自称病弱の姉に婚約者を奪われたけど、もう気にしない

蒼葉

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第2章

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「お久しぶりにございます、王妃様。本日はお招きありがとうございます」

 最儀礼でカーテシーを披露すると、王妃様は駆け寄って来て抱き締めてこられました。
 良い匂いがします。フンフン。

「本当に久しぶりね、リリア。嗚呼あぁ、会いたかったわ」

 ギュウギュウ抱き締められ、意識が少し遠のきかけた時、殿下がおいでになられました。

「ごきげんよう、王太子殿下」

「先日ぶりだね。大分顔色も良くなって、よかったよ」

 顔色?

「あれ?気づいてなかった?結構良くなかったけど・・・マリオも気付かないとは、かなり前からなのか・・・?」

 ブツブツ思考に浸り出す殿下を置いておいて、王妃様は私を席に誘う。

「さぁ、リリアの好きなお菓子を用意したの。沢山召し上がってね。勿論、会えなかった間の話しがメインよ」

「ありがとうございます」

 ちゃんと笑えているかしら?
 近状報告から始まり、先日の話へと移行する。

「まだ証拠集めの段階なのでしょう?公爵もお間抜けね。ティアラを忘れるからよ」

 プリプリお怒りの王妃様に訂正を入れなければ。

「父は忘れた訳ではございません」

「呪術玉だったかしら?そんな物で操られている時点で駄目。そんな物に負ける程度なら、わたくしの方がティアラへの愛が誰よりも深いわ」

「母上・・・」

「あら、復活したの?」

「復活って・・・。母上のティアラローズ夫人への愛情は変態じみてますよね」

「失礼ね。わたくし達の友情の間に入った公爵が悪いの。天罰でも落ちたのよ」

 お父様に対するお言葉が辛辣です。

「父も母に対する愛情を再確認できたようで、義母ははの事を事細かに調べているようです」

「かなりの食わせ者だったらしいね。びっくりしたよ」

 何故殿下がご存知で?

「フフフ」

 思考を読まないで下さい。
 静かに、ジッと殿下の目を不敬にも見つめると、観念したのか、語って下さいました。

「直感ってやつだよ」

 直感ですか?

「夜会で公爵が新たな夫人を連れてきた時から、あの夫人は怪しいと思ったんだ」

 怪しいとは?

「完璧すぎた」

 完璧では駄目なのですか?

「駄目ではないよ。ただ、男爵家縁の者だと聞いていたんだけど・・・所業がまるで役者ばりに完璧だった」

「貴方、リリアと念話でもしてるの?」 
 
「リリアローズ嬢はわかりやすいですよ」

 リリアを語るとは生意気ねと拗ねた王妃様は可愛らしいです。

「役者なら、何処か劇団にでも所属していたでしょう?」

「それが、何処にも所属歴がありません」

 え?なら・・・。

「まぁ、これ以上は・・・。気になるなら公爵に聞けばいいよ。多分、同じ情報を手に入れているはずだから」

「はい。わかりました」

 当家の事なので、気を遣っていただいたのでしょう。申し訳ないです。

 少し冷めた紅茶を一口頂いた時、慌ただしく扉を叩く音が聞こえてきました。

「何事です?」

「失礼いたします。こちらに居られる公爵家御令嬢に伝令でございます」

「私、ですか?」

「はい。これを」

 手渡された手紙らしき物を受け取る前に、殿下が手早く受け取る。何故?
 ざっと読んで、私を見る。

「今日は帰らない方がいい」

「何故です?」

「あの女達が逃げ出したらしい」

「えっ⁉︎」

「どういう事なの?」

「逃亡を手引きした者が居たようです」

 逃げた?義母と姉が?

「誰か手引きでもしたの?」

 王妃様の言葉に殿下が躊躇う。
 恐らく、言いにくい相手なのだろう。

「構いません。仰ってください」

 私を気遣い過ぎる殿下に微笑むと、重苦しい息をフッと吐いて告げた。

「マリオだ」

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