19 / 27
レオンの誘い
しおりを挟む
俺がその内容に耳を傾けているのと同じように、レオンも耳がピンと立ち、そちらに意識が向いているのがわかる。
顔は平然としているけどな。
そうして聞き耳を立てていると、その内容は精霊が本当に居るなら気に入られたいというものだった。
そして精霊が居るらしいと言う場所は……俺の家の近くだった。
そう、家の側の森だ。
その情報を疑っている男も居れば、行ってみたいという男もいる。
ちらりと目だけで窺えば、冒険者ではなさそうだった。
ただの飲み会の肴に出た話だったらしい。
千鳥足の彼らが席を立ち、その姿を消したことを確認してジョッキを傾ければレオンと目が合った。
「今の、本当だと思うか?」
レオンもジョッキを傾けそう聞いてくる。
精霊は尊いものだが、あえて言うならどこにでもいる。
姿を見せないだけだ。
それは見せられる程の力がない下級だったり、見せたら己が危険だと理解していて隠れているからだ。
好奇心旺盛な精霊が姿を見せて捕まるっていうな。
そうじゃなくてもどうにかして姿を捉えて捕まえようとしてる奴もいるのにな。
「レオンも精霊に興味あんの?」
「そりゃあな。なかなか見えることはねぇが愛されることにデメリットはねえだろ」
「デメリットなぁ……」
何とも言えない俺を見て、レオンが器用に片眉を上げた。
「まあ、さっきの奴らが言ってた場所に行ってみるのもありか」
「え、行くの?」
「なんだよ、ダメなのか? あ、お前も一緒に行かねえか?」
レオンの誘いに、どうしようかと悩む。
レオンもブツブツと「あの森まで、片道が……帰りに野営するか、それとも……」とか既に頭の中では行く方向で話が進んでいるらしい。
ここから森まで片道半日だが、野営については心配いらない。
俺の家がそこにあるからな。
それに、あそこの精霊には俺もそろそろ顔を出しておかなければいけない。
これは一種のデメリットだろう。
あの泉の精霊はその場を動かないのだ。
なので、そんな精霊と仲良くなると、土産を強請られる。
これは定期的に、だ。
釣った魚に餌をやらない状態でいると、親密度が下がる。
物でも話でもいいんだが、めんどくさがりの俺には若干デメリット扱いになっている。
まあ、目をキラキラさせて興奮する姿は可愛くていいんだけどな。
このデメリットはこの精霊のクエストを最後まで終えて、契約すれば解決する。
俺はまだ終えていないから、定期的に顔を出さなければいけないのだ。
そう考えると、クエストをクリアしておく方がいいのかもしれない。
「んー、じゃあ行くか。うちに泊まればいいし。ただ、移動は……歩きか馬か。行きは短縮出来ても帰りがなぁ……」
「ん? どういうことだ?」
色々足りない言葉に、レオンが首を傾げる。
さて……どこから話せばいいかな?
ちょっと漏れてしまっているけど、とりあえずポータルは言わずにおくことにした。
ゲームならばパーティーを組めば使えたけど、今はどうかわからないからな。
流石に試さないで使おうとは言えない。
「……お前、そんなとこに家建ててたのか」
「まあな、静かでいい所だぞ」
にひっと笑みを浮かべれば、レオンは何か微妙そうな顔をした。
獣頭でも表情豊かだよなぁ、レオンって。
ここからだと見にくいけど、きっと尻尾もそうなんだろうな。
尻尾振って喜びを表現するレオン……何か可愛いかもしれん。
普段はキリッとしたカッコイイ顔なのに、尻尾ブンブン振るとかギャップ萌えってか。
ただ、怒った時は牙も見えるし、恐怖感はパないだろうけど。
まだそこまで怒らせたことはないから俺にはわからんが……レオンと知り合おうと噂を集めた時には何人かが、怖いって言ってたからな。
確かに口は悪いが、根は優しいんだけどな。
見た目で損してる、ってやつだな。
「っつうか、お前の家に泊まるとか……いいのかよ」
「別にいいよ。一人暮らしだし、部屋はあるし」
見せられない部屋もあるけどな!
特に地下!
……いや、色々あるわ!
ヤベッ、あれとかそれとかこれとかあんじゃん。
一応問題なさそうな見た目であれだけど、やっべ、泊めて大丈夫なのか、俺?
「じゃあ、あれだ。頼むわ」
「あ、ああ」
こっちがあれそれで戸惑うのはあれだけど、なんでレオンまでちょっと落ち着きない感じなんだよ。
変な空気になんだろ!
とは言えない俺はエールをおかわりして、言えない言葉ごと喉に流し込んだ。
微妙な空気も、森に行く算段を話し合ううちに、霧散していた。
いい気分で森に行く算段を話し合い、明日には行くことになった。
スートを呼ぼうかとも思ったんだが、皆の反応を思い出しレオンの馬で二ケツしてもらうことにした。
で、森に行って帰りに俺の家に泊まることに。
精霊への土産どーすっかな。
インベントリになんかあったっけ?
