皇女殿下の飛空艇~皇女殿下は鬼畜な艇長にしごかれています~

うにおいくら

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第二章 皇女様の飛空艇

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「え? そうなんだ? もう次の仕事が決まっているの? 流石艇長」
とクロードが感心したように笑って言った。

「当たり前だ。仕事は自ら創らないと誰も持ってきてはくれないからな」
とシバも笑いながら答えた。

「街中かぁ……という事はその仕事は魔獣退治ではないよね?」
とクロードはうかがうように聞いた。

「残念ながら今回は魔獣退治ではないな。今回は客人のお出迎えだ」

「そっかぁ……じゃぁ今回はおいら達は出番なしかぁ……」
とクロードは少し落胆したように言った。

「いや、そうではないぞ。お前達にはお客人のお出迎えに行ってもらう予定だ」

「え? そうなの? ふ~ん」
とクロードは何かを察したようで、それ以上詳しく聞こうとはしなかった。

「詳細は後で説明する」

「判った。後で艇長室に集まれば良いんだね?」

「そう言う事だ。後で声を掛ける」
とシバは会話を打ち切った。


 艇長室に戻ったシバは自分のデスクに腰を下ろした。
目の前にはデスクを挟んでアキトとコーネルが立っていた。

「早速だが、昨晩お宅の皇帝陛下から仕事の依頼があったのだが……コーネルも聞いているよな?」
とシバはコーネルの顔を見ながら言った。昨晩宴が終わった後、シバとアキトは皇帝フレデリックの書斎に呼ばれた。
そこで二人はフレデリック三世から直々に依頼を受けていた。

「はい。今朝出立前に陛下から直接」
とコーネルは緊張した面持ちで答えた。

「そうか……どこまで聞いた?」

「『スエンビーア王国からの貴婦人を護れ』と」

「え? それだけ?」
シバは拍子抜けした様な表情で聞き返した。

「はい。後はお二人から聞けと……」

「相変わらずこっちに丸投げする奴だな」
とシバは天を見上げ苦々しげに言った。

「ま、向こうの方が歳上だし、そもそも相手は皇帝陛下だからな」
とアキトが諭すように言った。

「ふん。俺はモルタリアの臣民になったつもりはないんだがな」

「向こうはそう思ってないな」
とアキトが笑って言った。

「はぁ……あのオッサンは昔からああだったからな……本当によくあれで皇帝が務まるよな」
とシバは盛大にため息をついた。彼はとうとう皇帝陛下をオッサン呼ばわりし始めた。

「我が帝がいつものごとくで申し訳ありません」
とコーネルが頭を下げた。コーネルの立場であれば今のシバの暴言は『聞き捨てならない暴言』と咎めなければならないところなのだが、彼らの関係をよく知り過ぎてしまっているので、こういった場合は聞き流す事にしていた。

「良いよ。コーネルが頭を下げる必要はない」
とシバは諦め顔で言った。

「ま、詳しい話はアキトから聞いてくれ」
とシバもアキトへ丸投げした。

「お前もかよ……」
とアキトは呆れたように呟くと

「仕方がない。では私の口から説明しよう。今回の依頼は『スエンビーア王国女王カタリーナの拉致』だ」
とアキトは顔色一つ変えずに言った。

 二十年前スエンビーア王国の前国王が亡くなった。その時カタリーナはまだたった九歳で即位した。そんな幼さで即位してから二十年。彼女が今まで守り通してきた王位を今年、弟のヨハン三世に譲っていた。

「え?」
とコーネルは絶句した。
構わずアキトは話を続けた。

「今は、正確には『元王女』だが、今回の仕事の依頼人はそのカタリーナ元女王本人だ」

「はぁ?」
コーネルは更に状況が理解できなくなっていた。シバの代わりにアキトが説明したが、それは説明になっているとは言い難かった。ただシバとアキトのその態度を見て、この二人が今回の依頼にそれほど乗り気でない事をコーネルは感じていた。

「本当は『拉致』ではなく元女王の『亡命』だよ」
とシバがデスクに肘をついて、手で顎を支えたまま面倒くさそうに補足した。

「亡命? 亡命と言ってもあの国の政情は非常に安定していて、つい最近女王は即位二十年で退位し、王座を弟君に円満にお譲りになられたばかりではありませんか?」
とコーネルはシバに食って掛かった。

「そうだ。その通り」
とシバは無表情で応えた。
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