皇女殿下の飛空艇~皇女殿下は鬼畜な艇長にしごかれています~

うにおいくら

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第三章 嘆きの迷宮

ベースアジト

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 その頃、ベースアジトではシバ、アキト、フレデリック三世とメリッサの四人が久しぶりに酒を酌み交わしていた。カタリーナ姉弟をオリバイエ公国首都フランドワープに送り届けた後、フレデリックは改めてベースアジトへ足を運んだ。

 元々この四人は昔一緒に冒険をした仲間だったが、フレデリックが即位してからは彼がここに来ることは無かった。

「ソフィアは今どの辺りを彷徨っているのだろうか……気になって仕方ない……」
とフレデリックは不安げに言った。

「まだ、そんな事を気にしているのか? ま、安心しろ。順調に行けば、そろそろ二十五階層に到達した頃だな」
とアキトが応えた。

「そうだな。いつもならもう到着していてもおかしくはないな」
とシバもそれに同意した。

「そうなのか? 二十五階層って確かセーフティゾーンだったよな? そんなところまで一日で行けるのか? 十一階層辺りにもセーフティゾーンはあったんじゃないのか?」
とフレデリック三世は心配そうに聞いた。もうダンジョンの記憶はおぼろげにしか残っていなかった。

「そうだよ。今のあいつらなら一日で到達できる階層だよ。あんたもあのダンジョンに何度も潜っただろう? あの時と同じさ」
とアキトが応えた。

「ふぅ……そうだったな。しかし、昔の事はもう忘れた。お前たちと別れて王宮に戻ってからはあそこには潜ってないし……」
とフレデリックはアキトの説明で少しは安心できたようだった。そして記憶を辿るように視線を遠くへ向けた。

「そりゃそうだ。いまだに皇帝様がダンジョンに潜るなんて、何の冗談だってことだな」
とシバが軽口を叩いた。

 その軽口を引き継ぐ様に

「フェリーはたまには潜りたくならないの?」
とメリッサが聞いた。

「ならん事は無いが、そんな事が出来る訳がないだろう。それこそシバの言う通り『何の冗談だ』と笑われる」
とフレデリックは眉間にしわを寄せて言った。本来なら彼の兄が玉座を継いでいたはず。そうであればまだ彼はシバたちと一緒にミカサに乗っていたかもしれない。まだ少し冒険者には未練があるようだった。

「本当にあんたは不自由な生活を送っているんだねぇ……」
とメリッサはフレデリックの境遇に同情するかのように言った。

「ま、あのダンジョン位ではあいつらが危険な目に遭う事は無いだろう。ああ、見えてもクロード達は強い。うちの奴らが鍛えているからな。それにコーネルとマリアもそれなりに強い。何よりもソフィアは相当強い。それはあんたも知っているだろう?」
とシバが言った。

「確かにソフィアは強いが……」
とフレデリックは言いかけて止めた。

「また親馬鹿かぁ? 心配なのは分かるけど……」
とアキトが口を挟んだ。

「いや、それもあるが、ソフィアには経験がない。強いだけでは生きていけないのは、お前らもよく分かっているだろう?」
とフレデリックは反論した。
彼は自分の娘が相当強いとは思っていたが、異世界からの転生者でチートである事は知らない。ただ単に『十七歳の女性にしては相当強い』という認識しかなかった。

「それはそうだが、あのパーティは経験者が揃っている。クロードは生死の分かれ目では間違わない。それはあいつのスキルだ。だから安心しろ」
とシバは慰めた。

口には出さないが

――チート持ちがあんなダンジョンでやられるような事はないって――

とシバは思っていた。

「それもそうだな」
とフレデリックも一応納得したようだった。

 そして思い出したように

「ソフィアの話で思い出した。今回の件でお前達には迷惑を掛けたようだな」
と唐突に頭を下げた。
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