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【太聖サイド】
衝撃的な出会い③
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◇
初日のオリエンテーションが終わった直後から、俺には色々と考えなければならないことがあった。
①あんな子がこの世に存在していたのかということ。
②俺は何故、仁科のことがこんなにも気になっているのかということ。
③この想いは俺だけの中に留めておけないくらいデカイものになっているということ。
①については、あれだ。さすがにこれだけ生徒が集まる規模の学校だしな。もしかしてあんなんがワンサカ居たらどうすんだ?俺が俺でなくなるんじゃね?身が持つのか...??
②については、分からん。よく考えたら見た目がかわいいだけじゃねーか。俺のこと睨んできやがったし、ニコリともしねぇ愛想の悪い奴だったしな。まぁ俺のせいかも知れんが...
男子校なのに女子がいるってぬか喜びしたせいで俺は浮かれてたんだろう。そうだ、きっとそうに違いない。
③については、これはあれだ、何か嬉しいことやムカつくことがあったら、つい誰かに話したくなることってあるよな。すうだ、きっとそんなもんだ。うちのクラスにはこんな奴が居たんだぜ~的なことを話したいだけに決まってる。
よし、何も問題なさそうだ、俺は何も間違ってない。
......「なぁ?太聖??聞こえてるか??」
俺が仁科に睨まれた後、大野ちゃんと一緒に練習へ向かおうとしていたが、俺は大野ちゃんに話し掛けられてたことに全く気付いてなかった。
また意識飛んでた...?俺ってそんなに没頭して考えることなんて今まであったっけか?
「あー、わりぃわりぃ。俺今日さ、何か考えてるとボーッとして周りの声が全然聞こえなくなるんだよな」
「なんだよそれ。太聖、疲れてんじゃねぇの?」
「いや、別にそういうわけでもないんだけどさ、何だろな」
「あれじゃねぇの?さっきお前が『女子』って言ってた子」
「はぁぁぁぁ!?バカ、ちげぇよ!俺があんな奴に心乱されるわけねぇだろ!!」
「...何か充分に乱されてる感じがすんのは気のせいか?」
「いや、聞いてくれよ!俺が話し掛けてもさ、無視すんだぜ?」
「...何て話し掛けたんだよ?」
「...『女みてぇな字、書いてんじゃねぇよ』って...」
「は!?それ、まさかいきなりそんなこと言ったんじゃねぇよな?」
「......」
「それはさすがに...口が悪すぎだろ...」
「ちげぇんだって!『字、キレイだね』って話しかけようとしたら、何か知らねーけど『女みてぇな』って口から出たんだよ!俺、何かの呪いにかかってんだよ、多分...」
「...呪いって何の呪いだよ?誰にかけられた?」
「分からん...でも呪いとしか思えねぇ...」
「他にもまさか何か言ったんじゃないよな...?」
「言ったというか、学級委員に推薦した...」
「はぁ!?ナゼに!?」
「...一緒に学級委員やってやろうかなと思って...」
「お前も学級委員なったの!?」
「...なってない...」
「な ん で だ よ !!wwww」
「先生が俺は忙しいだろうからって...」
「つーか『やってやろうかな』って何だよ!?wwww」
「...ほら、仲良くなるのに手っ取り早いかなって...」
「...太聖さぁ、学級委員って何やるか分かってんの!?」
「あれだろ、二人で朝、黒板拭いたり日付書いたりだろ...」
「それ、ドラマとかの見過ぎ!!実際そんなんじゃねぇだろwwww」
「あ、そうなのか??」
「ぁたりめーだろ!!wwwwお前、どんだけお花畑だよ!!マジでウケんだけど!!wwww」
「......」
「まぁ、あの子が太聖を睨んだ理由はよく分かった。それはな、太聖。お前が100パー悪いwwww」
「それと、太聖があの子と仲良くなりたいってのも、よぉぉ~く分かった。女子とは思わなかったけど、確かにかわいかったもんな。お願いされれば俺もあの子と付き合えるかも知んねぇし」
「おい!!いくら大野ちゃんでもそれはダメだ!!俺はな...」
「あー、めんどくせーなー。狙わねぇよ!お願いされるなら別だけど」
「おい!!!」
「マジウケんだけどwwww太聖もこんなに必死になることあんのな。太聖にもかわいいとこあんじゃんwwww」
「でもさ、アイツ男だろ、実際は...いや、もしかして本当は女だけど、わけあって男子校に...」
「ない。それは誓って、ない」
「...だよなぁ...俺、どうしたんだろ...」
「ま、いいんじゃねぇの?皆が皆、理解してくれるわけじゃないだろうけどさ、俺は好きになった相手が男だからとか女だからとか関係ないと思うけどな。好きなら好き、それでいいんじゃねぇの?」
「いや、まだ好きとは言ってな......」
「話を聞く限り、俺の予想は外れてないと思うけどさ」
「太聖。さっき呪いって言ってたけど、確かに呪いかもな」
「ホントか!?どこで誰に...!?」
「恋の呪いだよ。小中学生がよくなるやつ。好きな子を何故か苛めるっていうアレだよ。太聖のはまさしくそれだwwww」
大野ちゃんに散々笑われながらも、俺の話をまともに聞いてくれたことは嬉しかった。ただ、まだ好きと決まったわけじゃないし「小中学生がよくなる『呪い』」というのも納得はいってなかった」。「
とにかく、ゼロどころかマイナスからスタートした初日だ。これから挽回してきゃいいだろう。
午後の練習中のゲームで、俺は3回ほど立ち尽くしたままゴールを許し、皆に疲れてるのかもと散々心配されたのだが、大野ちゃんだけはそれを見て腹を抱えて笑っていた。
◇
練習も終わり、晩飯タイム。
クラブハウスから食堂まで10分歩くのももう慣れた。
クラブハウスを出てから今日の晩飯何かな~って考えながら歩いてたら、曲がる角のとこに人影。あれって仁科じゃね?
そういや自己紹介で仁科はテニス部って言ってたけど、テニスコートってあっちの下にあったよな...
サッカーグラウンドの明るいライトに照らされた横顔がやはり紛れもなく陽斗だということを太聖は確認し、グラウンドのフェンスの横に続く植え込みのある一本道に入った所で太聖はサッカーボールを少し強めに蹴ってみた。
一度目も二度目もボールは無視されたが、三度目を蹴る頃には陽斗の近くまで追い付いていた。
あいつのかかとにコツンと当たるくらいの強さで......
ボールは陽斗の足に当たり、ようやく陽斗が後ろを向いた。
「何だよ、お前かよ」
(何だよ、まだ怒ってんのかな...それともやっぱり嫌われてんのかな...)
俺はめげずに「コイツ、うちのクラスの学級委員なんだ!」と、一緒にいたアヅマとケントに軽く紹介した。よし、女子とは言わずに済んだぞ...
ちゃんと話してぇけど部活仲間らしき奴もいるしな...ここはアヅマ達もいるし、呪いが発動する前にひとまず去っておくか...
「じゃあな、女子!襲われんなよ!」
あ...呪いがまた出た...
「ニイクラ先ぱ~い!!アイツです、アイツ!!さっき話した今日の憎たらしい奴!!何ですか、アレ!信じらんない!!」
後ろで仁科の怒声が聞こえてきた俺はいたたまれなくなり、ついでにアヅマ達にも「何なに??」と聞かれたので、大野ちゃんに話したことをまた同じように説明しながら食堂へ向かった。
2人とも大野ちゃんと同じような反応をしてくれて、仁科に嫌われた分、俺は心が救われたんだ。
初日のオリエンテーションが終わった直後から、俺には色々と考えなければならないことがあった。
①あんな子がこの世に存在していたのかということ。
②俺は何故、仁科のことがこんなにも気になっているのかということ。
③この想いは俺だけの中に留めておけないくらいデカイものになっているということ。
①については、あれだ。さすがにこれだけ生徒が集まる規模の学校だしな。もしかしてあんなんがワンサカ居たらどうすんだ?俺が俺でなくなるんじゃね?身が持つのか...??
②については、分からん。よく考えたら見た目がかわいいだけじゃねーか。俺のこと睨んできやがったし、ニコリともしねぇ愛想の悪い奴だったしな。まぁ俺のせいかも知れんが...
男子校なのに女子がいるってぬか喜びしたせいで俺は浮かれてたんだろう。そうだ、きっとそうに違いない。
③については、これはあれだ、何か嬉しいことやムカつくことがあったら、つい誰かに話したくなることってあるよな。すうだ、きっとそんなもんだ。うちのクラスにはこんな奴が居たんだぜ~的なことを話したいだけに決まってる。
よし、何も問題なさそうだ、俺は何も間違ってない。
......「なぁ?太聖??聞こえてるか??」
俺が仁科に睨まれた後、大野ちゃんと一緒に練習へ向かおうとしていたが、俺は大野ちゃんに話し掛けられてたことに全く気付いてなかった。
また意識飛んでた...?俺ってそんなに没頭して考えることなんて今まであったっけか?
