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第1章
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学園に行く為に食堂から出ようと扉へ向かうと、侯爵様の手を振り解いたウィリアムが抱きついて来た。
「リリアローズ、君が好きなんだ‼︎だから、誤解を一緒に解いてくれ‼︎」
「好き?好きって何です?貴方から初めて聞く言葉ですね」
「リリア・・・」
「お姉様がお好きなんでしょう?毎日楽しそうに会いに来られていたではないですか。私には一度も挨拶すらありませんでしたけれど」
コテンと首を傾げる。
「プレゼントも一度だって貰った事もありませんし。学園も一緒に行くこともなく、デートもした事ありませんでしたでしょう?なのに、私を好き?何かの間違いでは?」
何故嘘を言うのでしょう?姉が好きなくせに。
抱きつかれていた腕が少し緩むと、速攻で距離を置く。結構痛かったわ。
「ウィリアム、お前は・・・お前程恥知らずな人間は見た事がない。ここまでリリアローズ嬢を蔑ろにしていたのだな」
「父上・・・」
「ターミア、お前もだ。妹の婚約者に手を出した挙句、こんな扱いをしていたとは・・・私はどこで育て方を間違えたのだ・・・」
「旦那様」
ずっと、私の側で控えていてくれたセバスチャンが初めて会話に割って入ってきた。
「何だ?今は忙しい。後に・・・」
「旦那様もターミア様と同じですよ」
「何だと?」
「旦那様は、リリアローズ様が今年お幾つになられたか、ご存知ですか?」
「今年・・・幾つだ?17か?」
「18歳です。今年で最終学年になられます」
「それがどうした?」
「リリアローズ様のお誕生日を祝われた事は?」
「プレゼントを用意しただろう?」
不意にこちらに目線を向けたお父様。
そうだろう?と訴えているかの様。
「そうですね。頂きました、セバスチャンから渡されたプレゼントですけど」
「っ⁉︎手渡して・・・なかったか・・・?」
「はい、十年前から一度も。しかも・・・」
タイミングよく侍女長が貰ったプレゼントの箱を置いた銀盆を持ってきてくれた。
それを怪訝そうに見つめるお父様。
「侍女長、それは何だ?」
「旦那様の、リリアローズお嬢様へのプレゼントでございます」
並べられた物は、色、デザイン、使われた貴金属が全て同じブローチだった。
「そんな訳ないだろう⁉︎毎年ちゃんと店で選んで購入した‼︎包装も私の目の前でしてもらった‼︎」
「十年前からこのプレゼントです。これだけはリリアローズお嬢様から管理を任されておりましたので、間違いありません」
「十年前から?」
そう。十年前から毎年、お父様からのプレゼントがこのブローチになったのです。
「はい。奥様が旦那様からだとセバスチャンに渡しておられました。目の前で見ておりましたので、確かです」
「リリアローズ?」
確認したいのでしょう。
問いかけられ、向けられた目線。
それに、そうですと答えた。
「どう言う事だ、ターシャ」
抱き起こされて、こちらの様子をずっと見ていたであろう母・・・いえ、義母にお父様が問いかける。
義母ターシャは私の生母ティアラローズが亡くなったのとほぼ同じ時期にお父様が連れて来た後妻。
既にターミアが生まれていたので、生前からの付き合いがあったのだとは思っている。
「私は、何も・・・」
「知らないと?毎年、三か月前からデザインを宝石商と考え、選んで買っていたのを、一緒に行くと言って無理矢理着いてきたお前は知っているはずだ」
「わかりません・・・知りません・・・」
「あ、それなら私の部屋にあるやつ?」
詰め寄られていたのを忘れたのか、呑気に話す姉。
私の部屋にあるって?
