5 / 54
第1章
5
しおりを挟む
朝、食堂へ向かう。
廊下を歩いて扉の前へと辿り着く。
扉の前には誰も居ないので、自分で開けようと手を伸ばせば、中から楽しそうな会話が聞こえてきた。
両親と姉、そして侯爵家の両親とウィリアムの六人。
すでに食事は始められており、入るのが躊躇われた。
「昨夜は家族で泊めて貰って悪いな」
「構わない。ターミアの誕生日を祝いにきて貰ったのだからな。それに、遅くまで語り合うのは久しぶりだったしな」
「本当に。昨夜は楽しかった」
「お父様、ウィリアム様からドレスとイヤリングを頂いたの‼︎」
ドレス・・・。私は一度もプレゼントなんて貰ったことないのだけれど。
「ウィリアム、本当か?」
「え?えぇ。ターミアに似合うドレスがなかったので、オーダーメイドで作らせました。とてもよく似合っていますよ?」
自信満々に笑顔で話すウィリアムとは正反対に、表情を無くした侯爵様が食事の手を止める。
「ウィリアム」
侯爵様の低い声が聞こえてくる。どうしたのかしら?
「父上?」
「昨日、ターミア嬢がパーティーで着ていたドレスの事か?」
「いえ。昨日のは夫人が用意された物ですよ」
「なら、いつ見たのだ?」
「そう言えばそうだな。いつ見たんだ?ウィリアム」
「あ、あの・・・」
「一昨日ですわ、お父様。態々ウィリアムが持って来てくれたんです。昨日のドレスはお母様が用意してくださったので、それを着たの。ウィリアムのドレスの方は、くれた日に着てみてくれと言われてので着替えて、見せたんです」
「なっ⁉︎」
姉の言葉に両家の両親が絶句。
当然、ウィリアムは真っ青になって焦ってる。
「た、ターミア」
「なぁに?本当の事でしょう?その場で着替えて見せてって言ったじゃない」
その場で?まさか、ウィリアムが居る部屋で着替えて見せたと言うの?
「ターミア。ウィリアムを、お前の部屋に、入れたのか?」
「えぇ、お父様。毎日会いに来てくれるのよ?お見舞いだって、プレゼントも沢山くれるし。優しいの‼︎一昨日のプレゼントが一番嬉しかったわ」
お母様と侯爵夫人がフラリと倒れる。
周りにいた侍女達が慌てて介抱にまわるのが見えた。
自分で言ってしまっても、悪びれてないのがある意味凄いわ。
「どういう事だ‼︎ウィリアム‼︎」
「違っ・・・」
「お前は・・・何と言う事を・・・」
「父上、違うんです‼︎僕はそんな事言っていません‼︎」
胸倉を掴み上げられながらも、ウィリアムは侯爵様に言い訳を始める。
姉はお父様に詰め寄られていた。
「ターミア、言った事が事実なら・・・お前は妹の婚約者を寝・・・取った事に・・・」
はっと、何かに気付いたお父様。やっとなのね。
扉を開けて中に入る。
隙間から見ていた状況より、更に酷い有様になっていた。
「リリアローズ・・・」
「おはようございます公爵様。お久しぶりにございます侯爵様」
ゆっくりカーテシーを披露する。
制服なのであまりスカートは広げない。
「リリアローズ、昨日は・・・」
「お姉様の誕生日パーティーとお聞きしましたので、お邪魔にならない様ずっと部屋におりました。楽しかったそうで何よりです」
笑顔を見せると、お父様が泣きそうに顔を歪める。
何故?
