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第1章
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開けられた扉。
中は私の殺風景な部屋とは大違いで可愛らしい家具や小物が置かれていた。
ベッドも一回り大きなサイズみたい。
「あら?」
ベッド脇にあるサイドテーブルに目をやる。
見慣れた花瓶と花達がそこに据え置かれていた。
「セバスチャン?お姉様にも差し上げたの?」
私が指し示す方向に皆が一斉に顔を向ける。
驚きの声を上げたのはセバスチャンと侍女長のみ。
お父様達は何の事だかわからないといった顔をしていた。
「まさか、そんな・・・」
「セバスチャン?あの花がどうした?」
「・・・リリアローズ様の誕生日の日に、屋敷の使用人全員で花を一輪ずつお送りしたのです。プレゼントとして」
「では、これはターミアの分か?」
「いいえ。お渡ししたのはリリアローズ様だけにです。リリアローズ様のお誕生日だったので。ターミア様にはお渡ししておりません」
「だが、花ならいつでも・・・ん?これは・・・造花か?」
「奥様に、リリアローズお嬢様の世話をする人手をターミアお嬢様にまわせとお叱りをお受けしました。ですので、リリアローズお嬢様の許可を得て奥様の指図通りに普段はターミアお嬢様のお世話を行っております」
「誰がリリアローズの専属だ?」
「専属侍女はおられません」
「は?いない?普段はどうしている?世話役は必須だろう?」
「・・・全てご自分でなさっておいでです」
「はっ⁉︎リリアローズ⁉︎」
「どうしても、と言う時だけ侍女長に手伝っていただいております」
ほぼ、ないですが。
「じゃあ、造花の理由は?」
「花のお世話をしなくてもいい様に、使用人の皆様が気を使って下さったのです」
「この花は、リリアローズのものなのか・・・?」
「違うわ。あんな部屋にあったら花が可哀想だから、私の部屋に飾ってあげたの。だから、私の花よ。世話もしなくていいなんて、楽ね?ミア」
「・・・」
「もういい。問題のプレゼントはどこだ?」
「こちらでございます」
恐らく、ミアも想定していたのか、侍女長に言われたのか豪華なテーブルの上にビロードの箱に入っていた色とりどりの宝石がそこにあった。
「間違いない。私が選んだ物ばかりだ・・・」
それらを前に、お父様は項垂れる。
お父様としては、私に手渡っていると思っていたはずの物が姉の部屋にあった事にショックが大きいのだろう。
「誰がお前に渡した?」
「え?お母様に決まってるわ。リリアローズが誕生日だから不公平にならない様にって、毎年くれたのよ」
「そうか・・・ターシャが・・・」
「貴方・・・」
「そこまでリリアローズを蔑んでいたとはな。セバスチャン、ターシャとターミアを地下牢に放り込んでおけ。二人の部屋の物は勿論、全て取り上げろ」
「直ちに」
嫌よと泣き叫ぶ義母と姉にお父様は見向きもしなかった。
「侯爵」
親友を名称で呼ぶお父様は、怒りを抑えて睨みつける。
「理解してもらえたと思うが、公爵家はこれから忙しくなる。悪いが早々にリリアローズとウィリアムとの婚約を破棄させてもらう。慰謝料は要らん。まだ忌々しくも娘であるターミアも絡んでいるからな。だが、縁は切らせてもらう」
「息子が、本当に申し訳ない」
「後日、話し合いの場を設ける。それまでは、リリアローズに近寄る事、公爵家に関わる事、絶対許さん」
「承知している。息子にも徹底させる」
「帰れ」
「リリアローズ嬢、本当に申し訳ない。辛い目に合わせてしまって・・・」
「帰れ‼︎」
「わ、わかった。では、話し合いの場で」
魂の抜け切った夫人を抱え、ウィリアムを引きずりながら侯爵様は帰って行かれた。
「リリアローズ」
「はい」
姉の部屋にはお父様と私だけ。
「お前の部屋を見せて貰っていいか?」
「私の部屋、ですか?何もありませんよ?」
「・・・構わない。お前の生活する場所を父様に見せておくれ」
「では、こちらへ」
見ても楽しくもない私の部屋。
