10 / 47
ループ、9
しおりを挟む
本当、面倒くさい。
なぜ何度も私を殺した第2王子の為に着飾らなければならないのか。
普段着でも良いじゃないか。
あ、学園の制服で行こうかな。
「駄目ですよ」
マリウスに駄目出しされた。
「な、何が?」
「制服で行こうとなさいましたよね?」
読まれてた・・・。
「気軽でいいんだから、着飾る必要ないよ」
「行くのは王城であって学園ではありません。礼服をお出ししておりますので、そちらを着用なさって下さい」
「華美なものは着ないよ」
「あまり目立たないもので纏めております」
「ありがとう」
選んでもらった礼服をノロノロと着込み、重い足取りでエントランスへと向かう。
扉の向こうでは、すでに馬車が待機していた。
「じゃあ、行ってきます」
家令で父様の侍従のレイモンドが馬車の扉を開けて腰を折る。
「お気を付けて行ってらっしゃいませ」
付き添いのマリウスと共に乗り込むと馬車が動き出した。
乗ったら最後、問答無用で王城へ直行。
「マリウス、もしもの時は・・・お願いね」
「心得ております」
まだ、マリウスが居てくれるだけ安心する。
私にとって悪い思い出しかない場所へ行くのだ。
精神が疲弊していておかしくはない。
「絶対、端っこに居ようね」
「はい」
苦笑しながらも頷いてくれる味方。
ちょっと、今日は本気で頼ろう。
さすがにここまで来ると気を引き締めないと駄目だと笑顔を貼り付け、目論見ありまくりのお茶会へと挑むのだった。
はっきり言って、最悪だ。
何だろう・・・この茶番。
今、人目も憚らず第2王子と件の男がイチャついている。
同年代の子息達を集める意味があったのだろうか。
白ける会場となっている王城の中庭の入口に、笑顔と冷や汗というアンバランスな顔をお持ちの王弟殿下が小走りで現れた。
「どうなさいますか?」
無表情を貫いているマリウスが耳元で尋ねてきた。
「どうって、ねぇ・・・。このまま帰っていいかな?居ても仕方なさそうだし」
周りを見ても、皆帰る雰囲気を醸し出している。
当たり前だ。
皆予定を立て直して態々急遽決まったお茶会へ参加したのに、この扱い。
「では、馬車の手配をして参ります」
うん、と返事を返そうと声を出す前に第2王子達の側で王弟が待ったを掛けた。
「大変申し訳ない。本日、カルヴァイス本人が初めての茶会を開いた為、勝手が分からなかったようです。今から本人が挨拶に参りますので、皆様どうかそのままでお待ちを」
王族が茶会の何たるかを知らないとは何故に?
仲良しごっこの集まりだとでも思ったのだろうか?
「叔父上。何故俺が挨拶に・・・」
「煩い。言う通りにしろ」
叱られ、渋々第2王子が側近候補達を引き連れて此方へやって来た。
当たり前の様にユーリも同行している。
高位貴族なので、子息達が私の後列に並ぶ。
身分制度の為仕方ないけれど、嫌だな。
「・・・よく来た。適当に楽しんでいくといい」
「こんにちは。僕はユーリ。仲良くしてくれると嬉しいな」
王子の次に何故かユーリが親しげに話しかけてきた。
他の子息達が息を呑む。
いくら王子と一緒にいるからって、先に高位貴族へ挨拶をする。
流石に王弟も王子も分かりやすく焦り出した。
「ゆ、ユーリ。彼は公爵家の者だ。先に声を掛けるのは駄目だ」
「何故?カルヴァイス様が挨拶されたから、次は僕でしょ?」
ユーリの言葉に、王弟が頭を抱えるのが見えた。
ご愁傷様。
なぜ何度も私を殺した第2王子の為に着飾らなければならないのか。
普段着でも良いじゃないか。
あ、学園の制服で行こうかな。
「駄目ですよ」
マリウスに駄目出しされた。
「な、何が?」
「制服で行こうとなさいましたよね?」
読まれてた・・・。
「気軽でいいんだから、着飾る必要ないよ」
「行くのは王城であって学園ではありません。礼服をお出ししておりますので、そちらを着用なさって下さい」
「華美なものは着ないよ」
「あまり目立たないもので纏めております」
「ありがとう」
選んでもらった礼服をノロノロと着込み、重い足取りでエントランスへと向かう。
扉の向こうでは、すでに馬車が待機していた。
「じゃあ、行ってきます」
家令で父様の侍従のレイモンドが馬車の扉を開けて腰を折る。
「お気を付けて行ってらっしゃいませ」
付き添いのマリウスと共に乗り込むと馬車が動き出した。
乗ったら最後、問答無用で王城へ直行。
「マリウス、もしもの時は・・・お願いね」
「心得ております」
まだ、マリウスが居てくれるだけ安心する。
私にとって悪い思い出しかない場所へ行くのだ。
精神が疲弊していておかしくはない。
「絶対、端っこに居ようね」
「はい」
苦笑しながらも頷いてくれる味方。
ちょっと、今日は本気で頼ろう。
さすがにここまで来ると気を引き締めないと駄目だと笑顔を貼り付け、目論見ありまくりのお茶会へと挑むのだった。
はっきり言って、最悪だ。
何だろう・・・この茶番。
