アレク・プランタン

かえるまる

文字の大きさ
401 / 722
第2章 幼年編

402 乖離

しおりを挟む


 「ああー疲れたわー」

 「わははは。お前ら魔獣狩りすぎだっつーの。あっ、俺もか」

 わはははは
 わはははは
 わはははは

 「肩凝るーー」

 「俺ら働き過ぎだよな。腹減ったよな」

 「だよなーー」

 「おい下級生なんか飯作れよ。お前ら俺らのおかげで魔獣と闘わずに済んでんだからよ」



 「(アレク君あの人たちマジで言ってるのかしら)」

 「(どーなんすかねライラ先輩‥)」

 「(ユーリ先輩なんとかしてください)」

 「(あそこまで振りきれりゃ、あいつらある意味すげぇよな‥)」

そして俺たち4人はお互いの顔を見合わせて同時に言ったんだ。

 「「「(どうする?)」」」



 回廊に出てくる弱小魔獣にビビりまくってたのも何処へやら。もちろん俺にビビってたのも。
 みーんな綺麗さっぱり忘れちゃったみたいな先輩たち。
 でもヒューイ先輩だけは少し違う気もするけど。


 「先輩ちょっ‥それは違」

 「いいよセーラ。言わなくて」

 「だってアレク‥」

 「先輩たち。飯は俺が作ります。だけど、ここまだダンジョンに入ったばかりですよ?1階層の入口なんですよ?
 せめて暗くなる1階層の終わるまでは探索しないと」

 「そんなこと知るかよ。それより腹減ったんだよ。疲れたんだよ俺らは。
 なんとかしろよ!お前平民なんだからよ!」

 「「そうだぞ平民!」」




 「わかりました。
 でもまだ昼前ですよ?まだまだ明るいですよ?
 本当に本当にここで野営するんですか?」

 「するっつってんだろ!平民がいちいち口ごたえするんじゃねぇ!
 俺たちは疲れたんだよ。だからここで野営して朝早く出たらいいじゃねぇか。なあ皆んな」

 「「「賛成ー」」」

 ユーリ先輩が呆れながらも正論を説いたんだ。

 「お前ら1階層入口で野営なんて聞いたことないぞ!」

 「なんだよユーリ。てめー、平民の寮生がうるせえんだよ!」

 「「「そうだぞ平民」」」


















 「‥‥なあお前ら。もう少し真面目にやらないか?
 ここはお前らが不真面目にやれるところじゃないぞ。下手すりゃ死ぬぞ?」

 「な、なんだこいつ!?」

 「なにまじめに言いやがる!」

 「なんか上から目線じゃねぇか!」

 「「「ウゼー!」」」



 「1790人、10傑になれなかった‥‥とくにこの学園ダンジョンを目標にやってきた300人の6年生の気持ちを汲むべきじゃないのか?」

 ユーリ隊長の真摯な問いかけなんだよ?それなのにこいつらは‥‥

 「んなこと知るかっつーの」

 「「「そうだそうだ」」」

 「10傑に入れなかった時点で他の奴らは負け犬で俺らは勝ち組なんだよ」

 「負け犬のことなんか気にするかよ!」

 「「「そうだそうだ」」」


 「お前ら‥‥本当に自分たちが強いって思ってるのか?
 このままだとすぐに撤退して恥ずかしいことになるんだぞ。
 王国に住む以上、ヴィヨルド学園の卒業生はどこにでもいるんだぞ?」

 「それがどうしたよ?」

 「こんな不真面目なことやってるって卒業生が知ったらどう思う!?」

 「何が卒業生だよ!俺らは強いんだよ!だから10傑になれたんだよ!」

 「「「そうだそうだ」」」

 「あんな弱すぎる奴らの卒業生なんだろ?大したことねぇって」

 「おおよ。俺らだいたいあんだけたくさんの魔獣を倒したんだぞ。どこがふざけてるんだよ!」

 これにはたまらずライラ先輩も口を挟んだんだ。

 「先輩、徹底的に勘違いしてるわ。一角うさぎもグレーウルフも魔獣のうちにはいらないわ!
 それになによりヴィヨルドの生徒は決して弱くないわ!」

 「あのなあ‥‥なに人様に意見してるんだよケモノ女!」

 「えっ?!」

 「「「そーだそーだ」」」

 「お前、自分の立場わかってんのか?
 お前獣人なんだぞ!」

 「俺ら人族の貴族様だぞ!なに獣人風情が口ごたえしてんだよ!」

 「そうだ!いいこと考えた。
 ケモノ女は野営で俺たちのマッサージをしろ!
 クックック。しかもいろーんなところのな」

 「くっ‥」

 わはははは
 わはははは
 わはははは


 「先輩その考えは間違ってます!人族も獣人族もみんな同じ人間です!
 だいたい女の子に対してその言い方は失礼です‥‥」

 「なんだよシスターの形した女が?!てめー人族だろうが!裏切り者め!」

 「ああそうだ!お前もマッサージ要員な」

 わはははは
 わはははは
 わはははは



 もうね、沸点はとっくに頂点まで上がりまくってたよ。



 それでも‥‥心の中にシスターナターシャの言葉があったんだ。考え方が違うからといってこのまま力で抑えたら‥‥それは独裁者なんだって……。











 「仲間割れはやめましょうよ」

 「はぁ?仲間?お前らが仲間?冗談」

 わはははは
 受けるーー
 わはははは


 「じゃあ俺らは先輩たちのなんなんですか?」

 「そんなもん決まってるだろ平民。下僕だよ、げ・ぼ・く!」

 わはははは
 わはははは
 わはははは

 「ヒューイ。お前もこっちに来いよ。コイツらまとめてうぜえだろ」

 「い、いや‥‥俺はこのままでいいよ‥」

 「なんだよヒューイ。下僕の中で王様になりたいのかよ。ウケるわー」

 「ま、まあそんなとこだ‥」

 わはははは
 わはははは
 わはははは







 1階層の入口で。
 前代未聞の野営が始まったんだ。
 もちろん野営宿舎なんて発現してないよ。てか野営宿舎なんか絶対発現してやるもんか!







 「やっぱオーク肉はうまいよなー」

 「下僕は食うなよ。まぁもし残ったら食わしてやってもいいがな。ああ、そんときは『食わせてください旦那さま』って言えよ」

 わはははは
 わはははは
 わはははは

 「ああシスターもどきの女に食わせてもらうかな。あーんとか言ってな」

 わはははは
 わはははは
 わはははは

 「くっ‥」

 「ケモノ女には私も食べてって言わせるか」

 わはははは
 わはははは
 わはははは

 「くっ‥」

 セーラもライラ先輩も唇をかみして‥‥目が真っ赤になっている……。




 ギューーッッ!


 「(ダメだ。アレク隊員落ち着け。我慢しろ!)」

 「はぁはぁはぁ。
 ユーリ隊長‥‥さすがに俺、もう‥‥」



 もうダメだ。


 これ以上こいつらがなんか喋ったら俺は我慢できない。
 それでダンジョンがダメになっても知るもんか。
 先輩に暴力を振るったって処分されるのかもしれない。
 それでも‥‥もう我慢できない。


 ギューーッッ


 ‥‥もう我慢の限界だ。





 俺は両手首をぐるぐると動かし始めた。





 そのときだった。
 脳内で声がしたんだ。























 「しにしにー564、あ~あ~はろはろアレク君‥‥」
 

―――――――――――――――


いつもご覧いただき、ありがとうございます!
「☆」や「いいね」のご評価、フォローをいただけるとモチベーションにつながります。
どうかおひとつ、ポチッとお願いします! 
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

クラスまるごと異世界転移

八神
ファンタジー
二年生に進級してもうすぐ5月になろうとしていたある日。 ソレは突然訪れた。 『君たちに力を授けよう。その力で世界を救うのだ』 そんな自分勝手な事を言うと自称『神』は俺を含めたクラス全員を異世界へと放り込んだ。 …そして俺たちが神に与えられた力とやらは『固有スキル』なるものだった。 どうやらその能力については本人以外には分からないようになっているらしい。 …大した情報を与えられてもいないのに世界を救えと言われても… そんな突然異世界へと送られた高校生達の物語。

実家にガチャが来たそしてダンジョンが出来た ~スキルを沢山獲得してこの世界で最強になるようです~

仮実谷 望
ファンタジー
とあるサイトを眺めていると隠しリンクを踏んでしまう。主人公はそのサイトでガチャを廻してしまうとサイトからガチャが家に来た。突然の不可思議現象に戸惑うがすぐに納得する。そしてガチャから引いたダンジョンの芽がダンジョンになりダンジョンに入ることになる。

忍者ですが何か?

藤城満定
ファンタジー
ダンジョンジョブ『忍者』を選んだ少年探索者が最強と呼ばれるまで。

俺の家に異世界ファンタジーガチャが来た結果→現実世界で最強に ~極大に増えていくスキルの数が膨大になったので現実世界で無双します~

仮実谷 望
ファンタジー
ガチャを廻したいからそんな理由で謎の異世界ガチャを買った主人公はガチャを廻して自分を鍛えて、最強に至る。現実世界で最強になった主人公は難事件やトラブルを解決する。敵の襲来から世界を守るたった一人の最強が誕生した。そしてガチャの真の仕組みに気付く主人公はさらに仲間と共に最強へと至る物語。ダンジョンに挑戦して仲間たちと共に最強へと至る道。 ガチャを廻しまくり次第に世界最強の人物になっていた。 ガチャ好きすぎて書いてしまった。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?

サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。 *この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。 **週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

農民レベル99 天候と大地を操り世界最強

九頭七尾
ファンタジー
【農民】という天職を授かり、憧れていた戦士の夢を断念した少年ルイス。 仕方なく故郷の村で農業に従事し、十二年が経ったある日のこと、新しく就任したばかりの代官が訊ねてきて―― 「何だあの巨大な大根は? 一体どうやって収穫するのだ?」 「片手で抜けますけど? こんな感じで」 「200キロはありそうな大根を片手で……?」 「小麦の方も収穫しますね。えい」 「一帯の小麦が一瞬で刈り取られた!? 何をしたのだ!?」 「手刀で真空波を起こしただけですけど?」 その代官の勧めで、ルイスは冒険者になることに。 日々の農作業(?)を通し、最強の戦士に成長していた彼は、最年長ルーキーとして次々と規格外の戦果を挙げていくのだった。 「これは投擲用大根だ」 「「「投擲用大根???」」」

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

処理中です...