自称病弱の姉に婚約者を奪われたけど、もう気にしない

蒼葉

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第2章

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「お初お目にかかります、公爵様、リリアローズ様。マットと申します」

 初めてお会いした魔術師様。お名前をマット様と仰るのですね。
 闇を連想させる魔術師特有の上着を着こなしながらも、爽やかな笑顔で挨拶される。
 反対に、隣の殿下は不機嫌です。何故?

「リリアローズ嬢に色目を使うな」

「殿下程ではないかと」

 お二人は大変仲がよろしい様で。
 微笑ましく眺めていると、お二人同時に『違う』と否定なさいました。

「殿下・・・」

「すまない、公爵。が言っていた魔術師だ。階級的には見習いだが、は面倒を見ている者のお墨付きだ。存分に使って、レベル上げに貢献してやってくれ」

「見習いとはいえ、希少な魔術師様でしょう?公爵家ウチの問題にお手を煩わせるのは・・・」

 少々不安になり殿下にお伺いすると、大丈夫だと仰いました。

「力は保証する。だが、やはり公爵家個人の問題に上級魔術師の派遣は却下された。すまない」

「滅相もございません。二度も派遣していただけて感謝しております」

「でだ。マットに何をさせる?」

「例の呪術の判別を」

「判別?また犠牲者が公爵家から出たのか?」

「いえ。私の友人のカウロ男爵家の者です」

「カウロ?何故そこに?」

「まずはそこからの説明をさせていただきます」

 お父様の説明は簡潔で、でもより詳しく殿下に説明なさいました。
 それ等を聞いて殿下は苦渋に顔を歪ませ、重い溜息を吐かれました。

「男にしか効かないのは、結構マズイ」

 国のあらゆる機関に精通しているのが、主に男性です。
 仮に王城の下働きの男性に呪術玉を使って城内に侵入すれば、後はこれの繰り返しで・・・もしかしたら、王族にまで手を出せるかもしれません。
 それ等を危惧されています。

「既に何人か術に掛かっている可能性があるな。国王に進言して、調べてもらう様手配をする」

「その方が宜しいかと」

「マットは男爵家の様子を見て、術に掛かっている者が居れば解呪と報告を頼む」

「わかった」

「私は何をすれば?」

 私以外の役割分担は終わった様です。
 では、私は?

「リリアローズ嬢は、進んで危ない目に遭う必要はないよ」

「危ないですか?男性にしか効かないのですよね?」

「男爵家から公爵家に返り咲く気なら、一番邪魔に思うのは貴女だろう」

 確かに私は前妻の娘であり、公爵家の跡取りですね・・・今現在。
 姉が公爵家を継ぐならば、私をどうにかしないと駄目なんですね。
 だから、私が危ないと。

「セバスチャン。私とターミアの血縁関係はどうなった?」

「ございませんでした」

 そうなの?半分血は繋がっているとばかり・・・。

「ターミア様はターシャ様と商会長の子息とのお子様でございました」

「すごいな、公爵家のは。確信ある返答という事は、証拠もあるんだろう?」

 あ。殿下はご存知だったのですね、公爵家ウチの影の存在。

「勿論でございます。基本的な話になりますが、旦那様のだと、生まれる日数がおかしい事に気づきまして」

「リリアローズの前でとか言うな」

「リリアローズ様もお年頃ですが、貴族令嬢として閨関係の話を避ける事は出来ません」

 確かに、無知では今後になりかねません。   
 だから、貴族の勉強に閨関係は必須項目です。

「ターシャ様を受診した医者を発見しております。話は聞き出しましたが・・・お話なさいますか?」

「何処にいる?」

「地下牢に閉じ込めてございます」

「では、行こうか」

 皆で地下牢に囚われているお医者様に話を伺いに階段を下りました。
 地下牢という響きだけで、薄寒く澱んだ空気が蔓延しているイメージでしたが、さすがに我が家の使用人達のお仕事は完璧ですね。
 とても清潔感あって綺麗です。

 階段の先にある重厚な扉を開けると、鉄格子が嵌まった部屋が幾つか現れました。
 その一つ目のお部屋に目的の人物が項垂れて椅子に座っておられました。
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