今、人目も憚らず第2王子と件の男がイチャついている。
同年代の子息達を集める意味があったのだろうか。
白ける会場となっている王城の中庭の入口に、笑顔と冷や汗というアンバランスな顔をお持ちの王弟殿下が小走りで現れた。
「どうなさいますか?」
無表情を貫いているマリウスが耳元で尋ねてきた。
「どうって、ねぇ・・・。このまま帰っていいかな?居ても仕方なさそうだし」
周りを見ても、皆帰る雰囲気を醸し出している。
当たり前だ。
皆予定を立て直して態々急遽決まったお茶会へ参加したのに、この扱い。
「では、馬車の手配をして参ります」
うん、と返事を返そうと声を出す前に第2王子達の側で王弟が待ったを掛けた。
「大変申し訳ない。本日、カルヴァイス本人が初めての茶会を開いた為、勝手が分からなかったようです。今から本人が挨拶に参りますので、皆様どうかそのままでお待ちを」
王族が茶会の何たるかを知らないとは何故に?
仲良しごっこの集まりだとでも思ったのだろうか?
「叔父上。何故俺が挨拶に・・・」
「煩い。言う通りにしろ」
叱られ、渋々第2王子が側近候補達を引き連れて此方へやって来た。
当たり前の様にユーリも同行している。
高位貴族なので、子息達が私の後列に並ぶ。
身分制度の為仕方ないけれど、嫌だな。
「・・・よく来た。適当に楽しんでいくといい」
「こんにちは。僕はユーリ。仲良くしてくれると嬉しいな」
王子の次に何故かユーリが親しげに話しかけてきた。
他の子息達が息を呑む。
いくら王子と一緒にいるからって、先に高位貴族へ挨拶をする。
流石に王弟も王子も分かりやすく焦り出した。
「ゆ、ユーリ。彼は公爵家の者だ。先に声を掛けるのは駄目だ」
「何故?カルヴァイス様が挨拶されたから、次は僕でしょ?」
ユーリの言葉に、王弟が頭を抱えるのが見えた。
ご愁傷様。
0
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~
水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。
アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。
氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。
「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」
辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。
これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました
美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!
記憶を無くしたら家族に愛されました
レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない…
家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…
【8話完結】強制力に負けて死に戻ったら、幼馴染の様子がおかしいのですが、バグですか?
キノア9g
BL
目が覚めたら、大好きだったRPGの世界に転生していた。
知識チートでなんとか死亡フラグを回避した……はずだったのに、あっさり死んで、気づけば一年前に逆戻り。
今度こそ生き残ってみせる。そう思っていたんだけど——
「お前、ちょっと俺に執着しすぎじゃない……?」
幼馴染が、なんかおかしい。妙に優しいし、距離が近いし、俺の行動にやたら詳しい。
しかも、その笑顔の奥に見える“何か”が、最近ちょっと怖い。
これは、運命を変えようと足掻く俺と、俺だけを見つめ続ける幼馴染の、ちょっと(だいぶ?)危険な異世界BL。
全8話。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
転生悪役召喚士見習いのΩくんと4人の最強の番
寿団子
BL
転生した世界は、前世でやっていた乙女ゲームの世界だった。
悪役お姫様の兄に生まれ変わった少年は普通のゲーム転生ではない事に気付く。
ゲームにはなかったオメガバースの世界が追加されていた。
αの家系であった一族のΩとして、家から追い出された少年は1人の召喚士と出会う。
番となる人物の魔力を与えられないと呪いによりヒートが暴走する身体になっていた。
4人の最強の攻略キャラと番になる事で、その呪いは神秘の力に変わる。
4人の攻略キャラクターα×転生悪役令息Ω
忍び寄る女王の祭典でなにかが起こる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる