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気が付いたら天界
呆然
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とりあえず、主神曰く、俺はここに居ればいいらしい。何かあればその都度勝手に記憶を覗いたり、俺に聞いたりするからって。……物凄く軽いっていうか、なんていうか……本当に暇潰しだなぁ。でも、あれをしろこれをしろ、とかないみたいだし、命の危険みたいなのもないみたいだし、いっかな。
まあ、命の危険って言っても元々死んで魂だった俺を拾ってきたようなものらしいし、まずこの場所──神の居る場所だから天界としておく──には生き物的なものは主神と俺しかいないから、危険も何もあったものじゃない。天界にあるのは草原と四阿しかないそうだ。空も晴天のようで、でも太陽はどこにも見えない。ただ明るいだけだ。主神が創ったのか?と聞いたらそうあるだけだと言われた。そういうものらしい。俺の脳みそじゃよくわからんし、多分詳しく説明されても理解できるとは限らない。それなら、考えるだけ無駄だろう、ってことでそういうものだとして受け止めるしかないよね。
俺のこの体も人間でいう所の肉体はないとのこと。精神体?みたいなものらしい。ただ、意識に引っ張られやすいとか言ってたから、元人間の俺は人間らしい体とか?
しかし、ここで人間という意識を持った俺には問題が起こる。人間ってのは、飯を食うし、寝るんだ。排泄もあるけど。じゃあ主神は?ってなると何もない!寝る必要もないし、飯を食う必要も、排泄もない。ふっしぎぃ。ただ、水的なものは飲む。その水的なものだけ摂取したらそれで終わり、ってことらしい。
今俺は排泄を必要とはしていないけど、意識に引っ張られる?のか腹は減るし眠気もある。しかし、食うものはないし、寝る場所もない。更に付け足すならば夜もない。ずーーーっと晴天のような昼間の明るさなのだ。それでも遮蔽物があれば影が出来ると思うだろ?実はない。これはきつい。だって、休む場所がないのだ。
主神との会話の後、どれだけかの時間をフラフラと草原を歩いていた俺は主神の元へと向かう。主神は四阿の石のベンチにごろりと横になり目を閉じていた。
「あの、主神様」
「……なんだ」
「夜ってないんでしょうか?」
「夜?」
「はい、一日っていうのは昼と夜が交互に来るもの……では、ないんでしょう、か……?」
俺の意識ではそうだけど、此処では違うのだろうか……。
この世界には太陽とか月とか、えーっと、なんだっけ、惑星も自転したりとか公転してたりとか……もしかして、世界っていうか、下界は丸くないんだろうか?それでも、太陽がなかったら植物が出来たら光合成とかどうなるんだろ?それに夜がなかったらいつ休む時間かとかわからないんじゃ?後夜寝ないと体のバランスが崩れるとか何かなかったっけ?……ん?夜に明るい照明とかに当たってると体内時計が狂うんだっけ?
ぐるぐると思いつく限りを考えていると主神が動いた。片手を顎鬚へと伸ばしその束を軽く掴むと根元から毛先へと動かす。数度髭を撫でるとその手をぱっと開いた。キラキラとした何か……あれは髭だ。主神の髭が光を反射させているのか、キラキラと輝き一瞬ぱぁっとその輝きを強くした。その光の強さに片腕で目元を覆い影を作る。
「私は太陽」
「私は月」
ふわふわと空中に浮かぶのはよく似た女性が二人だった。顔立ちはとても良く似ていて、双子なのだとすぐ思い当たった。
太陽と名乗った方は、背中の中ほどまでの柔らかそうに揺れるウェーブのかかったオレンジの髪に、赤味がかった瞳をしている。ニコニコとした笑顔をしていて、どこかこちらもほっこりしてくる。
月と名乗った方は、太陽よりは短いが黒く艶やかなストレートの髪で、瞳は青っぽい紫に見える。落ち着いた微笑みを見せていて、系統は違えどどちらも美女だ。
そして腰布一枚の主神とは違って、二人は豊満……とまではいかなくても、女性らしい曲線を描く体をしっかりと布で隠している。不思議なことに体の線は透けて見えるのに、肝心な場所は透けて見えない。なんか……惜しい!と思うような、これはこれでクるものがあるような……。
クスクスと楽しそうに笑う声が聞こえて、ぽーっと二人の女神を見つめていたことに気付いた俺は慌てて目を泳がせるが、神たちはそんな俺を怒るようなことはなかった。寛大で助かったといえるだろう。
「それではお父様」
「御前を失礼しますわ」
双子神は一度地面へと足をつけると足首までを隠す薄布を摘まんで腰を落とし、更に頭を下げてから再び宙へ浮き上がるとふわーっとどこかへ去って行ってしまった。目の前で起こった一連の出来事を見ていた俺は、ここで漸く神の誕生の瞬間に立ち会ったのだと気付いた。すごい……!もうこの一言に集約される。神話も詳しくはないけれど、これで太陽が昇る時間と月が昇る時間が出来て、昼と夜が出来るようになるのか。
そうなると天界はどうなるのか、ときょろきょろと周囲に目を走らせてみる。……うーん?今のとこ、変わったことは、ない?あ、いや!空に太陽がある!それで、四阿に影が出来てる!さっきまではなかったものが、そこに存在するようになった不思議。
天体としてはどうなんだろうか……。これってもう、現実っていうよりファンタジーだよね。双子神も主神の髭から生まれたし。でも、これで夜も出来るし、俺もゆっくり休むことが出来るようになるな。……あれ、でも俺、家とかない、じゃん……。それに、俺、仕事もしないでただ起きて、寝るだけの存在になっちゃうんじゃ……!?それって人間としてヤバくない!?