・・・ギシ・・・
あれ?まただ。
「リリアローズ、お前を邪魔になどと思った事は・・・」
ギシ・・・
「良いのです。呼ばれておりませんでしたし、皆様が楽しく過ごされたのなら、それで」
ギシギシ・・・
「何やら大変なご様子なので、私はこれで失礼させていただきます。セバスチャン、朝食の用意はしないでと料理人の方にお願いしておいてね」
「リリアローズ‼︎助けてくれ‼︎誤解だと父上達に言って欲しいんだ」
「何処が誤解なのです?お姉様が仰った事は事実でしょう?両家の両親が悲しい思いをしないならと黙っていたけど・・・もう、無理ですね」
爆弾は投げられた。
だから、もう黙る必要は、ない。
ギシギシギシギシギシ・・・
廊下を歩いて扉の前へと辿り着く。
扉の前には誰も居ないので、自分で開けようと手を伸ばせば、中から楽しそうな会話が聞こえてきた。
両親と姉、そして侯爵家の両親とウィリアムの六人。
すでに食事は始められており、入るのが躊躇われた。
「昨夜は家族で泊めて貰って悪いな」
「構わない。ターミアの誕生日を祝いにきて貰ったのだからな。それに、遅くまで語り合うのは久しぶりだったしな」
「本当に。昨夜は楽しかった」
「お父様、ウィリアム様からドレスとイヤリングを頂いたの‼︎」
ドレス・・・。私は一度もプレゼントなんて貰ったことないのだけれど。
「ウィリアム、本当か?」
「え?えぇ。ターミアに似合うドレスがなかったので、オーダーメイドで作らせました。とてもよく似合っていますよ?」
自信満々に笑顔で話すウィリアムとは正反対に、表情を無くした侯爵様が食事の手を止める。
「ウィリアム」
侯爵様の低い声が聞こえてくる。どうしたのかしら?
「父上?」
「昨日、ターミア嬢がパーティーで着ていたドレスの事か?」
「いえ。昨日のは夫人が用意された物ですよ」
「なら、いつ見たのだ?」
「そう言えばそうだな。いつ見たんだ?ウィリアム」
「あ、あの・・・」
「一昨日ですわ、お父様。態々ウィリアムが持って来てくれたんです。昨日のドレスはお母様が用意してくださったので、それを着たの。ウィリアムのドレスの方は、くれた日に着てみてくれと言われてので着替えて、見せたんです」
「なっ⁉︎」
姉の言葉に両家の両親が絶句。
当然、ウィリアムは真っ青になって焦ってる。
「た、ターミア」
「なぁに?本当の事でしょう?その場で着替えて見せてって言ったじゃない」
その場で?まさか、ウィリアムが居る部屋で着替えて見せたと言うの?
「ターミア。ウィリアムを、お前の部屋に、入れたのか?」
「えぇ、お父様。毎日会いに来てくれるのよ?お見舞いだって、プレゼントも沢山くれるし。優しいの‼︎一昨日のプレゼントが一番嬉しかったわ」
お母様と侯爵夫人がフラリと倒れる。
周りにいた侍女達が慌てて介抱にまわるのが見えた。
自分で言ってしまっても、悪びれてないのがある意味凄いわ。
「どういう事だ‼︎ウィリアム‼︎」
「違っ・・・」
「お前は・・・何と言う事を・・・」
「父上、違うんです‼︎僕はそんな事言っていません‼︎」
胸倉を掴み上げられながらも、ウィリアムは侯爵様に言い訳を始める。
姉はお父様に詰め寄られていた。
「ターミア、言った事が事実なら・・・お前は妹の婚約者を寝・・・取った事に・・・」
はっと、何かに気付いたお父様。やっとなのね。
扉を開けて中に入る。
隙間から見ていた状況より、更に酷い有様になっていた。
「リリアローズ・・・」
「おはようございます公爵様。お久しぶりにございます侯爵様」
ゆっくりカーテシーを披露する。
制服なのであまりスカートは広げない。
「リリアローズ、昨日は・・・」
「お姉様の誕生日パーティーとお聞きしましたので、お邪魔にならない様ずっと部屋におりました。楽しかったそうで何よりです」
笑顔を見せると、お父様が泣きそうに顔を歪める。
何故?
