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第2章 幼年編
148 祭りのあと
しおりを挟む「「「アレク君楽しかったよ」」」
ニールセン村のマモル神父様や村人たちが笑顔で帰っていった。
「「「アレク君ありがとう。楽しかったよ」」」
のんのん村のシスターサリーやポンコーさんたちも笑顔で帰っていった。
「さよならーありがとーまたねー」
村長のチャンおじさんと2人並んで2つの村人たちの姿が見えなくなるまで見送った俺だ。
花火大会のあと。
午前中は、みんながそれぞれの後片付けをした。
俺も観覧席を元の噴水のあるフラットな公園に戻した。
午後からは反省会。
宿泊施設1階の小部屋を会議室とした。
円卓に座ったのは順に以下の人たちだ。
教会からは師匠、シスターナターシャ。
村の代表は村長のチャンおじさんと副村長のベンのお父さん。
自警団からはヨゼフ父さんとニャンタおじさん。
婦人会からはアンナのお母さんとマリア母さん、シャーリーのお母さん。
子ども会からはジャンとアールとジョエル。
屋台等の商会関係はサンデー商会のシルカさん。
司会進行は俺。
シャーリーが記録係だ。
デニーホッパー村の現在の最高意思決定機関だ。
チャンおじさんを促して開会の挨拶をしてもらう。
「みなさん、お疲れ様でした」
「「「お疲れ様でした」」」
「無事に花火大会が終わったのもみなさんのご協力のおかげです。わしが言うのもおかしいけど、やはり言いたいことは1つだけ。楽しかった。ありがとう。ガハハ」
パチパチパチパチ
みんなから拍手が起こった。
「それでは今回の花火大会のよかったこと、悪かったこと、気になったこと。なんでもいいですから、順番に話してください。では師匠からお願いします」
「良かったのはやはり誰1人の怪我も事故もなくできたことじゃな」
師匠が続ける。
「村の皆が他所から来た人々に明るく接しておったのも評価できる。逆に考える必要があるのは村に来た人に開催時間などを周知しきれなかったことじゃの。故に開門のかなり前から到着しておった者や、夜間に少人数で帰ろうとしておった者までおったことかの。今後考えねばなるまい」
なるほど師匠の言う通りだ。何点鐘に何があるのかを周知されていれば良いな。それと夜半の移動は自己責任とはいえ、やはり危険性が伴う。
宿をとってない人のためにも、せめて噴水周りの照明は一晩中つけておくべきだな。
続いてシスターナターシャが口を開いた。
「今日のこの日を、これまで女神様に召されたご家族の鎮魂祭としたことはとてもよかったわ。
この祭祀が定着していけば夏の終わりの歳時として村民自身の村への愛着にも繋がるでしょうしね。
また村を離れてもこの季節に村に帰ってこれる意識づけにもなると思うわ」
うん、そのとおりだよな。
「それから婦人会がとても良かったわ。
ニールセン村の人ものんのん村の人も婦人会の接待のおかげで誰もが喜んでいたから。
今後何かをやるときも、もしまた災害があったときも婦人会の組織は、この村の成長にとって絶対に欠かせないものになるわ」
本当に2つの村の誰もが感謝してたもんな。
細かなことを見ているのはさすがシスターナターシャだ。
このほかみんなから順番に忌憚のない意見がたくさん出された。
「宿泊施設と温泉ができたのはすごくいいぞ。楽しかったよ。ガハハ」
チャンおじさんが言った。
「バザーといい花火といい、よその村にはないから自慢できるよ」
ベンのお父さんが言った。
「迷子もでなかっのはよかったが、今後はバザーを含めて迷子などの案内所があるといいな。小さな子連れの休憩所にもここがいい施設になるな」
ニャンタおじさんが言った。うん、これは即採用だよ。
「花火がびっくりするくらいきれいだった。あと、宿泊施設にみんなで泊まれたらいいな」
アールが言った。うん、これもいいな。
泊まる案。
教会学校に通ってる子どもたちの夏合宿や、災害時を想定した宿泊訓練なんていいのかもしれない。
みんなの意見を記入していくシャーリー。
よかったことから、悪かったこと、反省しなければならないこと。
たくさんの意見が出された。
来年の花火大会にむけて良い課題になった。
こうした会合も、今後はこの施設でできる。頭を使ったあとは温泉でリフレッシュできるのも大きいしね。
【 チャンside 】
素晴らしい花火大会だった。
のんのん村の人たちもニールセン村の人たちもとても喜んでくれた。
村長としても誇らしいくらいだよ。
ガハハ。
花火大会といい、この宿泊施設も温泉も本当にアレク君のおかげだ。
ガハハ。
盗賊団に襲われ、本当なら死人もたくさん出て村としてダメになることさえ覚悟する必要があったはずなのにな。
前よりも、下手をすればさらに良い村に生まれ変わりつつあるわい。
ヨゼフと2人、着の身着のままで追われるように村を出てきたのがまるで嘘のようだ。
しかし‥何から何まで、アレク君に頼りきりだな‥面目ない。ガハハ。
「ではシスターナターシャとディル神父様より、今回の総括と漏れ落ちている点などがあればお願いします。
シスターナターシャからお願いします」
少しの間をおいて、シスターナターシャが話しだした。
「昨日についてはまったく問題ないわ。上出来じゃない。
来年以降も楽しみだわ」
シスターナターシャの言葉に、皆んなが互いに頷き合い笑顔となった。
「でもね、最後にちょっぴり嫌な話をするわね」
(えっ?)
「現実的な話として再来年には、このデニーホッパー村も課税対象になるはずよ。
最近の村の評判の高さは王都に行っても聞こえてくるからね。
逆にこの1年、領から何も言ってこないのが不思議なくらいよ。
だから、ひょっとしたら再来年の前にも課税の話があるかもしれないわ。
当面は村税に人頭税。
同じように、領都から騎士団が派遣される可能性もあるわ。おそらく数名の騎士団詰所ね。今の村には治安警備に不安があるからね。
だから、これはいいことかもしれないわ。ただやっぱり騎士団もタダじゃないわ。経費を請求されると思うわ。
これもあわせて検討する必要があるわ。
それとね、現在免除されている子どもたちの後期教会学校。
おそらく再来年からは領都サウザニアに子どもたちを通わせることになるわ。
かと言って通える距離じゃないから、現実的にはサウザニアに村の子どもたちの寮を作ることも検討課題よ。
村が発展する以上、今後はこれまで以上に村として費用の心配、準備が必要になるわ。
そのためにも今回のような行事からお金を貯めることもね。
「「「・・・」」」
誰もが一様に口を噤む。
俺もそうだ。
先々のこと。
わかってはいたことなんだけど。
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