顔は平然としているけどな。
そうして聞き耳を立てていると、その内容は精霊が本当に居るなら気に入られたいというものだった。
そして精霊が居るらしいと言う場所は……俺の家の近くだった。
そう、家の側の森だ。
その情報を疑っている男も居れば、行ってみたいという男もいる。
ちらりと目だけで窺えば、冒険者ではなさそうだった。
ただの飲み会の肴に出た話だったらしい。
千鳥足の彼らが席を立ち、その姿を消したことを確認してジョッキを傾ければレオンと目が合った。
「今の、本当だと思うか?」
レオンもジョッキを傾けそう聞いてくる。
精霊は尊いものだが、あえて言うならどこにでもいる。
姿を見せないだけだ。
それは見せられる程の力がない下級だったり、見せたら己が危険だと理解していて隠れているからだ。
好奇心旺盛な精霊が姿を見せて捕まるっていうな。
そうじゃなくてもどうにかして姿を捉えて捕まえようとしてる奴もいるのにな。
「レオンも精霊に興味あんの?」
「そりゃあな。なかなか見えることはねぇが愛されることにデメリットはねえだろ」
「デメリットなぁ……」
何とも言えない俺を見て、レオンが器用に片眉を上げた。
「まあ、さっきの奴らが言ってた場所に行ってみるのもありか」
「え、行くの?」
「なんだよ、ダメなのか? あ、お前も一緒に行かねえか?」
レオンの誘いに、どうしようかと悩む。
レオンもブツブツと「あの森まで、片道が……帰りに野営するか、それとも……」とか既に頭の中では行く方向で話が進んでいるらしい。
ここから森まで片道半日だが、野営については心配いらない。
俺の家がそこにあるからな。
それに、あそこの精霊には俺もそろそろ顔を出しておかなければいけない。
これは一種のデメリットだろう。
あの泉の精霊はその場を動かないのだ。
なので、そんな精霊と仲良くなると、土産を強請られる。
これは定期的に、だ。
釣った魚に餌をやらない状態でいると、親密度が下がる。
物でも話でもいいんだが、めんどくさがりの俺には若干デメリット扱いになっている。
まあ、目をキラキラさせて興奮する姿は可愛くていいんだけどな。
このデメリットはこの精霊のクエストを最後まで終えて、契約すれば解決する。
俺はまだ終えていないから、定期的に顔を出さなければいけないのだ。
そう考えると、クエストをクリアしておく方がいいのかもしれない。
「んー、じゃあ行くか。うちに泊まればいいし。ただ、移動は……歩きか馬か。行きは短縮出来ても帰りがなぁ……」
「ん? どういうことだ?」
色々足りない言葉に、レオンが首を傾げる。
さて……どこから話せばいいかな?
ちょっと漏れてしまっているけど、とりあえずポータルは言わずにおくことにした。
ゲームならばパーティーを組めば使えたけど、今はどうかわからないからな。
流石に試さないで使おうとは言えない。
「……お前、そんなとこに家建ててたのか」
「まあな、静かでいい所だぞ」
にひっと笑みを浮かべれば、レオンは何か微妙そうな顔をした。
獣頭でも表情豊かだよなぁ、レオンって。
ここからだと見にくいけど、きっと尻尾もそうなんだろうな。
尻尾振って喜びを表現するレオン……何か可愛いかもしれん。
普段はキリッとしたカッコイイ顔なのに、尻尾ブンブン振るとかギャップ萌えってか。
ただ、怒った時は牙も見えるし、恐怖感はパないだろうけど。
まだそこまで怒らせたことはないから俺にはわからんが……レオンと知り合おうと噂を集めた時には何人かが、怖いって言ってたからな。
確かに口は悪いが、根は優しいんだけどな。
見た目で損してる、ってやつだな。
「っつうか、お前の家に泊まるとか……いいのかよ」
「別にいいよ。一人暮らしだし、部屋はあるし」
見せられない部屋もあるけどな!
特に地下!
……いや、色々あるわ!
ヤベッ、あれとかそれとかこれとかあんじゃん。
一応問題なさそうな見た目であれだけど、やっべ、泊めて大丈夫なのか、俺?
「じゃあ、あれだ。頼むわ」
「あ、ああ」
こっちがあれそれで戸惑うのはあれだけど、なんでレオンまでちょっと落ち着きない感じなんだよ。
変な空気になんだろ!
とは言えない俺はエールをおかわりして、言えない言葉ごと喉に流し込んだ。
微妙な空気も、森に行く算段を話し合ううちに、霧散していた。
いい気分で森に行く算段を話し合い、明日には行くことになった。
スートを呼ぼうかとも思ったんだが、皆の反応を思い出しレオンの馬で二ケツしてもらうことにした。
で、森に行って帰りに俺の家に泊まることに。
精霊への土産どーすっかな。
インベントリになんかあったっけ?
0
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
黒騎士団の娼婦
イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。
異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。
頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。
煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。
誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。
「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」
※本作はAIとの共同制作作品です。
※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
なんか、異世界行ったら愛重めの溺愛してくる奴らに囲われた
いに。
恋愛
"佐久良 麗"
これが私の名前。
名前の"麗"(れい)は綺麗に真っ直ぐ育ちますようになんて思いでつけられた、、、らしい。
両親は他界
好きなものも特にない
将来の夢なんてない
好きな人なんてもっといない
本当になにも持っていない。
0(れい)な人間。
これを見越してつけたの?なんてそんなことは言わないがそれ程になにもない人生。
そんな人生だったはずだ。
「ここ、、どこ?」
瞬きをしただけ、ただそれだけで世界が変わってしまった。
_______________....
「レイ、何をしている早くいくぞ」
「れーいちゃん!僕が抱っこしてあげよっか?」
「いや、れいちゃんは俺と手を繋ぐんだもんねー?」
「、、茶番か。あ、おいそこの段差気をつけろ」
えっと……?
なんか気づいたら周り囲まれてるんですけどなにが起こったんだろう?
※ただ主人公が愛でられる物語です
※シリアスたまにあり
※周りめちゃ愛重い溺愛ルート確です
※ど素人作品です、温かい目で見てください
どうぞよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる