恋愛偏差値U15~俺様は僕を好きで仕方ない

皇 陽太

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【太聖サイド】

入学式

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ようやくオリエンテーションから1週間。
この1週間というもの、いつものように練習三昧ではあったものの、俺の頭の中は時々仁科でいっぱいになってたが、もうそれも終わりだ!これからは毎日のように会うことができるんだ。


教室へ入り、太聖は陽斗の方を向いて座る。

「おす」
「おはようございます」



言ってみれば今日が初日みたいなもんだ。挨拶交わせただけでヨシとしないとな。




ホームルームが始まり、入学式はホールで行われるらしい。
席順が決まっていて、出席番号順に並んで座るようで、その番号を先生が読み上げていった。


「…仁科、E-36」

「…星名、E-43」


おい、その番号、確実に横に離れた席じゃんか。こんな風に近い席ではないんだな。



いざホールへ移動しようとなった後、俺は仁科の席の前の奴に話しかけた。


「なぁ、入学式の席順なんだけどさ。悪いんだけど俺と替わってもらってもいいかな?」
「え、なんで?」
「頼むよ。ちょっと仁科と話したいことがあってさ。な?」
「分かったよ。俺の席はE-35だけど、君は?」



約束を取り付けた俺は、うっかり仁科より先に着席して反抗されないよう、ホールまでの道中は仁科の少し後ろからついていくような形で移動した。



ホールに到着し、移動する距離も結構なもんだったが、それにしてもでけぇ。ホールというよりももはや劇場や会場という言葉の方がしっくりくる。しかも俺たちのクラスは3階席だしな…


ちょっとしたカルチャーショックというか、とんでもない学校に入学してしまったのではと思ったが、今はそんなことより、だ。余計なことを考えてたら本気で迷ってしまいそうだったので、前の奴らの姿を見失わないように後を追い、皆が入っていく扉へ俺も入っていった。


壮大な広さ。
もはや巨大なコンサート会場だった。
はやる気持ちを抑え、席を探そうとすると…


「うわー」

仁科が前方まで進み、頭だけ少し乗り出して下を見下ろそうとしていた。



おい…あいつ危なっかしいな



俺はなんだか心配になり、仁科の近くまで行こうとした瞬間…



「おい!!」

急にフラフラとしだした仁科を、俺は後ろから抱き抱えた。




「怖ぇならこんなところから見下ろすんじゃねぇよ、危ねぇだろうが!!」



仁科が首だけ俺の方を振り向き、何が起こったのか理解出来ない様子で俺の顔を見上げていた。



俺はただ「おい、大丈夫か?」と聞きたかっただけだった。それなのに俺の口から出てきた言葉にはトゲがあった。
仁科に何かあったらどうしよう、ただそれだけが心配だったのに。しかも何故か俺はこいつの身体ごと抱きしめてしまっている…



「どれくらいの高さなのかなと思ったんだけど、どちらかと言えば高い所苦手だった...」



仁科が俺の腕を振り払おうとするが、手に力が入っていない。そして俺の胸に倒れ込んできた。


「おい!?大丈夫か!?」
「ち、ちが...力が入らなくって...」


良かった、意識は失ってないみたいだ。

下手に余計な言葉が口から出ないよう俺は黙り、仁科が崩れ落ちないようにしっかりと抱え込んだ。

心配していた気持ちが急にホッとしたからなのか

ウエストほせぇなぁ…
なんかイイ匂いすんなぁ…



既に心配どころかその状況にドキドキしながら、ずっとこのままいたいと思ってしまっていた。
しかしそんなことが長く続くわけもない。ましてや生徒も他にいるのにこんな状態だ。


「ごめん、、」と顔を真っ赤にした仁科は自分の席へと向かった。




か、かわいい…
あいつ、完全に「恥ずかしい」って顔してたよな…



俺は仁科の後を追い掛けるようにして隣に座ることに無事成功した。




さっき抱きしめたことの興奮で、俺はいつもよりテンションが高くなっていた。
ついうっかり耳元で何度も話し掛けたが、ことごとく「うるさい」とか無視ばかりだった。




話しかけることを俺も止め退屈していると、俺の右肩に…



俺の右肩に仁科の頭が!!!!!




身長的にも座高的にもちょうどイイもたれ具合だとは思うが、まさか!まさかこのタイミングでくるとは…
俺は仁科の呼吸に合わせながら、起こしてしまわないように微動だにせずに肩の感覚に全集中した。





式が終わった。
一緒に教室へ戻ろうと思っていたが、仁科は中々席を立たない。なので俺もまだ席に残っていた。


「行かないの?」
「あぁ、今出ても混んでるだろ。もう少し空いたら行く」


仁科の様子がどこかおかしい。
もしかしてさっきフラついたのも、式の途中で寝てたのも、具合が悪いのかも知れない。



「じゃあ先に行くね」



1人で行かせて何かあったら大変だ。俺は手のひらを差し出した。



「まだ行かないんじゃないの?」
「気が変わった。多分もう空いてきてるだろ。ほら」


「ほら」

「飴?何か欲しいの?」
「ちげぇよ、バカ。手だよ、手出せよ」
「え、大丈夫だし...」
「手出さねぇなら、お前のこと抱っこして連れてくぞ?」



これは俺の本心だった。手を出さないなら、お姫様抱っこでも何でもいいから抱えて帰るつもりだった。分かってんのか分かってねぇのか、ボーっとしてる仁科が危なっかしくて俺は心配だったんだ。
「抱っこ」と言われたことが決め手だったのか、ちょっと困惑した顔の仁科は左手を俺の掌の上に乗せ、俺はしっかりとその手を握った。


俺と同じくらい大きく、柔らかくて冷たい手。
握ったのは初めてなのに「この手を離したくない」という想いが頭の中をずっと駆け巡っていた。

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