・・・ギシ・・・
あれ?まただ。
「リリアローズ、お前を邪魔になどと思った事は・・・」
ギシ・・・
「良いのです。呼ばれておりませんでしたし、皆様が楽しく過ごされたのなら、それで」
ギシギシ・・・
「何やら大変なご様子なので、私はこれで失礼させていただきます。セバスチャン、朝食の用意はしないでと料理人の方にお願いしておいてね」
「リリアローズ‼︎助けてくれ‼︎誤解だと父上達に言って欲しいんだ」
「何処が誤解なのです?お姉様が仰った事は事実でしょう?両家の両親が悲しい思いをしないならと黙っていたけど・・・もう、無理ですね」
爆弾は投げられた。
だから、もう黙る必要は、ない。
ギシギシギシギシギシ・・・
12
あなたにおすすめの小説
白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』
鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。
夫が運命の番と出会いました
重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。
だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。
しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?
婚約破棄、国外追放しておいて、今さら戻ってきてほしいとはなんですか? 〜今さら戻るつもりなどない私は、逃げた先の隣国で溺愛される〜
木嶋隆太
恋愛
すべての女性は15歳を迎えたその日、精霊と契約を結ぶことになっていた。公爵家の長女として、第一王子と婚約関係にあった私も、その日同じように契約を結ぶため、契約の儀に参加していた。精霊学校でも優秀な成績を収めていた私は――しかし、その日、契約を結ぶことはできなかった。なぜか精霊が召喚されず、周りからは、清らかな女ではないと否定され、第一王子には婚約を破棄されてしまう。国外追放が決まり、途方に暮れていた私だったが……他国についたところで、一匹の精霊と出会う。それは、世界最高ともいわれるSランクの精霊であり、私の大逆転劇が始まる。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
あっ、追放されちゃった…。
satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。
母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。
ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。
そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。
精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。
婚約破棄された際もらった慰謝料で田舎の土地を買い農家になった元貴族令嬢、野菜を買いにきたベジタリアン第三王子に求婚される
さら
恋愛
婚約破棄された元伯爵令嬢クラリス。
慰謝料代わりに受け取った金で田舎の小さな土地を買い、農業を始めることに。泥にまみれて種を撒き、水をやり、必死に生きる日々。貴族の煌びやかな日々は失ったけれど、土と共に過ごす穏やかな時間が、彼女に新しい幸せをくれる――はずだった。
だがある日、畑に現れたのは野菜好きで有名な第三王子レオニール。
「この野菜は……他とは違う。僕は、あなたが欲しい」
そう言って真剣な瞳で求婚してきて!?
王妃も兄王子たちも立ちはだかる。
「身分違いの恋」なんて笑われても、二人の気持ちは揺るがない。荒れ地を畑に変えるように、愛もまた努力で実を結ぶのか――。
虐げられていた次期公爵の四歳児の契約母になります!~幼子を幸せにしたいのに、未来の旦那様である王太子が私を溺愛してきます~
八重
恋愛
伯爵令嬢フローラは、公爵令息ディーターの婚約者。
しかし、そんな日々の裏で心を痛めていることが一つあった。
それはディーターの異母弟、四歳のルイトが兄に虐げられていること。
幼い彼を救いたいと思った彼女は、「ある計画」の準備を進めることにする。
それは、ルイトを救い出すための唯一の方法──。
そんな時、フローラはディーターから突然婚約破棄される。
婚約破棄宣言を受けた彼女は「今しかない」と計画を実行した。
彼女の計画、それは自らが代理母となること。
だが、この代理母には国との間で結ばれた「ある契約」が存在して……。
こうして始まったフローラの代理母としての生活。
しかし、ルイトの無邪気な笑顔と可愛さが、フローラの苦労を温かい喜びに変えていく。
さらに、見目麗しいながら策士として有名な第一王子ヴィルが、フローラに興味を持ち始めて……。
ほのぼの心温まる、子育て溺愛ストーリーです。
※ヒロインが序盤くじけがちな部分ありますが、それをバネに強くなります
※「小説家になろう」が先行公開です(第二章開始しました)
結婚後、訳もわからないまま閉じ込められていました。
しゃーりん
恋愛
結婚して二年、別邸に閉じ込められていたハリエット。
友人の助けにより外に出ることができ、久しぶりに見た夫アルバートは騎士に連行されるところだった。
『お前のせいだ!』と言われても訳がわからなかった。
取り調べにより判明したのは、ハリエットには恋人がいるのだとアルバートが信じていたこと。
彼にその嘘を吹き込んだのは、二人いたというお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる