皇女殿下の飛空艇~皇女殿下は鬼畜な艇長にしごかれています~

うにおいくら

文字の大きさ
25 / 70
第二章 皇女様の飛空艇

同行者

しおりを挟む
「そう言う事だ。それと今回はうちのクルーも同伴させる」

「え? 誰が?」
とクロードは驚いたように顔を上げて聞き返した。

「ダミアンだ」

「え? ダミーですか?」
とクロードは意外そうな声を上げたが、安堵した様な表情も見せていた。

「そうだよ。俺だよ」
と部屋の奥にある応接セットの長いすから身を起こして、甲板長のダミアンが背もたれから顔を覗かせた。

「なんだ。おじさん、そんなところに居たのか?」
とクロードが苦笑いしながら言った。

「おじさん言うな! で、俺がここに居たら悪いか?」

「いや、そんなことはない。大歓迎だ」
とクロードは明るい声で言った。

「ま、そういうことで今回もよろしく頼むよ」
とぼさぼさの頭を掻きながらダミアンは立ち上がった。年の頃は三十を超えたばかりの男だった。この艇ではオージーに次ぐ古株で、飛行艇の操縦から砲撃も含めてこのふねの業務はシバ並みにほとんどこなす事が出来た。なのでアキトに陰で『豆シバ』と呼ばれていたりした。

「ソフィア様はダミアンとは初めてでしたっけ?」
とシバがソフィアに確認すると

「いえ……皆さんとは全てご挨拶はさせてもらっていますので、この前宮廷での宴会でお話しさせていただきました」

「そうでしたか」

「それよりも……あの……」
とソフィアは何かを言いたげにシバを見つめた。

「どうかしましたか?」

 意を決したようにソフィアはシバを見つめて
「あの私だけに敬語を使うのを止めて下さい。なんだか私だけ、よそ者のような気がしてなりません」
と訴えた。

「はぁ……」
とシバは腑抜けた返事を返した。
シバはソフィアが転生者と分かってからも、それを知らないクーロード達の前ではそれなりに言葉遣いをわざわざ変えていた。

「シバ艇長は皇帝である私の父上にも敬語など使いませんよね」
ソフィアもシバが態度を変える理由を分かっていたので、敢えてクロード達の前でシバにお願いする形で訴えた。

「そりゃまぁ……あんなや……いや冒険者仲間でしたからね」
とシバは慌てたような口調で言った。

 それを聞いて

――いま『あんな奴』と言いかけたな――

とアキトは心の中で笑っていた。

「私はその『あんな奴』の娘です。遠慮は要りません。クロード達と同じようにソフィアと呼び捨てしてください」
とソフィアにはシバが言いかけて飲み込んだ言葉がちゃんと届いていた。

――あ、ばれてた……それにしても律儀な皇女様だな……と言うか周りの状況がちゃんと見えて気が付く子だな――

と少し呆れながらもシバは感心していた。

「判りました。今からうちのメンバーと同じ扱いにします。後で『あんな奴』から不敬罪で処罰されないようにお願いします」
とシバは笑いながら言った。

「それは大丈夫です。クロードもお願いね。ソフィアと呼び捨てにしてね」
とソフィアはクロード達に向き直り言った。

「判ったよ。仲間だもんね」
とクロード達は笑顔で応えた。

――若いって良いなぁ――

とその姿を羨まし気に見て居たコーネルはシバと目が合った。
意味深に笑うシバ。心の中を見透かされているような気がしてコーネルは、慌てて視線を逸らして俯いた。

「今回は力業も必要になるかもしれないのでダミーも参加させる。クロード達もダミアンとは何度か経験あるだろう?」

「うん。勿論。でもダミーが入るって事は、大っぴらに迎えに行けないって事だよね?」
とクロードが尋ねた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

断罪現場に遭遇したので悪役令嬢を擁護してみました

ララ
恋愛
3話完結です。 大好きなゲーム世界のモブですらない人に転生した主人公。 それでも直接この目でゲームの世界を見たくてゲームの舞台に留学する。 そこで見たのはまさにゲームの世界。 主人公も攻略対象も悪役令嬢も揃っている。 そしてゲームは終盤へ。 最後のイベントといえば断罪。 悪役令嬢が断罪されてハッピーエンド。 でもおかしいじゃない? このゲームは悪役令嬢が大したこともしていないのに断罪されてしまう。 ゲームとしてなら多少無理のある設定でも楽しめたけど現実でもこうなるとねぇ。 納得いかない。 それなら私が悪役令嬢を擁護してもいいかしら?

酔っぱらったせいで、勇者パーティーを洗脳してしまった

透けてるブランディシュカ
ファンタジー
悪友のせいで酔ったら。(※重複投稿しています)仲仁へび

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 【ご報告】 最終回まで予約投稿済みです。 毎日8時・20時に更新予定です。

処理中です...