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第二十五章 オブリビアダンジョン
第四百五十七話 装備を渡したり、レンタルしたり
イズミは御子達の装備について確認に入る。
「通常の装備に関して教えて下さい。話せる範囲で構いませんので」
「そうですね…ワンドと両刃のナイフです」
他の2人よりは興味があるのか、先に答えたのはセリーヌだった。
見せてくれたワンドは想像していたよりも物理的に長く、ファンタジーで扱われるような片手で持てるサイズではなかった。
本当の杖なのだ。
先端には綺麗にカットされた魔石が嵌め込まれ、シンプルかつ控えめながら洗練された曲線を纏った装飾には神々しさを感じる程である。
作り出した職人は、さぞ苦悩しただろうと思ってしまう完成度だった。
問題は…
「使いにくそうだな」
「実戦向けではなく、あくまでも見栄えの要素が強いのです。ナイフはワンドの底部に装着して槍のように扱う想定ですね」
「詳しく調べたいのですが、触っても?」
「触れる事が出来るなら、どうぞ」
セリーヌは微笑みながらワンドをイズミに差し出したので、右手で握ってみる。
特になんの反応も無く、握る事が出来た。
「大丈夫そうだな、どんなものなのか調べてみよう」
「教会でも限られた人間しか触れられない、特別な魔法が組み込まれているのに」
「ワンド自体の能力は使えない所から考えるに、俺は単なる例外扱いなのかもしれん」
驚愕しているオルドリン達をよそにマスタングにスキャンを頼むと、直ぐに新装備の実体化準備が整った。
実体化前にモニターで確認すると、かなり実用重視なワンドとナイフに仕上がっているようだ。
早速実体化を頼んだ。
「コレが標準装備か?他にあるなら教えてくれ」
「ワンドとナイフだけで、他は必要に応じて個人で揃える事になっています」
「それに関しては別途相談だ…出来たぞ」
5分程で完成した装備がトランクに実体化されたので、先ずはセリーヌに渡した。
比較的シンプルな見た目をしているが、武器として扱うのでグリップはチェッカリングが施されている。
ワンドはドワーフ特製高耐久合金をベースに魔石とアダマンタイトを1つまみ程度含ませているとモニター上に表示されていたが、実際はどの程度なのかは分からない。
魔石は綺麗にカットされワンドに設けられた四本脚の台座に固定されているが、更に魔石を守る用にガードも追加されていて、敵を殴る事も出来そうである。
ナイフはワンド底部に装着出来る仕様を採用しているのか、同じ固定方法の仕組みが組み込まれているようである。
勿論ワンドと同じ素材で作られている。
構えてみるが重量バランスも悪くない。
「効果付与についてですが、御子様は戦闘向けのスキルが少ないので、若干防御寄りにしました。魔力消費80%カット、魔法威力40%アップ、魔法展開範囲60%アップ、全自動魔法反射Aクラス、魔石への魔力吸収Sクラスとなっております」
「本当にトンデモ性能だな。魔力への魔力吸収ってのは何だ?」
「効果範囲内に居る敵の魔力を奪う能力です。発動されれば敵の魔力は1秒で完全に枯渇する事でしょう」
「効果範囲はどのくらいだ」
「半径100mの完全球体状になっております。これでも戦う相手と環境によっては厳しい戦闘になるかと。ここから先は使用者の努力次第です」
装備は渡した、あとは自らの手で活路を切り開けと言う事か。
3人に装備を渡し終えたイズミは、仕事は終えたと言わんばかりに帰ろうとしたがオルドリンに止められた。
「イズミよ、流石にこの性能では教皇様には隠しきれんぞ」
「頑張れば教会のお得意さんでも作れる代物だろう、俺から渡すのは今回限りの大サービスだと思ってくれ」
「教皇様の配下には、真実の目と言うスキルを持っている男が居る。言葉にせずともバレるぞ」
「…なら、真実の目とやらでコレを見た時の反応でも、想像して楽しむとしましょう」
ヴィラードの方を見ると、何故かベリアと模擬戦のような事をしていたので、声をかけて止めさせた。
「ベリア!こっちの用事は済ませたぞ」
「そうか。じゃあ戻るか」
模擬戦を切り上げたベリアがマスタングの助手席に乗り込むのを見守ると、イズミは運転席に乗り込みアクセルを軽く踏んだ。
「オルドリンさん、渡した薬は寝る前に飲んで下さいね」
「分かっておる!」
テントから離れ見張り塔まで戻って来ると、焚火の跡がある場所に数人が集まっていた。
「どうしたんだ?」
「いや、ダンジョンの内容を聞いたら、自分達の装備じゃ不安になってさ…レンタルの話を聞いてたから、見るだけでもと思って」
自分の装備とダンジョンの状況から判断し、見るだけでもと行動出来る素直さが素晴らしい。
自己分析や自己評価が甘くなると何処かで痛い目に遭うのが冒険者であり、彼等はそれを理解している。
元いた世界の自分がこの冒険者達の年齢で、果たしてそれが出来ていただろうか?
「分かった。取り敢えず今から出すから、見るだけ見ていってくれ」
マスタングに頼み、剣とか槍とか数種類の武器を実体化して冒険者が手に取りやすいように地面に布を敷き、その上に並べてゆく。
「おい見ろよ。この剣の輝き、ヤバくないか?」
「重量バランスも良いし、この握りやすさは癖になりそうだ」
冒険者達が吟味し終えた所で、イズミがどうするか尋ねた。
「どうする、レンタルするか?」
「是非とも頼みたいが、これ程の武器だ。レンタル代を支払えるかどうか」
「そうだな…」
イズミは少し考える素振りをしてから、条件を提示した。
「こんな条件でどうだ?レンタルは自分の武器と銀貨1枚との交換だ。次に、必ず無事に戻って来て返却する事。今回はダンジョン調査なんだろ、大きな怪我をしたり死者を出してまでする事じゃない…気に入ったら追加で少し払えば、そのまま譲渡しても良い。元の武器は俺が貰うが、銀貨9枚で譲渡にしておこう」
「そんなので良いのか?いくら何でも話が良すぎる、金貨10枚は余裕で超える剣に見えるが。裏があるようにしか思えないな」
「裏ならあるぞ。オブリビアとオブリンドで何かあったら、冒険者として手助けをしてやって欲しい」
「確かに俺達はオブリンドを活動拠点にしてるけど、そこまでの話なのか?」
男達は不審がっていたがイズミの話を聞いた結果、全員がレンタルを申し出た。
これで少しは戦力アップになったのだろうか。
不安は尽きない。
「通常の装備に関して教えて下さい。話せる範囲で構いませんので」
「そうですね…ワンドと両刃のナイフです」
他の2人よりは興味があるのか、先に答えたのはセリーヌだった。
見せてくれたワンドは想像していたよりも物理的に長く、ファンタジーで扱われるような片手で持てるサイズではなかった。
本当の杖なのだ。
先端には綺麗にカットされた魔石が嵌め込まれ、シンプルかつ控えめながら洗練された曲線を纏った装飾には神々しさを感じる程である。
作り出した職人は、さぞ苦悩しただろうと思ってしまう完成度だった。
問題は…
「使いにくそうだな」
「実戦向けではなく、あくまでも見栄えの要素が強いのです。ナイフはワンドの底部に装着して槍のように扱う想定ですね」
「詳しく調べたいのですが、触っても?」
「触れる事が出来るなら、どうぞ」
セリーヌは微笑みながらワンドをイズミに差し出したので、右手で握ってみる。
特になんの反応も無く、握る事が出来た。
「大丈夫そうだな、どんなものなのか調べてみよう」
「教会でも限られた人間しか触れられない、特別な魔法が組み込まれているのに」
「ワンド自体の能力は使えない所から考えるに、俺は単なる例外扱いなのかもしれん」
驚愕しているオルドリン達をよそにマスタングにスキャンを頼むと、直ぐに新装備の実体化準備が整った。
実体化前にモニターで確認すると、かなり実用重視なワンドとナイフに仕上がっているようだ。
早速実体化を頼んだ。
「コレが標準装備か?他にあるなら教えてくれ」
「ワンドとナイフだけで、他は必要に応じて個人で揃える事になっています」
「それに関しては別途相談だ…出来たぞ」
5分程で完成した装備がトランクに実体化されたので、先ずはセリーヌに渡した。
比較的シンプルな見た目をしているが、武器として扱うのでグリップはチェッカリングが施されている。
ワンドはドワーフ特製高耐久合金をベースに魔石とアダマンタイトを1つまみ程度含ませているとモニター上に表示されていたが、実際はどの程度なのかは分からない。
魔石は綺麗にカットされワンドに設けられた四本脚の台座に固定されているが、更に魔石を守る用にガードも追加されていて、敵を殴る事も出来そうである。
ナイフはワンド底部に装着出来る仕様を採用しているのか、同じ固定方法の仕組みが組み込まれているようである。
勿論ワンドと同じ素材で作られている。
構えてみるが重量バランスも悪くない。
「効果付与についてですが、御子様は戦闘向けのスキルが少ないので、若干防御寄りにしました。魔力消費80%カット、魔法威力40%アップ、魔法展開範囲60%アップ、全自動魔法反射Aクラス、魔石への魔力吸収Sクラスとなっております」
「本当にトンデモ性能だな。魔力への魔力吸収ってのは何だ?」
「効果範囲内に居る敵の魔力を奪う能力です。発動されれば敵の魔力は1秒で完全に枯渇する事でしょう」
「効果範囲はどのくらいだ」
「半径100mの完全球体状になっております。これでも戦う相手と環境によっては厳しい戦闘になるかと。ここから先は使用者の努力次第です」
装備は渡した、あとは自らの手で活路を切り開けと言う事か。
3人に装備を渡し終えたイズミは、仕事は終えたと言わんばかりに帰ろうとしたがオルドリンに止められた。
「イズミよ、流石にこの性能では教皇様には隠しきれんぞ」
「頑張れば教会のお得意さんでも作れる代物だろう、俺から渡すのは今回限りの大サービスだと思ってくれ」
「教皇様の配下には、真実の目と言うスキルを持っている男が居る。言葉にせずともバレるぞ」
「…なら、真実の目とやらでコレを見た時の反応でも、想像して楽しむとしましょう」
ヴィラードの方を見ると、何故かベリアと模擬戦のような事をしていたので、声をかけて止めさせた。
「ベリア!こっちの用事は済ませたぞ」
「そうか。じゃあ戻るか」
模擬戦を切り上げたベリアがマスタングの助手席に乗り込むのを見守ると、イズミは運転席に乗り込みアクセルを軽く踏んだ。
「オルドリンさん、渡した薬は寝る前に飲んで下さいね」
「分かっておる!」
テントから離れ見張り塔まで戻って来ると、焚火の跡がある場所に数人が集まっていた。
「どうしたんだ?」
「いや、ダンジョンの内容を聞いたら、自分達の装備じゃ不安になってさ…レンタルの話を聞いてたから、見るだけでもと思って」
自分の装備とダンジョンの状況から判断し、見るだけでもと行動出来る素直さが素晴らしい。
自己分析や自己評価が甘くなると何処かで痛い目に遭うのが冒険者であり、彼等はそれを理解している。
元いた世界の自分がこの冒険者達の年齢で、果たしてそれが出来ていただろうか?
「分かった。取り敢えず今から出すから、見るだけ見ていってくれ」
マスタングに頼み、剣とか槍とか数種類の武器を実体化して冒険者が手に取りやすいように地面に布を敷き、その上に並べてゆく。
「おい見ろよ。この剣の輝き、ヤバくないか?」
「重量バランスも良いし、この握りやすさは癖になりそうだ」
冒険者達が吟味し終えた所で、イズミがどうするか尋ねた。
「どうする、レンタルするか?」
「是非とも頼みたいが、これ程の武器だ。レンタル代を支払えるかどうか」
「そうだな…」
イズミは少し考える素振りをしてから、条件を提示した。
「こんな条件でどうだ?レンタルは自分の武器と銀貨1枚との交換だ。次に、必ず無事に戻って来て返却する事。今回はダンジョン調査なんだろ、大きな怪我をしたり死者を出してまでする事じゃない…気に入ったら追加で少し払えば、そのまま譲渡しても良い。元の武器は俺が貰うが、銀貨9枚で譲渡にしておこう」
「そんなので良いのか?いくら何でも話が良すぎる、金貨10枚は余裕で超える剣に見えるが。裏があるようにしか思えないな」
「裏ならあるぞ。オブリビアとオブリンドで何かあったら、冒険者として手助けをしてやって欲しい」
「確かに俺達はオブリンドを活動拠点にしてるけど、そこまでの話なのか?」
男達は不審がっていたがイズミの話を聞いた結果、全員がレンタルを申し出た。
これで少しは戦力アップになったのだろうか。
不安は尽きない。
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