皇女殿下の飛空艇~皇女殿下は鬼畜な艇長にしごかれています~

うにおいくら

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第三章 嘆きの迷宮

灼熱地獄

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「ここからは『絶望の回廊』って呼ばれているんだよ」
とクロードがソフィアに教えた。

「そうなの?」
とソフィアは目の前に広がる回廊とは程遠い灼熱の溶岩に満ち溢れた火口に目をやった。

「これのどこが回廊って言うのよ? どう見ても灼熱地獄じゃないの?」
とフローラが不満げな声を上げた。

 確かにパーティが立っているところからしばらくは回廊と言えなくもないが、ほんの数メートル先にその回廊を遮断するように溶岩が満ちた火口が口を開けて待っていた。

「ダンジョンって本当に不思議だよなぁ?」
と改めて認識したようにブラウンが言葉にした。

「ほんと。どうなっているんだろうねぇ?……」
とクロードは頷いた。

 ダンジョンとは元々城の地下牢をさす言葉だった。それがこの世界に出現する奇妙な洞窟や回廊まで指すようになった。しかしこの世界のダンジョンは、それ自体がまた違う異世界の様であった。ダンジョンと言いながら青空が広がり、草原の真っただ中であったり、森の奥深くだったりと、ひとくくりに地下牢や回廊とかそんな言葉で片付けられるものでは無かった。

 そして今、クロードたちの目の前に広がる景色は回廊とは程遠い、灼熱の溶岩が流れる地下のマグマだまりのような場所だった。

 入口から数メートル回廊を進むと、あとは断崖絶壁の細い道が続いていた。その道から遥か眼下に熱風を噴き上げるマグマが川のように流れていた。

「落ちたら即、死ぬな」

「間違いなく……」
溶岩の河を見下ろしながらブラウンとフローラが呟いた。

 その時、クロードが

「来るぞ!」
と叫んだ。

 岩陰から、サラマンダーが四つ足で火を噴きながら二匹現れた。

「へ? トカゲのお化けもやる気満々じゃねえか?」
とブラウンが剣ではなく槍を身構えた。ここからは物理攻撃よりも魔法攻撃の方が増えそうだと魔導戦士の彼は判断した。魔法攻撃の行使はこの魔石が埋め込まれた槍の方が彼にとっては扱いやすかった。

という事でやる気満々なのはブラウンも同様だった。

 サラマンダーが吐く炎をコーネルが盾で防いでいる隙に、クロードとソフィアが各々目の前にいたサラマンダーを斬りつけた。
『グゲ~!』と叫びながらも一撃ではまだ倒れない。
クロードの後ろからブラウンが飛び出し、アイスランスを繰り出した。この氷の槍は手傷を負ったサラマンダーには致命傷となった。その勢いのまま、ブラウンは一気に残ったもう一方も串刺しにして屠った。

「流石!」
と言いながらクロードがブラウンに向かって拳を突き出すと、ブラウンも同じように拳を合わせた。
いつもの二人の見慣れた光景だった。

「本当に息がぴったり合ってますね」
とソフィアが感心したように二人に声をかけた。

「まあね。このダンジョンは何度も周回しているからねぇ……それなりに……」
とクロードは苦笑いしながら言った。

「でもソフィアとコーネルもこのダンジョンに慣れて来たよね。安心して任せられるよ」
と感心したようにクロードはソフィアとコーネルの顔を見た。

「そうかな? でもクロードにそう言ってもらえると嬉しい」
とソフィアは嬉しそうに破顔した。
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