「しゅ、主神様、主神様!」
「なんだ、先ほどから騒々しいな」
「俺、じゃない、私に何か仕事はありませんか!?」
慌てる俺を主神は『なんだこいつ』って目で見てきた。だって働かないと俺、ただのごく潰しじゃん!?それはヤバいと思うんですけど!?
まあ、命の危険って言っても元々死んで魂だった俺を拾ってきたようなものらしいし、まずこの場所──神の居る場所だから天界としておく──には生き物的なものは主神と俺しかいないから、危険も何もあったものじゃない。天界にあるのは草原と四阿しかないそうだ。空も晴天のようで、でも太陽はどこにも見えない。ただ明るいだけだ。主神が創ったのか?と聞いたらそうあるだけだと言われた。そういうものらしい。俺の脳みそじゃよくわからんし、多分詳しく説明されても理解できるとは限らない。それなら、考えるだけ無駄だろう、ってことでそういうものだとして受け止めるしかないよね。
俺のこの体も人間でいう所の肉体はないとのこと。精神体?みたいなものらしい。ただ、意識に引っ張られやすいとか言ってたから、元人間の俺は人間らしい体とか?
しかし、ここで人間という意識を持った俺には問題が起こる。人間ってのは、飯を食うし、寝るんだ。排泄もあるけど。じゃあ主神は?ってなると何もない!寝る必要もないし、飯を食う必要も、排泄もない。ふっしぎぃ。ただ、水的なものは飲む。その水的なものだけ摂取したらそれで終わり、ってことらしい。
今俺は排泄を必要とはしていないけど、意識に引っ張られる?のか腹は減るし眠気もある。しかし、食うものはないし、寝る場所もない。更に付け足すならば夜もない。ずーーーっと晴天のような昼間の明るさなのだ。それでも遮蔽物があれば影が出来ると思うだろ?実はない。これはきつい。だって、休む場所がないのだ。
主神との会話の後、どれだけかの時間をフラフラと草原を歩いていた俺は主神の元へと向かう。主神は四阿の石のベンチにごろりと横になり目を閉じていた。
「あの、主神様」
「……なんだ」
「夜ってないんでしょうか?」
「夜?」
「はい、一日っていうのは昼と夜が交互に来るもの……では、ないんでしょう、か……?」
俺の意識ではそうだけど、此処では違うのだろうか……。
この世界には太陽とか月とか、えーっと、なんだっけ、惑星も自転したりとか公転してたりとか……もしかして、世界っていうか、下界は丸くないんだろうか?それでも、太陽がなかったら植物が出来たら光合成とかどうなるんだろ?それに夜がなかったらいつ休む時間かとかわからないんじゃ?後夜寝ないと体のバランスが崩れるとか何かなかったっけ?……ん?夜に明るい照明とかに当たってると体内時計が狂うんだっけ?
ぐるぐると思いつく限りを考えていると主神が動いた。片手を顎鬚へと伸ばしその束を軽く掴むと根元から毛先へと動かす。数度髭を撫でるとその手をぱっと開いた。キラキラとした何か……あれは髭だ。主神の髭が光を反射させているのか、キラキラと輝き一瞬ぱぁっとその輝きを強くした。その光の強さに片腕で目元を覆い影を作る。
「私は太陽」
「私は月」
ふわふわと空中に浮かぶのはよく似た女性が二人だった。顔立ちはとても良く似ていて、双子なのだとすぐ思い当たった。
太陽と名乗った方は、背中の中ほどまでの柔らかそうに揺れるウェーブのかかったオレンジの髪に、赤味がかった瞳をしている。ニコニコとした笑顔をしていて、どこかこちらもほっこりしてくる。
月と名乗った方は、太陽よりは短いが黒く艶やかなストレートの髪で、瞳は青っぽい紫に見える。落ち着いた微笑みを見せていて、系統は違えどどちらも美女だ。
そして腰布一枚の主神とは違って、二人は豊満……とまではいかなくても、女性らしい曲線を描く体をしっかりと布で隠している。不思議なことに体の線は透けて見えるのに、肝心な場所は透けて見えない。なんか……惜しい!と思うような、これはこれでクるものがあるような……。
クスクスと楽しそうに笑う声が聞こえて、ぽーっと二人の女神を見つめていたことに気付いた俺は慌てて目を泳がせるが、神たちはそんな俺を怒るようなことはなかった。寛大で助かったといえるだろう。
「それではお父様」
「御前を失礼しますわ」
双子神は一度地面へと足をつけると足首までを隠す薄布を摘まんで腰を落とし、更に頭を下げてから再び宙へ浮き上がるとふわーっとどこかへ去って行ってしまった。目の前で起こった一連の出来事を見ていた俺は、ここで漸く神の誕生の瞬間に立ち会ったのだと気付いた。すごい……!もうこの一言に集約される。神話も詳しくはないけれど、これで太陽が昇る時間と月が昇る時間が出来て、昼と夜が出来るようになるのか。
そうなると天界はどうなるのか、ときょろきょろと周囲に目を走らせてみる。……うーん?今のとこ、変わったことは、ない?あ、いや!空に太陽がある!それで、四阿に影が出来てる!さっきまではなかったものが、そこに存在するようになった不思議。
天体としてはどうなんだろうか……。これってもう、現実っていうよりファンタジーだよね。双子神も主神の髭から生まれたし。でも、これで夜も出来るし、俺もゆっくり休むことが出来るようになるな。……あれ、でも俺、家とかない、じゃん……。それに、俺、仕事もしないでただ起きて、寝るだけの存在になっちゃうんじゃ……!?それって人間としてヤバくない!?
「しゅ、主神様、主神様!」
「なんだ、先ほどから騒々しいな」
「俺、じゃない、私に何か仕事はありませんか!?」
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