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~残された時間・I never lay down under my distiny~
現れた二人
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倫太郎は雲の中にいた……いや真っ白なモヤのような煙に囲まれて立っていた。
「ここはどこだ?」
彼は周りを見回したが、目に映るのは白いモヤばかりだった。
そこへ黒い影が見えた。
「誰かいるのか?」と思いながら自分一人ではないと思うと少し安堵した。不思議な事にそれほど恐怖心は無かった。
影は更に近づいて来る。
間違いなく人だ……それも二人いると倫太郎は確信した。
「高木倫太郎だね」
「え? はい。そうですけど、あなた達は?」
急に自分の名前を呼ばれて倫太郎は驚いた。と同時に目の前に二人の男の姿がはっきりと見えた。
背の高い西洋人のような二人。歳は自分とそんなに変わらないんじゃないのか?と倫太郎は思った。
勿論この二人はキューピッドとサリエルだった。
「本来なら羽鳥夕子を迎えに来たのだが、君が身代わりになりたいというので今ここにいる」
とキューピッドが答えた。
「え? そうなんですか?」
倫太郎は何度も瞬きを繰り返しながら聞いた。
「そうだ」
「もしかして死神?」
「そんなもんだ。否定はしない」
とキューピッドが答えた。
「骸骨ではないんですね?」
倫太郎は案外落ち着いていた。
「そっちの方が良い?」
今度はサリエルが聞いた。
いつもより声が太い。
「いえ。僕が知っている死神は骸骨マントの大きな鎌を持った姿だったもんで……」
と倫太郎は頭を掻いて言い訳した。
「じゃあ、そうしてあげようか?」
とサリエルが言ったが倫太郎は
「いえ、結構です。今のままで良いです」
と即座に拒否した。
この状況で骸骨姿の死神は見たくなかった。
「君がさっき言った『身代わりになれるものなら、先に逝きたい』という言葉は本音かな?」
キューピッドが聞いた。
「え? あ、はい。本心です。これで夕子の命が助かるなら喜んで僕が死にます」
倫太郎は唐突に聞かれたので一瞬に返事に詰まったが、キューピッドの質問の意味はちゃんと理解していた。
「本当に良いんだな」
とキューピッドは念を押した。
「はい」
「何年か経ったら君の事など忘れてしまうかもしれないよぉ……それでも良いのぉ」
とサリエルがいつもの調子の声で意地悪く聞いた。
「それは気にしません」
迷うことなく倫太郎は答えた。
「ふ~ん。彼女は間違いなく他の男と付き合って結婚するよぉ。見ず知らずの男の子供を産むんだよぉ? それでも良いのぉ?」
とサリエルは更に畳みかけるように意地の悪い質問を繰り返した。
「本当にそうなるんですか?」
「うん。間違いなくそうなるよぉ」
とサリエルは愉快そうに言った。
「そうかぁ……それなら良かった。大丈夫です。逆にそうなってくれた方が僕は嬉しい」
と倫太郎はきっぱりと言った。
「そうなのぉ?」
サリエルは倫太郎の顔を覗き込むように聞いた。
「今の話で夕子が将来幸せな結婚をして、幸せな家庭を築いて家族にも恵まれるという事が分かっただけでもそれで充分です。僕はそのために逝くのなら後悔はしません」
「へぇ……凄いねぇ」
サリエルはつまらなさそうに呟いた。
「君の決心は良く分かった。それじゃあ、行こうか?」
とキューピッドは倫太郎に声を掛けて霧の中へと歩き出した。
「あ、はい」
倫太郎は慌ててキューピッドの後に続きながら
「行くって天国ですか?」
と聞いた。
「さあ……それは向こうに着いたら分かるよ」
振り向きもせずにキューピッドは応えた。
「ここはどこだ?」
彼は周りを見回したが、目に映るのは白いモヤばかりだった。
そこへ黒い影が見えた。
「誰かいるのか?」と思いながら自分一人ではないと思うと少し安堵した。不思議な事にそれほど恐怖心は無かった。
影は更に近づいて来る。
間違いなく人だ……それも二人いると倫太郎は確信した。
「高木倫太郎だね」
「え? はい。そうですけど、あなた達は?」
急に自分の名前を呼ばれて倫太郎は驚いた。と同時に目の前に二人の男の姿がはっきりと見えた。
背の高い西洋人のような二人。歳は自分とそんなに変わらないんじゃないのか?と倫太郎は思った。
勿論この二人はキューピッドとサリエルだった。
「本来なら羽鳥夕子を迎えに来たのだが、君が身代わりになりたいというので今ここにいる」
とキューピッドが答えた。
「え? そうなんですか?」
倫太郎は何度も瞬きを繰り返しながら聞いた。
「そうだ」
「もしかして死神?」
「そんなもんだ。否定はしない」
とキューピッドが答えた。
「骸骨ではないんですね?」
倫太郎は案外落ち着いていた。
「そっちの方が良い?」
今度はサリエルが聞いた。
いつもより声が太い。
「いえ。僕が知っている死神は骸骨マントの大きな鎌を持った姿だったもんで……」
と倫太郎は頭を掻いて言い訳した。
「じゃあ、そうしてあげようか?」
とサリエルが言ったが倫太郎は
「いえ、結構です。今のままで良いです」
と即座に拒否した。
この状況で骸骨姿の死神は見たくなかった。
「君がさっき言った『身代わりになれるものなら、先に逝きたい』という言葉は本音かな?」
キューピッドが聞いた。
「え? あ、はい。本心です。これで夕子の命が助かるなら喜んで僕が死にます」
倫太郎は唐突に聞かれたので一瞬に返事に詰まったが、キューピッドの質問の意味はちゃんと理解していた。
「本当に良いんだな」
とキューピッドは念を押した。
「はい」
「何年か経ったら君の事など忘れてしまうかもしれないよぉ……それでも良いのぉ」
とサリエルがいつもの調子の声で意地悪く聞いた。
「それは気にしません」
迷うことなく倫太郎は答えた。
「ふ~ん。彼女は間違いなく他の男と付き合って結婚するよぉ。見ず知らずの男の子供を産むんだよぉ? それでも良いのぉ?」
とサリエルは更に畳みかけるように意地の悪い質問を繰り返した。
「本当にそうなるんですか?」
「うん。間違いなくそうなるよぉ」
とサリエルは愉快そうに言った。
「そうかぁ……それなら良かった。大丈夫です。逆にそうなってくれた方が僕は嬉しい」
と倫太郎はきっぱりと言った。
「そうなのぉ?」
サリエルは倫太郎の顔を覗き込むように聞いた。
「今の話で夕子が将来幸せな結婚をして、幸せな家庭を築いて家族にも恵まれるという事が分かっただけでもそれで充分です。僕はそのために逝くのなら後悔はしません」
「へぇ……凄いねぇ」
サリエルはつまらなさそうに呟いた。
「君の決心は良く分かった。それじゃあ、行こうか?」
とキューピッドは倫太郎に声を掛けて霧の中へと歩き出した。
「あ、はい」
倫太郎は慌ててキューピッドの後に続きながら
「行くって天国ですか?」
と聞いた。
「さあ……それは向こうに着いたら分かるよ」
振り向きもせずにキューピッドは応えた。
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