恋愛偏差値U15~俺様は僕を好きで仕方ない

皇 陽太

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【太聖サイド】

衝撃的な出会い②

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お決まりの自己紹介か。
他の奴は興味ねぇからどーでもいいが、この子、何て名前なんだろ。さっきの座席表、もう一回見に行ったら怪しいよな...
早く順番回ってこねぇかな。よし、ちゃんと見れるように向こう向いて座っとくか。



「皆さん、おはようございます。ニシナ ハルトです」

へぇ、ニシナ ハルトって言うのか。何かいい名前だな...

「内部からの進学組ですが、高校でもテニス部に入ります」

こいつ、坊っちゃんか?坊っちゃんだからこんなにかわいく育てられたのか?ご両親に感謝しなきゃだな、ありがとう、お父様お母様...

「3年間どうぞよろしくお願いします!」


(パチパチパチ...)


陽斗は恥ずかしい時など、両肩を軽くすくめながら首を傾けるという無意識の癖があった。この時も両肩をすくめて首を傾け、舌をペロッと出したのだが、この陽斗の癖が太聖の脳ミソに強烈な電気信号を送ってしまったようである。

ただでさえ女子であるのではと錯覚し、一時的にとは言え陽斗のことばかりを考えていたところに、まるで他意のない肩ペロを見せられ、太聖は完全に骨抜きにされてしまった。




俺は、天地をひっくり返した底無しの光の中へ堕ちていくような感覚の中「おい、星名。星名!次お前の番だぞ」と担任の声で我に返った。



あの破壊的な肩ペロから、俺は意識が飛んでたらしい...



「...お、俺は...星名です。サッカー部です」
「それだけか?」
「終わりです」


自分の名前が何だったのかを忘れてしまうくらい強烈なパンチをもらった俺は、ろくな自己紹介すら出来なかった。





自己紹介の後は、各書類を記入する時間。
肩ペロの後というもの、俺はニシナのことで頭が一杯だった。


「ニシナ」ってどう書くんだろ。気になるな...待てよ、今書いてるのを見れば分かるんじゃね?いや、見るっつってもどうやって?見せて下さいって言うのも変だし...


太聖はこっそりと陽斗の方を振り向くと、陽斗は黙々と紙に字を書いていた。書く度に揺れる前髪を見て「いい匂いすんのかな」とふと考えながら、思い切って陽斗の字を覗き込んだ。


コイツ、綺麗な字を書くじゃねーか...



陽斗の反応に怯えながら覗き込みつつ、書かれた「仁科 陽斗」という字を見つけて、太聖は心の中でガッツポーズを取った。と同時にそれを悟られまいと先手必勝


「おい、女みてぇな字、書いてんじゃねぇよ」



...あれ?俺、そんなこと言うつもりじゃない...「キレイな字だね」って話しかけようと思っただけなのに何故口が勝手に動くんだ...



俺の放った言葉のせいで周りがザワザワし、仁科は顔を真っ赤にしてしまっている。


「いや、、そんなことないです、、」


仁科は恥ずかしそうな小声でそう答えたが、俺の顔を見上げてはくれなかった。そりゃそうだ、俺の言い方が悪い。でもここから挽回すんぞ。まずはこっちを向いてもらおう。


「ほら、女みてぇな字じゃねぇかよ」


俺は仁科の書く文字を指した途端、またもや嫌な奴丸出しのセリフを吐いた。



俺ってば、何してんだよ...これは何かの呪いなのか?




「やめてもらえますか?」



仁科は俺の手を払い、黙々と記入を続けていた。

怒った顔もかわいかったが、俺の顔をちゃんと見てくれないことが悔しくて「おい、無視すんじゃねぇよ」と更に言い続けた。何度言い続けても無視され続け、俺は失意のどん底に居た。



完全に嫌われた......

そして俺の口が...口から出る言葉が...呪われている。




そこで俺は考えた。嫌われたもんは仕方ない。ただな、俺は..こんなことじゃ諦めねーぞ。まだ初日だからな。



記入用紙は後ろから回収されて皆がしばし解放された隙を見て、俺は仁科の方を向いて座ることに決めた。
俺は仁科の顔を常に見ていられる。仁科が俺の方を見てくれれば俺と目が合う。そしたらいつかは仁科だって俺に......



怪訝そうな顔を一度見せてからと言うもの、仁科は全然俺を見てくれない。





「学級委員を誰かやりたい人?」


これはチャンスだ。俺が手を挙げて、その後仁科を指名するか...?いや、俺だけが学級委員になってしまったら意味がない。よし。


「誰も立候補しないならこっちから指名制にするぞ~」

「はーい!僕は仁科くんがいいと思いまーす!」

「おぉ、そうか!推薦もありだな!どうだ、仁科やるか?」

「え、いや、全然やりたくないんですが......やります!!!」



よし...あとはどうやって俺も学級委員になるか、だ。


「先生~。もう1人は星名くんにして欲しいんですけどどうですかー?」


俺は内心「ラッキー!!」と思っていた。ただ、そこで嬉しそうにしてしまうと俺が推薦したことが無駄になる。


「はぁ??何言ってんだよ!!」…そう言いながらも内心の喜びは隠せずに、ついヘラヘラしてしまった。もしかして、実は俺と仲良くなりたい...??


「まぁ俺も忙しいんスけど、そこまで言うなら仕方ね......」
「星名は部活で忙しくて厳しいだろう。他の奴にしてくれ」


俺の意見を聞いてもらうことなく、もう1人は川原って奴に決まってしまった。


...先生よぉ~、いいんだよ、そこは!俺とコイツが一緒にやるってことが大事なのに!!メガネの川原...マジ覚えとけよ



...とは言え、仁科が学級委員になったおかげで、俺は仁科が委員決めをしているのをずっと眺めていることができた。まさかこの俺に、こんな出逢いが降ってくるなんて自分でも信じらんねぇ。つーか、何だよ。俺はそもそも男が好きなわけじゃねぇのに...!



...はぁ...かわいいなぁ...





その日は終了。
仁科とまた会うのは一週間後の入学式か。寂しさに浸っていると、大野ちゃんが教室まで迎えに来た。そうだ、大野ちゃんにも紹介してやるか。


「おい、聞いてくれよ~。うちの学級委員、女子なんだぜ~」


...また憎まれ口を叩いてしまった...そう思ってももう遅い。

「女子じゃないよ」と言う仁科の顔は、口元はニコッとしていたが目が鋭くて完全に俺を睨み付けていた。もう俺は何て言えばいいか分からず「女子学級委員じゃねぇかよ~」と立て続けに言って、またもや無視を喰らった。



しみるよな、無視もニラまれんのも。
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