何故見たいと思われたのかわからないけど、取り敢えず案内する事にした。
中は私の殺風景な部屋とは大違いで可愛らしい家具や小物が置かれていた。
ベッドも一回り大きなサイズみたい。
「あら?」
ベッド脇にあるサイドテーブルに目をやる。
見慣れた花瓶と花達がそこに据え置かれていた。
「セバスチャン?お姉様にも差し上げたの?」
私が指し示す方向に皆が一斉に顔を向ける。
驚きの声を上げたのはセバスチャンと侍女長のみ。
お父様達は何の事だかわからないといった顔をしていた。
「まさか、そんな・・・」
「セバスチャン?あの花がどうした?」
「・・・リリアローズ様の誕生日の日に、屋敷の使用人全員で花を一輪ずつお送りしたのです。プレゼントとして」
「では、これはターミアの分か?」
「いいえ。お渡ししたのはリリアローズ様だけにです。リリアローズ様のお誕生日だったので。ターミア様にはお渡ししておりません」
「だが、花ならいつでも・・・ん?これは・・・造花か?」
「奥様に、リリアローズお嬢様の世話をする人手をターミアお嬢様にまわせとお叱りをお受けしました。ですので、リリアローズお嬢様の許可を得て奥様の指図通りに普段はターミアお嬢様のお世話を行っております」
「誰がリリアローズの専属だ?」
「専属侍女はおられません」
「は?いない?普段はどうしている?世話役は必須だろう?」
「・・・全てご自分でなさっておいでです」
「はっ⁉︎リリアローズ⁉︎」
「どうしても、と言う時だけ侍女長に手伝っていただいております」
ほぼ、ないですが。
「じゃあ、造花の理由は?」
「花のお世話をしなくてもいい様に、使用人の皆様が気を使って下さったのです」
「この花は、リリアローズのものなのか・・・?」
「違うわ。あんな部屋にあったら花が可哀想だから、私の部屋に飾ってあげたの。だから、私の花よ。世話もしなくていいなんて、楽ね?ミア」
「・・・」
「もういい。問題のプレゼントはどこだ?」
「こちらでございます」
恐らく、ミアも想定していたのか、侍女長に言われたのか豪華なテーブルの上にビロードの箱に入っていた色とりどりの宝石がそこにあった。
「間違いない。私が選んだ物ばかりだ・・・」
それらを前に、お父様は項垂れる。
お父様としては、私に手渡っていると思っていたはずの物が姉の部屋にあった事にショックが大きいのだろう。
「誰がお前に渡した?」
「え?お母様に決まってるわ。リリアローズが誕生日だから不公平にならない様にって、毎年くれたのよ」
「そうか・・・ターシャが・・・」
「貴方・・・」
「そこまでリリアローズを蔑んでいたとはな。セバスチャン、ターシャとターミアを地下牢に放り込んでおけ。二人の部屋の物は勿論、全て取り上げろ」
「直ちに」
嫌よと泣き叫ぶ義母と姉にお父様は見向きもしなかった。
「侯爵」
親友を名称で呼ぶお父様は、怒りを抑えて睨みつける。
「理解してもらえたと思うが、公爵家はこれから忙しくなる。悪いが早々にリリアローズとウィリアムとの婚約を破棄させてもらう。慰謝料は要らん。まだ忌々しくも娘であるターミアも絡んでいるからな。だが、縁は切らせてもらう」
「息子が、本当に申し訳ない」
「後日、話し合いの場を設ける。それまでは、リリアローズに近寄る事、公爵家に関わる事、絶対許さん」
「承知している。息子にも徹底させる」
「帰れ」
「リリアローズ嬢、本当に申し訳ない。辛い目に合わせてしまって・・・」
「帰れ‼︎」
「わ、わかった。では、話し合いの場で」
魂の抜け切った夫人を抱え、ウィリアムを引きずりながら侯爵様は帰って行かれた。
「リリアローズ」
「はい」
姉の部屋にはお父様と私だけ。
「お前の部屋を見せて貰っていいか?」
「私の部屋、ですか?何もありませんよ?」
「・・・構わない。お前の生活する場所を父様に見せておくれ」
「では、こちらへ」
見ても楽しくもない私の部屋。
何故見たいと思われたのかわからないけど、取り敢えず案内する事にした。
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