周回(ループ)令息は断罪お断り致します‼︎

蒼葉

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ループ、9

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 本当、面倒くさい。

 なぜ何度も私を殺した第2王子ヤツの為に着飾らなければならないのか。
 普段着でも良いじゃないか。
 あ、学園の制服で行こうかな。

「駄目ですよ」

 マリウスに駄目出しされた。

「な、何が?」

「制服で行こうとなさいましたよね?」

 読まれてた・・・。

「気軽でいいんだから、着飾る必要ないよ」

「行くのは王城であって学園ではありません。礼服をお出ししておりますので、そちらを着用なさって下さい」

「華美なものは着ないよ」

「あまり目立たないものでまとめております」

「ありがとう」

 選んでもらった礼服をノロノロと着込み、重い足取りでエントランスへと向かう。
 扉の向こうでは、すでに馬車が待機していた。

「じゃあ、行ってきます」

 家令で父様の侍従のレイモンドが馬車の扉を開けて腰を折る。

「お気を付けて行ってらっしゃいませ」

 付き添いのマリウスと共に乗り込むと馬車が動き出した。
 乗ったら最後、問答無用で王城へ直行。

「マリウス、もしもの時は・・・お願いね」

「心得ております」

 まだ、マリウスが居てくれるだけ安心する。
 私にとって悪い思い出しかない場所へ行くのだ。
 精神こころ疲弊ひへいしていておかしくはない。

「絶対、端っこに居ようね」

「はい」

 苦笑しながらも頷いてくれる味方マリウス
 ちょっと、今日は本気で頼ろう。

 さすがにここまで来ると気を引き締めないと駄目だと笑顔を貼り付け、目論見ありまくりのお茶会へと挑むのだった。



 はっきり言って、最悪だ。
 何だろう・・・この茶番。

 今、人目もはばからず第2王子カルヴァイス件の男ユーリがイチャついている。
 同年代の子息達を集める意味があったのだろうか。

 白ける会場となっている王城の中庭の入口に、笑顔と冷や汗というアンバランスなかんばせをお持ちの王弟殿下が小走りで現れた。

「どうなさいますか?」

 無表情を貫いているマリウスが耳元で尋ねてきた。

「どうって、ねぇ・・・。このまま帰っていいかな?居ても仕方なさそうだし」

 周りを見ても、皆帰る雰囲気をかもし出している。
 当たり前だ。
 皆予定を立て直して態々わざわざ急遽決まったお茶会へ参加したのに、この扱い。

「では、馬車の手配をして参ります」

 うん、と返事を返そうと声を出す前に第2王子達の側で王弟が待ったを掛けた。

「大変申し訳ない。本日、カルヴァイス本人が初めての茶会を開いた為、勝手が分からなかったようです。今から本人が挨拶に参りますので、皆様どうかそのままでお待ちを」

 王族が茶会の何たるかを知らないとは何故に?
 仲良しごっこの集まりだとでも思ったのだろうか?

「叔父上。何故俺が挨拶に・・・」

うるさい。言う通りにしろ」

 叱られ、渋々第2王子が側近候補達を引き連れて此方へやって来た。
 当たり前の様にユーリも同行している。

 高位貴族なので、子息達が私の後列に並ぶ。 
 身分制度の為仕方ないけれど、嫌だな。

「・・・よく来た。適当に楽しんでいくといい」

「こんにちは。僕はユーリ。仲良くしてくれると嬉しいな」

 王子の次に何故かユーリが親しげに話しかけてきた。
 他の子息達が息を呑む。
 いくら王子と一緒にいるからって、先に高位貴族わたしへ挨拶をする。
 流石に王弟も王子も分かりやすく焦り出した。

「ゆ、ユーリ。彼は公爵家の者だ。先に声を掛けるのは駄目だ」

「何故?カルヴァイス様が挨拶されたから、次は僕でしょ?」

 ユーリの言葉に、王弟が頭を抱えるのが見えた。
 ご愁傷様。
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