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第三章 嘆きの迷宮
三十階層ボスキャラ
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――……だからといって両サイドに分かれて行った場合。タンクは俺しかいない。物理攻撃で攻め込まれたらどうする? もう片方は誰が、それを止められるか? 魔法での防御は間に合わない可能性が高い。クロードなら耐えられるか?――
とコーネルは考えを巡らせていた。
「左側の縁を全員で歩いて行こう」
とクロードがコーネルの思索を断ち切るように言った。クロードはコーネルが熟考する姿を見ていたが、最終的に結論を出し切れていない事を察した。
「何故?」
コーネルは怪訝な表情を浮かべながら問い返した。
「それで大丈夫だからだよ。元々は三人でここを攻略する予定だったんだからね。今は六人もいる。階層の割にはモンスターのレベルが合致していない事もあるけど、こんなんところでダンジョンのラスボスが出てくる事は流石に無いし、とんでもないくらい強いモンスターも出てこないよ。だから様子を見ながらタンクのコーネルを先頭にソフィア、マリア、ブラウン、フローラで、念のため殿はおいらが受け持つよ。ただモンスターが出てくるまではマリアとブラウンの距離を少し空けておいた方が良いかもね」
とクロードは自信ありげに言った。
「確かに物理攻撃ならどちらから攻められても大丈夫だし、この階層では唐突に奇襲されることもないだろう。しかし魔法攻撃にさらされた場合はどうなんだ?」
とコーネルは懸念していた事を口にした。
「う~ん。それはマリアとフローラとブラウンが何とかするでしょ。このパーティには三人の強力な魔導士がいるんだから。それにオイラはここで出てくるのは物理攻撃のような気がする」
「その根拠は? シバ艇長に聞いたとか?」
「それはないよ。単なる勘だよ。聞いたところで参考にしかならないからね」
とクロードは首を振って否定した。既にこのダンジョンは攻略されているが、ダンジョンは生き物のようにその造りも、現れるモンスターも変化する。ある程度の参考にはなるがそれが絶対ではない。変に予備知識があるとそれに引きずられて判断を誤る事もある。クロードはそれを嫌った。何よりも変な前知識が無い方が楽しいとクロードは考えていた。
「ふむ……冒険者の勘と言うやつか……」
「冒険者と言ってもまだまだだけどね」
とクロードは、はにかんだ笑顔を見せた。
コーネルはしばらく考えていたが
「判った。それで行こう」
とうなずいた。
――このパーティのリーダーはクロードだ。それに従おう。それに俺とマリアが何ものにも代えて守らなければならないのはソフィア様だけだ。それさえできればそれで良い――
とコーネルは割り切る事にした。
一行はクロードの提案通りにコーネル・ソフィア・マリアそして少し空けてブラウン・フローラ・クロードと続いた。もちろんマリアが全員に物理攻撃と魔法攻撃の防御バフを施しておいた。
ちょうど真ん中あたりに来たときに池の真ん中あたりの水面が泡立った。
クロード達はそれは何かが浮かんでくる予兆である事を察知した。
その瞬間
「今だ! 一気に扉まで走れ!!」
とクロードが叫んだ。
その言葉を合図に全員が一気に扉まで走りだした。池の何かが完全に姿を見せる前に、全員が駆け抜ける事が出来た。
たどり着いた対岸の扉の前はちょっとした広場になっていた。その上、側道のあぜ道とは違い足場もしっかりしている。もし逃げる時は両サイドに別れて逃げる事が出来る。なんといっても全員が自由にポジションを取れるのがありがたい。
クロードはどんなモンスターなのか確認もせずに先に走り込む事を選んだが、どんなモンスターが現れるかを確認していたら足場の悪いあぜ道で戦う事になる。どちらがリスクが高いかは考えるまでもない。
――クロードが狙っていたのはこれか!――
とコーネルはクロードを見直した。コーネル達は伊達に一年以上冒険者として生き残ってきたわけではなかった。状況判断は的確だった。クロードもそれなりの経験を積んでいたのだった。
扉の前で体勢を整えたクロード達の瞳に映ったのは、池の真ん中で仁王立ちしている全身が鎧で覆われた大柄な騎士の姿だった。
とコーネルは考えを巡らせていた。
「左側の縁を全員で歩いて行こう」
とクロードがコーネルの思索を断ち切るように言った。クロードはコーネルが熟考する姿を見ていたが、最終的に結論を出し切れていない事を察した。
「何故?」
コーネルは怪訝な表情を浮かべながら問い返した。
「それで大丈夫だからだよ。元々は三人でここを攻略する予定だったんだからね。今は六人もいる。階層の割にはモンスターのレベルが合致していない事もあるけど、こんなんところでダンジョンのラスボスが出てくる事は流石に無いし、とんでもないくらい強いモンスターも出てこないよ。だから様子を見ながらタンクのコーネルを先頭にソフィア、マリア、ブラウン、フローラで、念のため殿はおいらが受け持つよ。ただモンスターが出てくるまではマリアとブラウンの距離を少し空けておいた方が良いかもね」
とクロードは自信ありげに言った。
「確かに物理攻撃ならどちらから攻められても大丈夫だし、この階層では唐突に奇襲されることもないだろう。しかし魔法攻撃にさらされた場合はどうなんだ?」
とコーネルは懸念していた事を口にした。
「う~ん。それはマリアとフローラとブラウンが何とかするでしょ。このパーティには三人の強力な魔導士がいるんだから。それにオイラはここで出てくるのは物理攻撃のような気がする」
「その根拠は? シバ艇長に聞いたとか?」
「それはないよ。単なる勘だよ。聞いたところで参考にしかならないからね」
とクロードは首を振って否定した。既にこのダンジョンは攻略されているが、ダンジョンは生き物のようにその造りも、現れるモンスターも変化する。ある程度の参考にはなるがそれが絶対ではない。変に予備知識があるとそれに引きずられて判断を誤る事もある。クロードはそれを嫌った。何よりも変な前知識が無い方が楽しいとクロードは考えていた。
「ふむ……冒険者の勘と言うやつか……」
「冒険者と言ってもまだまだだけどね」
とクロードは、はにかんだ笑顔を見せた。
コーネルはしばらく考えていたが
「判った。それで行こう」
とうなずいた。
――このパーティのリーダーはクロードだ。それに従おう。それに俺とマリアが何ものにも代えて守らなければならないのはソフィア様だけだ。それさえできればそれで良い――
とコーネルは割り切る事にした。
一行はクロードの提案通りにコーネル・ソフィア・マリアそして少し空けてブラウン・フローラ・クロードと続いた。もちろんマリアが全員に物理攻撃と魔法攻撃の防御バフを施しておいた。
ちょうど真ん中あたりに来たときに池の真ん中あたりの水面が泡立った。
クロード達はそれは何かが浮かんでくる予兆である事を察知した。
その瞬間
「今だ! 一気に扉まで走れ!!」
とクロードが叫んだ。
その言葉を合図に全員が一気に扉まで走りだした。池の何かが完全に姿を見せる前に、全員が駆け抜ける事が出来た。
たどり着いた対岸の扉の前はちょっとした広場になっていた。その上、側道のあぜ道とは違い足場もしっかりしている。もし逃げる時は両サイドに別れて逃げる事が出来る。なんといっても全員が自由にポジションを取れるのがありがたい。
クロードはどんなモンスターなのか確認もせずに先に走り込む事を選んだが、どんなモンスターが現れるかを確認していたら足場の悪いあぜ道で戦う事になる。どちらがリスクが高いかは考えるまでもない。
――クロードが狙っていたのはこれか!――
とコーネルはクロードを見直した。コーネル達は伊達に一年以上冒険者として生き残ってきたわけではなかった。状況判断は的確だった。クロードもそれなりの経験を積んでいたのだった。
扉の前で体勢を整えたクロード達の瞳に映ったのは、池の真ん中で仁王立ちしている全身が鎧で覆われた大柄な騎士の姿だった。
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