずとも、目の届く範囲内に居るなら動向の把握くらいはしておきたいでしょうね」
「仮にとか、かもしれないとかで人と時間を使っていたら、いつか過労で倒れるぞ?」
「領主の仕事には、有事に備える事も含まれてますから」
「俺は要注意人物とか危険人物の類に分類されるのか」
イズミは少し肩を落とし、小さくため息をついた。
「一部の人物からそう思われるだけで、ほとんどの方は旅人としか思いませんから、その辺りは問題無いかと」
「…そう思う事にするよ」
フラウリアとの調整を済ませたイズミは、グラントへ向き直り話をまとめる。
「現状で実現可能な関係構築案として…グラント公爵家とラミア族間で専用の連絡網を作る。グラント公爵家は他の貴族からの話をまとめ、ラミア族の担当者に伝える。ラミア族がそれを受け取り私に取り次ぐ。返事の流れはその逆となります。少々手間かもしれませんが、改良点があれば逐次対応してゆくと言う事で如何でしょうか」
「…それで構わない。一度儂の目に入ると分かれば、他の貴族達も迂闊な事は出来ぬだろう」
グラントは安堵の表情を浮かべると、実務者の選定後にラミア族へ改めて報告する事で話が纏まった。
「儂は自分の推理はある程度的を射ていると思っている。このままでは上の者達もアーティファクトの能力目的に接触を試みるだろうと言う推論もな。それはイズミやベリアにラミア族の皆々へ迷惑を被り、領地内にも不必要な混乱が生じる結果になる事は火を見るより明らかだ。それは避けたい」
領主たる者、領地内で問題になり得る事象は安全かつ穏便に片付けられるならば、そうしたいのだ。
「儂個人としてはその能力に頼る目的で関係構築をするつもりは無い。しかしながら、他の貴族が同様の考えに至るかと聞かれると、非常に答え難い。そう言った貴族達への牽制も含めて、友好的な関係を築く事が円滑な領地運営に必要であると認識している」
「只の旅人1人にそんな事をしていたら、心労で胃に穴が開きますよ」
「貴族としても領主としても、様々の事を考え決断し対応せねばならんのだ。気を病んでいれば瞬く間に領民が苦しみ、巡り巡って我々が苦しむ事になる」
グラントはそう言って扉の前に立つ騎士へ目をやると、イズミ達へ頭を下げた。
「…この通りだ」
「頭をお上げ下さい、貴方が頭を下げてしまう事が複雑になります。思うところは幾つかありますが、実務的な話をしましょう」
イズミはグラントに頭を上げてもらってから、一度フラウリアと打ち合わせをする。
「フラウリアさん、グラント公爵家との交友関係は?」
「ラミア族として、勿論ありますけど」
「私が賓客としてラミア族の皆さんにお世話になっている時に限り、何方かを受付役とか仲介役を用意する事は可能ですか?」
「つまり…グラント公爵家の担当者とラミア族の担当者間で、イズミさんに関するホットラインの形成する。そのようなイメージでしょうか」
フラウリアはやはり要領が良い。
自分の拙い考え方であっても、ある程度言語化をしてくれる。
「賓客に対してグラント公爵とて直接話を持ち込むとなると、干渉行為と受け取られても文句は言えないでしょうから…」
「分かりやすい連絡手順としては、確かに有用ですね。グラント公爵家が他領地の貴族や元老院に対する話のまとめ役となり、我々ラミア族が賓客として扱う者への専用窓口を開設し対応する」
「そこまでやる理由が、私の様な人間に対して必要かと言われたら…そんな事は無いと思いますがね」
そう言って肩をすくめたイズミだったが、ベリアもフラウリアも表情は硬いままだった。
「もし『仮に』先程の例え話が現実になる得る可能性が有るとすれば、イズミさんは不特定多数に対して良薬にも劇薬にも毒薬にもなりかねないアーティファクトの所有者となります。真っ当な領主や管理者ならば手は出さずとも、目の届く範囲内に居るなら動向の把握くらいはしておきたいでしょうね」
「仮にとか、かもしれないとかで人と時間を使っていたら、いつか過労で倒れるぞ?」
「領主の仕事には、有事に備える事も含まれてますから」
「俺は要注意人物とか危険人物の類に分類されるのか」
イズミは少し肩を落とし、小さくため息をついた。
「一部の人物からそう思われるだけで、ほとんどの方は旅人としか思いませんから、その辺りは問題無いかと」
「…そう思う事にするよ」
フラウリアとの調整を済ませたイズミは、グラントへ向き直り話をまとめる。
「現状で実現可能な関係構築案として…グラント公爵家とラミア族間で専用の連絡網を作る。グラント公爵家は他の貴族からの話をまとめ、ラミア族の担当者に伝える。ラミア族がそれを受け取り私に取り次ぐ。返事の流れはその逆となります。少々手間かもしれませんが、改良点があれば逐次対応してゆくと言う事で如何でしょうか」
「…それで構わない。一度儂の目に入ると分かれば、他の貴族達も迂闊な事は出来ぬだろう」
グラントは安堵の表情を浮かべると、実務者の選定後にラミア族へ改めて報告する事で話が纏まった。
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