「あー、わりぃわりぃ。俺今日さ、何か考えてるとボーッとして周りの声が全然聞こえなくなるんだよな」
「なんだよそれ。太聖、疲れてんじゃねぇの?」
「いや、別にそういうわけでもないんだけどさ、何だろな」
「あれじゃねぇの?さっきお前が『女子』って言ってた子」
「はぁぁぁぁ!?バカ、ちげぇよ!俺があんな奴に心乱されるわけねぇだろ!!」
「...何か充分に乱されてる感じがすんのは気のせいか?」
「いや、聞いてくれよ!俺が話し掛けてもさ、無視すんだぜ?」
「...何て話し掛けたんだよ?」
「...『女みてぇな字、書いてんじゃねぇよ』って...」
「は!?それ、まさかいきなりそんなこと言ったんじゃねぇよな?」
「......」
「それはさすがに...口が悪すぎだろ...」
「ちげぇんだって!『字、キレイだね』って話しかけようとしたら、何か知らねーけど『女みてぇな』って口から出たんだよ!俺、何かの呪いにかかってんだよ、多分...」
「...呪いって何の呪いだよ?誰にかけられた?」
「分からん...でも呪いとしか思えねぇ...」
「他にもまさか何か言ったんじゃないよな...?」
「言ったというか、学級委員に推薦した...」
「はぁ!?ナゼに!?」
「...一緒に学級委員やってやろうかなと思って...」
「お前も学級委員なったの!?」
「...なってない...」
「な ん で だ よ !!wwww」
「先生が俺は忙しいだろうからって...」
「つーか『やってやろうかな』って何だよ!?wwww」
「...ほら、仲良くなるのに手っ取り早いかなって...」
「...太聖さぁ、学級委員って何やるか分かってんの!?」
「あれだろ、二人で朝、黒板拭いたり日付書いたりだろ...」
「それ、ドラマとかの見過ぎ!!実際そんなんじゃねぇだろwwww」
「あ、そうなのか??」
「ぁたりめーだろ!!wwwwお前、どんだけお花畑だよ!!マジでウケんだけど!!wwww」
「......」
「まぁ、あの子が太聖を睨んだ理由はよく分かった。それはな、太聖。お前が100パー悪いwwww」
「それと、太聖があの子と仲良くなりたいってのも、よぉぉ~く分かった。女子とは思わなかったけど、確かにかわいかったもんな。お願いされれば俺もあの子と付き合えるかも知んねぇし」
「おい!!いくら大野ちゃんでもそれはダメだ!!俺はな...」
「あー、めんどくせーなー。狙わねぇよ!お願いされるなら別だけど」
「おい!!!」
「マジウケんだけどwwww太聖もこんなに必死になることあんのな。太聖にもかわいいとこあんじゃんwwww」
「でもさ、アイツ男だろ、実際は...いや、もしかして本当は女だけど、わけあって男子校に...」
「ない。それは誓って、ない」
「...だよなぁ...俺、どうしたんだろ...」
「ま、いいんじゃねぇの?皆が皆、理解してくれるわけじゃないだろうけどさ、俺は好きになった相手が男だからとか女だからとか関係ないと思うけどな。好きなら好き、それでいいんじゃねぇの?」
「いや、まだ好きとは言ってな......」
「話を聞く限り、俺の予想は外れてないと思うけどさ」
「太聖。さっき呪いって言ってたけど、確かに呪いかもな」
「ホントか!?どこで誰に...!?」
「恋の呪いだよ。小中学生がよくなるやつ。好きな子を何故か苛めるっていうアレだよ。太聖のはまさしくそれだwwww」
大野ちゃんに散々笑われながらも、俺の話をまともに聞いてくれたことは嬉しかった。ただ、まだ好きと決まったわけじゃないし「小中学生がよくなる『呪い』」というのも納得はいってなかった」。「
とにかく、ゼロどころかマイナスからスタートした初日だ。これから挽回してきゃいいだろう。
午後の練習中のゲームで、俺は3回ほど立ち尽くしたままゴールを許し、皆に疲れてるのかもと散々心配されたのだが、大野ちゃんだけはそれを見て腹を抱えて笑っていた。
◇
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クラブハウスを出てから今日の晩飯何かな~って考えながら歩いてたら、曲がる角のとこに人影。あれって仁科じゃね?
そういや自己紹介で仁科はテニス部って言ってたけど、テニスコートってあっちの下にあったよな...
サッカーグラウンドの明るいライトに照らされた横顔がやはり紛れもなく陽斗だということを太聖は確認し、グラウンドのフェンスの横に続く植え込みのある一本道に入った所で太聖はサッカーボールを少し強めに蹴ってみた。
一度目も二度目もボールは無視されたが、三度目を蹴る頃には陽斗の近くまで追い付いていた。
あいつのかかとにコツンと当たるくらいの強さで......
ボールは陽斗の足に当たり、ようやく陽斗が後ろを向いた。
「何だよ、お前かよ」
(何だよ、まだ怒ってんのかな...それともやっぱり嫌われてんのかな...)
俺はめげずに「コイツ、うちのクラスの学級委員なんだ!」と、一緒にいたアヅマとケントに軽く紹介した。よし、女子とは言わずに済んだぞ...
ちゃんと話してぇけど部活仲間らしき奴もいるしな...ここはアヅマ達もいるし、呪いが発動する前にひとまず去っておくか...
「じゃあな、女子!襲われんなよ!」
あ...呪いがまた出た...
「ニイクラ先ぱ~い!!アイツです、アイツ!!さっき話した今日の憎たらしい奴!!何ですか、アレ!信じらんない!!」
後ろで仁科の怒声が聞こえてきた俺はいたたまれなくなり、ついでにアヅマ達にも「何なに??」と聞かれたので、大野ちゃんに話したことをまた同じように説明しながら食堂へ向かった。
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