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第1章
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「本当に、何も無いのだな」
添え付けのクローゼットに机、それらは木目がハッキリとわかる使い古された物。
天蓋のレースを外してカーテン代わりにしたので、ほぼ骨組み状態のベッド。
それが私の部屋の全て。
「クローゼット、開けていいか?」
「構いませんが・・・何も入っておりませんよ?」
「いいんだ。では開けるよ」
ガチャリと簡単に開く扉。
中は数枚のワンピースのみ収納されている。
「ドレスすら無いとは・・・」
「何が見たいのです?」
「ドレスも無く、装飾品も無い。専属侍女も居ない。自分の世話は自分でやる・・・私はどれだけお前を見ていなかったのだ・・・」
「仕方がありません。公爵様は操られていたのですから」
「え?」
まぁ、不思議に思うのも当然ね。
「操られ?」
「はい。恐らく公爵夫人に催眠術か何かを掛けられておられたのではないかと」
「催眠術・・・」
「だって、そうでしょう?公爵様は私のお母様と政略結婚と思えない程の大恋愛をなさった。幼い頃によくお聞きしました。そんな公爵様が、お母様が亡くなって直ぐに公爵夫人をお連れになられた時、違和感がありましたもの」
「何故、知らせてくれなかった?」
「・・・」
「リリアローズ?」
「その日に公爵様にお知らせしました。でも、当主の決定に逆らうな‼︎とお叱りを受けました」
その時の事が信じられなかったのか、お父様は目を見開いている。
暴力こそなかったけれど、それに類似した勢いで叱られた時の事が鮮明に思い出される。
あの時から、お父様に期待するのを止めたの。
「私は・・・」
「お気になさらないでください。私はもう直ぐ居なくなるので、憂いは晴れますよ」
「何処に行くのだ⁉︎」
「北の修道院あたりでしょうか?私は公爵家のお荷物なので、出て行こうかと思っています」
「い、行く必要は・・・」
「ありますよ?お姉様が後を継がれるのなら、婚約破棄した私は傷物ですから、公爵家から出るしかないですし。取り敢えず自分の事は自分でしてきたので、大丈夫でしょう」
修道院で、お仕事もらえるかしら?
それとも、どこかのお屋敷で侍女をするのもアリですね。
「その事で旦那様にお話があります」
セバスチャンがいつの間にか帰ってきていました。
「話?」
「はい。リリアローズ様の今後に関わってくる事です」
「直ぐに聞く。執務室に行くぞ。リリアローズも来なさい」
スクッと立ち上がったかと思ったら、私の手を取ってお父様はセバスチャンを伴って歩き出す。
私の今後って何でしょう?
執務室に入ると、お父様は隣に何故か私を座らせた。
「公爵様?」
「父と呼んでおくれ」
「公爵様と呼べとおっしゃ・・・」
「お父様だ。ほら、呼んでごらん?」
「・・・お父様?」
次第にぱぁっと笑顔になるお父様。
「うんうん。今日からまたお父様と呼ぶようにな」
「はい」
「よし。で、セバスチャン?」
「あ、はい。(元の関係に戻って良かった)では、ご報告を致します。まず、ターシャ様ですが、旦那様と出会われた時に暗示を掛けていたと思われます」
「根拠は?」
「これをご覧下さい。この名簿は、過去ターシャ様が嫁がれたと思われるご夫君方です」
ざっと見て数十人はいる。
「婚姻をしては数ヶ月後に御夫君が原因不明で亡くなられ、また後日に違う御夫君と・・・を繰り返しておられます。その際、遺産全てターシャ様の物になっております」
「全員、全ての遺産をか⁉︎」
「はい。旦那様、ターシャ様とどういった出会いをなさいましたか?」
「友人達と、たまには違う雰囲気の所に行こうと連れられた店で出会った。友人の内の一人と知り合いだったらしく、一緒に飲む様になって・・・朝気付いたら一緒のベッドで・・・」
典型的な策に嵌ってますね。
「恐らく、行為自体嘘でしょう」
「リリアローズ様と同意見です。娼婦にありがちな手口です。そこまでされたのなら、後日言われたのでは?」
ーーーお腹の子は、貴方の子よ。
「と。身に覚えは?」
「そのままの言葉を言われた。責任を取れと言われ、何故か了承していた。ティアラローズが亡くなった数日後に連れ帰ったのも後ろめたさからと思っていたが・・・」
「既に催眠状態に入っておられたのでしょう。定期的に術を掛けないと持続しない様です。現に、今の御気分は?」
「愛情のカケラもないな。私の最愛はティアラローズとリリアローズだけだ」
あれ?ジワリと温かい物が溢れる。
見上げると、お父様が微笑んで私を見ていた。
添え付けのクローゼットに机、それらは木目がハッキリとわかる使い古された物。
天蓋のレースを外してカーテン代わりにしたので、ほぼ骨組み状態のベッド。
それが私の部屋の全て。
「クローゼット、開けていいか?」
「構いませんが・・・何も入っておりませんよ?」
「いいんだ。では開けるよ」
ガチャリと簡単に開く扉。
中は数枚のワンピースのみ収納されている。
「ドレスすら無いとは・・・」
「何が見たいのです?」
「ドレスも無く、装飾品も無い。専属侍女も居ない。自分の世話は自分でやる・・・私はどれだけお前を見ていなかったのだ・・・」
「仕方がありません。公爵様は操られていたのですから」
「え?」
まぁ、不思議に思うのも当然ね。
「操られ?」
「はい。恐らく公爵夫人に催眠術か何かを掛けられておられたのではないかと」
「催眠術・・・」
「だって、そうでしょう?公爵様は私のお母様と政略結婚と思えない程の大恋愛をなさった。幼い頃によくお聞きしました。そんな公爵様が、お母様が亡くなって直ぐに公爵夫人をお連れになられた時、違和感がありましたもの」
「何故、知らせてくれなかった?」
「・・・」
「リリアローズ?」
「その日に公爵様にお知らせしました。でも、当主の決定に逆らうな‼︎とお叱りを受けました」
その時の事が信じられなかったのか、お父様は目を見開いている。
暴力こそなかったけれど、それに類似した勢いで叱られた時の事が鮮明に思い出される。
あの時から、お父様に期待するのを止めたの。
「私は・・・」
「お気になさらないでください。私はもう直ぐ居なくなるので、憂いは晴れますよ」
「何処に行くのだ⁉︎」
「北の修道院あたりでしょうか?私は公爵家のお荷物なので、出て行こうかと思っています」
「い、行く必要は・・・」
「ありますよ?お姉様が後を継がれるのなら、婚約破棄した私は傷物ですから、公爵家から出るしかないですし。取り敢えず自分の事は自分でしてきたので、大丈夫でしょう」
修道院で、お仕事もらえるかしら?
それとも、どこかのお屋敷で侍女をするのもアリですね。
「その事で旦那様にお話があります」
セバスチャンがいつの間にか帰ってきていました。
「話?」
「はい。リリアローズ様の今後に関わってくる事です」
「直ぐに聞く。執務室に行くぞ。リリアローズも来なさい」
スクッと立ち上がったかと思ったら、私の手を取ってお父様はセバスチャンを伴って歩き出す。
私の今後って何でしょう?
執務室に入ると、お父様は隣に何故か私を座らせた。
「公爵様?」
「父と呼んでおくれ」
「公爵様と呼べとおっしゃ・・・」
「お父様だ。ほら、呼んでごらん?」
「・・・お父様?」
次第にぱぁっと笑顔になるお父様。
「うんうん。今日からまたお父様と呼ぶようにな」
「はい」
「よし。で、セバスチャン?」
「あ、はい。(元の関係に戻って良かった)では、ご報告を致します。まず、ターシャ様ですが、旦那様と出会われた時に暗示を掛けていたと思われます」
「根拠は?」
「これをご覧下さい。この名簿は、過去ターシャ様が嫁がれたと思われるご夫君方です」
ざっと見て数十人はいる。
「婚姻をしては数ヶ月後に御夫君が原因不明で亡くなられ、また後日に違う御夫君と・・・を繰り返しておられます。その際、遺産全てターシャ様の物になっております」
「全員、全ての遺産をか⁉︎」
「はい。旦那様、ターシャ様とどういった出会いをなさいましたか?」
「友人達と、たまには違う雰囲気の所に行こうと連れられた店で出会った。友人の内の一人と知り合いだったらしく、一緒に飲む様になって・・・朝気付いたら一緒のベッドで・・・」
典型的な策に嵌ってますね。
「恐らく、行為自体嘘でしょう」
「リリアローズ様と同意見です。娼婦にありがちな手口です。そこまでされたのなら、後日言われたのでは?」
ーーーお腹の子は、貴方の子よ。
「と。身に覚えは?」
「そのままの言葉を言われた。責任を取れと言われ、何故か了承していた。ティアラローズが亡くなった数日後に連れ帰ったのも後ろめたさからと思っていたが・・・」
「既に催眠状態に入っておられたのでしょう。定期的に術を掛けないと持続しない様です。現に、今の御気分は?」
「愛情のカケラもないな。私の最愛はティアラローズとリリアローズだけだ」
あれ?ジワリと温かい物が溢れる。
見上げると、お父様が微笑んで私を見ていた。
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