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第三章 嘆きの迷宮
十一階層
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十一階層は今までの廃墟から、じめじめとした地下水路のようなところに変わった。
「なんか生臭い嫌な臭いがするね」
とソフィアが顔をしかめながらクロードに言った。
「うん。ここからは『悲嘆の淵』と呼ばれる水路とか洞窟になるんだよ。これが三十階層まで続くんだ」
「え~! このくさいのが?」
と鼻をつまみながらソフィアが聞き返した。
「うん。でも臭いはその内に慣れるよ。くさいと感じるのは今だけだよ」
「そうなんだ。クロード達は三十階層まで到達したんだよね」
「うん。何度も周回しているよ」
「じゃあ、ここから先もよく知っているのね?」
「まあね」
「じゃあ、色々教えてね」
「うん。任せて」
とクロードは自信ありげに自分の胸を軽く叩いた。さっきまでの敗北感はもう消えていた。無意識にソフィアはクロードの自尊心を立ち直らせていたが
――そうかぁ……レベリングにはもってこいの場所なのかな。くさいけど……――
と思考は既に単なるゲーマー頭になっていた。
地下水路をパーティは進んで行った。水路にはくるぶし位までの淀んだ水がゆっくりと流れていた。
「なんか聞こえませんか?」
とマリアがソフィアの耳元で話しかけてきた。
「確かに何か聞こえるわね。何かしら?」
「なんだが女性のすすり泣く声に聞こえます」
とマリアが気味悪そうに言った。
ソフィアは立ち止まり耳を澄まして周りの音を聞き取ろうとした。
「確かに女性のすすり泣く声のようね」
「ソフィア達も気が付いたみたいだね。あれはバンシーの泣き声だよ。本当にこのダンジョンは地味に、気が滅入る事をやってくれるんだよねえ……」
とクロードが諦め顔で言った。
「本当ね。気を引き締めて行かなくちゃ」
そう言うとソフィアは両手で頬を叩いた。
『パシ!』
と乾いた音がした。
「よし! クロード! 前に進もう」
とソフィアが歩き出した。
「ソフィア様、前衛は私にお任せください」
とコーネルが慌てたようにソフィアの前に割って入り歩き出した。
「そうだったわ。コーネル、よろしく」
とソフィアは笑みを浮かべたが目は笑っていなかった。ソフィアはまださっきのコーネルの失言を許していないかもしれない。
更に進むとすすり泣き声がはっきりと分かるぐらい聞こえるようになった。
その時
「ブラウン、居るな?」
とクロードが歩みを緩めて確認した。
「ああ、居る。そろそろ実体化するころだ」
とブラウンもクロードと同じように前方の一点を見つめたまま応えた。
「何かいるの?」
とソフィアが聞くと
「ゴーストだよ。冒険者や騎士のゴーストだよ。こいつらも志半ばで倒れたので想いが強い。それをこのダンジョンは上手く拾い上げてモンスターに仕立て上げているんだよ。それがそろそろお出ましになる頃合いだという事さ」
とクロードがソフィアに教えた。彼ら二人は周辺の状況の探知するというスキルを持っていた。
それからすぐに水路と水路が交わる交差点のようなところにパーティは出た。少し靄の様なものかかっていて、周りが見えづらかった。それでもこの場所が水路ではなくホールの様になっていて、天井も高いということは見て取れた。
「待て」
とクロードが右腕を横に水平に伸ばしてパーティの歩みを止めた。
「どうした?」
隣を歩いていたコーネルが聞いた。
「居る」
クロードはそう言って天井の一点を凝視した。
「なんか生臭い嫌な臭いがするね」
とソフィアが顔をしかめながらクロードに言った。
「うん。ここからは『悲嘆の淵』と呼ばれる水路とか洞窟になるんだよ。これが三十階層まで続くんだ」
「え~! このくさいのが?」
と鼻をつまみながらソフィアが聞き返した。
「うん。でも臭いはその内に慣れるよ。くさいと感じるのは今だけだよ」
「そうなんだ。クロード達は三十階層まで到達したんだよね」
「うん。何度も周回しているよ」
「じゃあ、ここから先もよく知っているのね?」
「まあね」
「じゃあ、色々教えてね」
「うん。任せて」
とクロードは自信ありげに自分の胸を軽く叩いた。さっきまでの敗北感はもう消えていた。無意識にソフィアはクロードの自尊心を立ち直らせていたが
――そうかぁ……レベリングにはもってこいの場所なのかな。くさいけど……――
と思考は既に単なるゲーマー頭になっていた。
地下水路をパーティは進んで行った。水路にはくるぶし位までの淀んだ水がゆっくりと流れていた。
「なんか聞こえませんか?」
とマリアがソフィアの耳元で話しかけてきた。
「確かに何か聞こえるわね。何かしら?」
「なんだが女性のすすり泣く声に聞こえます」
とマリアが気味悪そうに言った。
ソフィアは立ち止まり耳を澄まして周りの音を聞き取ろうとした。
「確かに女性のすすり泣く声のようね」
「ソフィア達も気が付いたみたいだね。あれはバンシーの泣き声だよ。本当にこのダンジョンは地味に、気が滅入る事をやってくれるんだよねえ……」
とクロードが諦め顔で言った。
「本当ね。気を引き締めて行かなくちゃ」
そう言うとソフィアは両手で頬を叩いた。
『パシ!』
と乾いた音がした。
「よし! クロード! 前に進もう」
とソフィアが歩き出した。
「ソフィア様、前衛は私にお任せください」
とコーネルが慌てたようにソフィアの前に割って入り歩き出した。
「そうだったわ。コーネル、よろしく」
とソフィアは笑みを浮かべたが目は笑っていなかった。ソフィアはまださっきのコーネルの失言を許していないかもしれない。
更に進むとすすり泣き声がはっきりと分かるぐらい聞こえるようになった。
その時
「ブラウン、居るな?」
とクロードが歩みを緩めて確認した。
「ああ、居る。そろそろ実体化するころだ」
とブラウンもクロードと同じように前方の一点を見つめたまま応えた。
「何かいるの?」
とソフィアが聞くと
「ゴーストだよ。冒険者や騎士のゴーストだよ。こいつらも志半ばで倒れたので想いが強い。それをこのダンジョンは上手く拾い上げてモンスターに仕立て上げているんだよ。それがそろそろお出ましになる頃合いだという事さ」
とクロードがソフィアに教えた。彼ら二人は周辺の状況の探知するというスキルを持っていた。
それからすぐに水路と水路が交わる交差点のようなところにパーティは出た。少し靄の様なものかかっていて、周りが見えづらかった。それでもこの場所が水路ではなくホールの様になっていて、天井も高いということは見て取れた。
「待て」
とクロードが右腕を横に水平に伸ばしてパーティの歩みを止めた。
「どうした?」
隣を歩いていたコーネルが聞いた。
「居る」
クロードはそう言って天井の一点を凝視した。
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