「ターミア‼︎」
「なぁに、お母様。怖いわ」
「お前の部屋に行くぞ、ターミア」
「え?嫌よ」
「お前に拒否権はない。セバスチャン、行くぞ」
「はい。リリアローズ様もご一緒に」
「私は・・・」
「護衛の為です。私の側を離れないで下さい」
「わかりました」
お父様は義母と姉を無理矢理引き連れ、私はセバスチャンと侍女長に挟まれる形で歩き出す。
当然、侯爵家の三人も連れ出す。
迷いなく姉の部屋にたどり着くと、扉の前にはミアが頭を下げて待っていた。
「開けろ」
「はい」
姉ではなく、当主であるお父様に逆らう事なくミアは姉の部屋の扉を静かに開け始めた。
「リリアローズ、君が好きなんだ‼︎だから、誤解を一緒に解いてくれ‼︎」
「好き?好きって何です?貴方から初めて聞く言葉ですね」
「リリア・・・」
「お姉様がお好きなんでしょう?毎日楽しそうに会いに来られていたではないですか。私には一度も挨拶すらありませんでしたけれど」
コテンと首を傾げる。
「プレゼントも一度だって貰った事もありませんし。学園も一緒に行くこともなく、デートもした事ありませんでしたでしょう?なのに、私を好き?何かの間違いでは?」
何故嘘を言うのでしょう?姉が好きなくせに。
抱きつかれていた腕が少し緩むと、速攻で距離を置く。結構痛かったわ。
「ウィリアム、お前は・・・お前程恥知らずな人間は見た事がない。ここまでリリアローズ嬢を蔑ろにしていたのだな」
「父上・・・」
「ターミア、お前もだ。妹の婚約者に手を出した挙句、こんな扱いをしていたとは・・・私はどこで育て方を間違えたのだ・・・」
「旦那様」
ずっと、私の側で控えていてくれたセバスチャンが初めて会話に割って入ってきた。
「何だ?今は忙しい。後に・・・」
「旦那様もターミア様と同じですよ」
「何だと?」
「旦那様は、リリアローズ様が今年お幾つになられたか、ご存知ですか?」
「今年・・・幾つだ?17か?」
「18歳です。今年で最終学年になられます」
「それがどうした?」
「リリアローズ様のお誕生日を祝われた事は?」
「プレゼントを用意しただろう?」
不意にこちらに目線を向けたお父様。
そうだろう?と訴えているかの様。
「そうですね。頂きました、セバスチャンから渡されたプレゼントですけど」
「っ⁉︎手渡して・・・なかったか・・・?」
「はい、十年前から一度も。しかも・・・」
タイミングよく侍女長が貰ったプレゼントの箱を置いた銀盆を持ってきてくれた。
それを怪訝そうに見つめるお父様。
「侍女長、それは何だ?」
「旦那様の、リリアローズお嬢様へのプレゼントでございます」
並べられた物は、色、デザイン、使われた貴金属が全て同じブローチだった。
「そんな訳ないだろう⁉︎毎年ちゃんと店で選んで購入した‼︎包装も私の目の前でしてもらった‼︎」
「十年前からこのプレゼントです。これだけはリリアローズお嬢様から管理を任されておりましたので、間違いありません」
「十年前から?」
そう。十年前から毎年、お父様からのプレゼントがこのブローチになったのです。
「はい。奥様が旦那様からだとセバスチャンに渡しておられました。目の前で見ておりましたので、確かです」
「リリアローズ?」
確認したいのでしょう。
問いかけられ、向けられた目線。
それに、そうですと答えた。
「どう言う事だ、ターシャ」
抱き起こされて、こちらの様子をずっと見ていたであろう母・・・いえ、義母にお父様が問いかける。
義母ターシャは私の生母ティアラローズが亡くなったのとほぼ同じ時期にお父様が連れて来た後妻。
既にターミアが生まれていたので、生前からの付き合いがあったのだとは思っている。
「私は、何も・・・」
「知らないと?毎年、三か月前からデザインを宝石商と考え、選んで買っていたのを、一緒に行くと言って無理矢理着いてきたお前は知っているはずだ」
「わかりません・・・知りません・・・」
「あ、それなら私の部屋にあるやつ?」
詰め寄られていたのを忘れたのか、呑気に話す姉。
私の部屋にあるって?
「ターミア‼︎」
「なぁに、お母様。怖いわ」
「お前の部屋に行くぞ、ターミア」
「え?嫌よ」
「お前に拒否権はない。セバスチャン、行くぞ」
「はい。リリアローズ様もご一緒に」
「私は・・・」
「護衛の為です。私の側を離れないで下さい」
「わかりました」
お父様は義母と姉を無理矢理引き連れ、私はセバスチャンと侍女長に挟まれる形で歩き出す。
当然、侯爵家の三人も連れ出す。
迷いなく姉の部屋にたどり着くと、扉の前にはミアが頭を下げて待っていた。
「開けろ」
「はい」
姉ではなく、当主であるお父様に逆らう事なくミアは姉の部屋の扉を静かに開け始めた。
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