異世界無宿

ゆきねる

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第二十二章 一斉捜査

第三百三十七話 ナイフの最終調整

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ソフィアとの打ち合わせの日程調整をしている内に、ベリアのナイフを確認しにドワーフ工房へ向かう。

「来たか…早速試してくれ」

ボンネビルが工房の奥へ消えたので、ベリアは裏手にある広場で試し斬りをしてみる。

「おぉ…」

鞘から抜いたナイフをマジマジと見つめてから魔力を込めると、前回よりも遥かに魔力の流れが作れたようだ。

良く見るとナイフの峰側には溝のようなものがある。

「フッ!」

ナイフを勢い良く振ると、離れた所にあった試し斬り用の木が綺麗に5等分に切れた。

「悪くないな。構えた時のバランスも、振った時に手の内でズレる感じも無い」

「苦労したぞ。魔石が強力過ぎて全然魔鉄になってくれなくてな」

腰を叩きながらボンネビルが広場へと現れ、ナイフの持ち手部分の確認をする。

「手の内でのズレは…思ったより無さそうだ。次はナイフで物を斬ってくれ」

「分かった」

ボンネビルに促されるまま、ベリアはナイフを振って木や鉄の鎧をスパッと斬ってしまう。

「鉄の鎧も両断出来るのか」

「儂が全身全霊で打った剣だ、他の希少金属であっても戦えるぞ」

イズミの呟きに対して、ボンネビルが満足気に答えてくれた。

「それに、魔鉄を作っている時に女神様より天啓を受けてな…」

「なんと?」

「その魔鉄を使った武器は、持てる技術の全てを注ぎ込む事」

「あんな事は初めてだったよ」

そう笑うボンネビルが、試し斬りを終えたベリアから話を聞く。

「どうだった」

「持ち手の革をもう少し太くして欲しいな。鎧を連続で斬った時に僅かに嫌な隙間が出来た感覚がある」

「そうか…どの辺だ?」

「うーん、この辺だな」

「仮で一巻き追加してみて、問題無ければ綺麗に巻き直そう」

ベリアは再度試し斬りをして、問題無い事を確認した。

「これで大丈夫そうだな。刃毀れも無い」

「当然だ。唯でさえ硬いアダマンタイトを、儂が責任を持って限界まで鍛え上げたんだぞ」

ベリア達のやりとりを聞いていたイズミが、ナイフの完成なのかを確認する。

「これで完成か?」

「いやまだだ。鞘が仮ごしらえだからな」

ベリアが見せてくれた鞘は、確かにシンプルで何も塗られていない。

「アダマンタイトのナイフを仕舞う鞘だ、鞘単体でも戦闘が出来る強度にはなるだろうな」

「ナイフと鞘で二刀流が出来そうだな」

イズミが冗談ぽく言ってみたが、ベリアは少し考え込んでいた。

「左手で武器を使うのは不慣れでなぁ」

「練習あるのみ、だろ」

「何処かで時間と場所を確保しないとな」

「グラテミアさんに聞いてみるか」

打ち合わせを済ませたイズミ達は、ドワーフ工房から出ると真っ直ぐ屋敷へと戻る事にする。
フラウリアとベリアが言うには、移動中も何者かの監視の目があるからだそうだ。
イズミは何も分からなかったが、2人が言うならばそうなのだろう。

屋敷へ戻ると、グラテミアがソフィアと話をしたと連絡があった。
内容は魔法通信では話せないが、かなり重要度が高いとの事でこの屋敷にソフィアが来る事で纏まったようだ。

「到着は何時になるのですか?」

「それも言えないとの事よ、盗聴されている可能性がゼロでないから…待ち伏せ対策ね」

「分かりました」

そこまで話した所で、グラテミアがイズミへと近付いて来た。

「最近身体の調子がすこぶる良いのですよ、あのペンダントのお陰ですわ」

「それは何よりです」

グラテミアは更に近付いて来ると、イズミの耳元で小声で囁いた。

「厳しい戦いになるわ…用心なさい」

それだけ言うと、笑みを浮かべたグラテミアは自らの執務室へ向かっていってしまった。

「…厳しい戦いか」

イズミは言葉に出すこと無く大きなため息をつくと、肩からぶら下げたマグナムの重さを意識しつつ、マスタングの居る馬車置き場へと歩き出した。
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