皇女殿下の飛空艇~皇女殿下は鬼畜な艇長にしごかれています~

うにおいくら

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第三章 嘆きの迷宮

三十階層の攻略

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「フルプレートのリビングアーマーか……」
とコーネルは呟いた。

――力業で来たか……あのまま畦道に居たら薙ぎ払われていたな――

 すぐ隣で身構えているクロードを横目で見ると目が合った。
クロードは親指を立てて笑った。

――流石だな。状況判断の速さは持って生まれたものか? 冒険者の経験と直感を侮る事はできないな――

とコーネルは改めてクロードを見直した。
そして

「今のは直感か?」
とクロードに聞いた。

「うん、そうだよ。魔獣相手に躊躇していたら死ぬ。魔獣が出てきているのに『何が出てくるんだろう?』とのんきに見ている奴は死ぬ、そんなことをして生きていられるのは物語の中だけだ」

「なるほど」

――高だか一年程度の冒険者のセリフとは思えんな――

コーネルはクロードのその自信に満ちた言葉に驚いていた。

「……と艇長が言っていた」
とクロードは言葉を継ぎ足した。

「そ、そうか……」
コーネルはそれ以上何も言わなかった。どうやら納得したようだ。

「どこを見ているバカアーマー!! 俺たちはここだ!!」
とクロードはリビングアーマーを大声で煽った。

 その瞬間、マリアが物理攻撃防御のバフを全員に施した。クロードの声を聞いて向きを変えたリビングアーマーはゆっくりとクロード達に向かって池の中を膝まで水に浸かった状態で歩き出した。
水面に波が立った。

クロード達とはまだ距離があった。

「フローラ!」
とクロードが叫んだ。

「いくよ!」
とフローラはその声に応えると

「ターンアンデッド!!」
と聖属性の魔法を打ち込んだ。

リビングアーマーは見た目にもダメージを受けたのが分かるぐらいグラついていた。

「案外、効くな。これはどうだ!」
とブラウンはファイアボールをお見舞いした。
しかしそれは跳ね返されて、それほど効いたようには見えなかった。

「やっぱりマリアの二番煎じの炎系はダメか?」
と残念そうにブラウンは呟いた。マリアが横目でブラウンを睨んでいた。

「ブラウン! あれにアストラル系のコアは無いみたいだな」
とクロードが指摘した。ブラウンがファイアボールをお見舞いしたのは、このリビングアーマーの属性を確認するためだった。鎧の中にコアや魔物が入っている場合は、通常の魔法攻撃でも効果がある場合も多い。それをブラウンは確認しようとして打ち込み、クロードがそれを見て反応した。決してマリアの二番煎じを狙っただけではなかった。

「そうみたいだな。後はコーネルの馬鹿力に期待!」
とブラウンは笑って言った。

「判った」
そう応えるとコーネルはリビングアーマーが池から上がろうと陸地に足を掛けた瞬間飛び上がり、鎧を一刀両断しようとリビングアーマーの左肩に大剣を振り下ろした。

『ガーン』という金属同士がぶつかるような鈍い音が響いた。リビングアーマーは片膝を地面に着けた。同時に水面が揺れた。

「お、効いているじゃん。動きも遅いし」
とブラウンは楽しそうに言った。あまりにもコーネルの一撃が威力があったため、鎧自体が衝撃を受けきれなかったみたいだ。

 彼らは冷静にこのリビングアーマーの力を把握していった。既に彼らは冷静さにおいてシルバーレベルの冒険者を凌駕していた。

 コーネルはもう一太刀浴びせた。肩当てが吹っ飛んだ。空洞が見えた。鎧の中は予想通り空っぽだった。それを見てコーネルは更に打ち込んだ。しかしこの一撃はある程度のダメージを与えたようだが、期待した程ではなかった。

「大体判ったよ。それにこいつ何も話もしないから、単に鎧だけが暴れまわっている文字通り中身空っぽレベルだわ。もう良いかな?」
とクロードは他のメンバーの顔を見た。全員黙ってうなずいた。

「じゃあ、マリアとどめを頼む」
とクロードはマリアの顔を見た。
マリアは黙ってうなずくと杖を掲げ

「ホーリーライト!」
と叫んだ。
池が聖なる光に満たされた。
眩しさが収まるとリビングアーマーはバラバラに崩れ落ちた。
崩れた鎧の中からブラウンが魔晶石を見つけて拾い上げた。

「思った以上に大きいな」
とブラウンは呟いた。

「まあ、この階層のラスボスみたいだからね」
とフローラがバラバラになった鎧を見ながら言った。

「そうだな。それでもここまでは予想以上に楽勝だったな」
とブラウンは魔晶石をクロードに手渡した。クロードはそれを受け取るとアイテムボックスに仕舞った。

「ああ、何度も周回した甲斐があったな」
とクロードがブラウンの方を軽くたたきながら声をかけた。

「そういう事だな」
とブラウンは笑顔を見せた。

「じゃ、次、行こうか?」
とクロードは扉を押し開いて念願の次の三十一階層へと向かった。
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