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第2章 幼年編
104 卒業
しおりを挟むあれから2ヶ月が過ぎた。
村はすっかりきれいになった。
復興中の村には、活気も生まれてきている。
▼
いつもの剣の修行だ。
あれ?
今日は叩かれないぞ?
「よしアレク行ってこい。ヴィヨルドなんぞに負けるなよ」
えー!?
初めて師匠からほめられたよ!
▼
後期教会学校を卒業した。
あっという間の3年間だった。
最初はシャーリーと2人して田舎もんと揶揄われた。
(今もデニーホッパーの田舎もんだと自負している)
が、今ではその揶揄った3バカたちとは大の仲良しになった。
頑張り屋のシャーリーは後期教会学校でも40人1位の座学の成績だ。水魔法も今ではLevel3を遅滞なく発現できる。
シャーリーはこのまま領都学校に通い6年後に王都学園を目指すという。
「アレクはどうするの?」
「俺も次はヴィヨルド領都学園だ。6年後、王都学園で会おうな」
シャーリーとはおそらく6年後の王都学校でも肩を並べて学ぶだろう。
「シャーリーまたな」
「うんアレク。実は私ね、前から私ね‥」
「「「アレクー」」」
「おー今行くよ」
3バカが呼んでいる。
「ごめん、シャーリーなんだっけ?」
「ううん、何でもないわ」
「そっか。じゃあ!」
「シャーリーどんまい」
シャーリーとは大親友となったミリアが慰めて言った。
前後期、教会学校での義務教育は終わった。今後の俺は6年間の高等教育に進む。
多くの中原の国家同様、義務教育から高等教育までは、6・6・3の学校制である。
王国では各領内に高等学校がある。ヴィンサンダー領にも高等学校はある。
(最後の3は王都学園の3年だ)
俺は隣のヴィヨルド領領都学園に進学する。
ヴィヨルドは王国西側、大海に面した領だ。
卒業式にはディル師匠もシスターナターシャも来てくれた。
モンデール神父様が言われた。
「アレク君、このあとはいよいよ王都学園に繋がる最後の布石だよ」
「はい、わかってます」
シスターナターシャが言う。
「ヴィヨルドでも、勉強を疎かにすることなく頑張りなさいよ」
「はい。シスターからもらった課題もちゃんとやります」
最後に師匠が言った。
「行ってこい。ヴィヨルドの同世代に負けるとは思わんが、常に真摯に努力せい。夏と冬の休みにはちゃんと帰ってこい。修行の続きじゃからな」
「はい!」
「では行ってきます!」
「「「いってらっしゃい(いってこい)」」」
モンデール神父、ディル神父、シスターナターシャの3人が驚くほどの速さで、颯爽と旅立つアレクだった。
アレクが去った後姿を追いながら。
モンデール神父がディル神父に聞く。
「師よ。アレク君は?」
「ああ、今見た通りじゃ。格段に速くなった。ホークのおかげじゃ。ヴィヨルドでも、同年代はもちろん、もはやそこらの大人にも負けまい」
「シスター、アレク君は?」
「今は領経営を学んでますよ。向こうでの課題も出してありますし。意識も出てきました」
「モンデール先生、アレク君は今魔法はどこまで?」
「エルフのケイト先生が言ってましたよ。アレク君の肩にはシルフがいるって。精霊魔法を使えるヒューマンの学生はおそらく王国ではアレク君だけでしょう。
ヴィヨルドから戻って、もしまだ使えないようでしたら私が聖魔法を教えます」
「フフフ。あの子がどこまで行ってくれるのか楽しみですね」
「てっぺんまで行ってもらわなきゃ困るだろ。何せ王国有数の我ら、2つ名を持つ3人が師匠なんだからな」
「ホークさんを入れたら4人ですよ」
「そうじゃのー」
ワハハ
フフフ
あはは
第2部幼年編 完
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