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第3章 辞表は切り札に
①
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次の日、始業前の営業課のフロアに突然あの子が来た――白井美雪。
「昨日はご挨拶出来なかったので」
それでわざわざ透が来る前に私のとこに挨拶ですか。
名前通りの白い肌に、ナチュラルなメイクを施して、私たち営業とは違って、ベージュが基調の制服をきっちりと身に纏ってる。
外見からは凄く真面目なおとなしそうな女の子に見えるし、私も昨日まではそう思っていたけれど。
この子、相当気が強いと見た。
「わざわざどうも」
「あの、今回はこんな形で御園さんから奪うみたいな形になってしまってすみません。けど、私ずっと宮本さんのことが好きで…あの夜も…ただ傍にいてあげたくて、それだけだったんです」
今、『あの夜』に力こめた?
「傍にいるだけで子ども出来るんだ。すごい生殖能力だね、あなたも宮本も」
「…や、それは…」
もうしっかり妊婦のくせに、今更顔赤らめるなよ。
「向うの親御さんには…? お母さまが特に透さんを溺愛してるから、あなたも大変なんじゃない?」
「あ、いえ…まだお会いしてないんです。透さんが話してくれたみたいですけど、御園さんのことが片付くまではって」
私はまるでごみ処理置き場のダンボール並の扱いだ。
「ふーん」
けど、ここだけの話、透のお母さんは、私のこともすごく気に入ってくれてた。
もちろん、好きな人のお母さんってことで、私も人気のスイーツ、手土産に持っていったり、気に入られるように努力はしていたけれど。
両家顔合わせの日、私の手を取って、「これからは御園さん、じゃなくて、咲良ちゃんて呼んでいいわよね? 義理だけど母子なんだから」そんな風に言ってくれたお母さんに、透はなんて言い訳するんだろ。
復讐するつもりなんだから、慰謝料だって、私はきっちりもらうつもりだし。
「あちらのお母さん、とても厳しくてマナーや作法にうるさい方だから、順序の違った結婚なんて、なかなか受け入れてもらえないかもしれないけど、頑張ってね」
「…もちろんです。私が結婚するのは、お母さんじゃなくて、透さんですから」
私の嫌味に、美雪はびしっと言い返してきた。
うわ、やっぱり私とガチで張れるんじゃん。
私と違うタイプ選んで、ほっとしてるんだとしたら、…当てが外れたかもよ、透。
「昨日はご挨拶出来なかったので」
それでわざわざ透が来る前に私のとこに挨拶ですか。
名前通りの白い肌に、ナチュラルなメイクを施して、私たち営業とは違って、ベージュが基調の制服をきっちりと身に纏ってる。
外見からは凄く真面目なおとなしそうな女の子に見えるし、私も昨日まではそう思っていたけれど。
この子、相当気が強いと見た。
「わざわざどうも」
「あの、今回はこんな形で御園さんから奪うみたいな形になってしまってすみません。けど、私ずっと宮本さんのことが好きで…あの夜も…ただ傍にいてあげたくて、それだけだったんです」
今、『あの夜』に力こめた?
「傍にいるだけで子ども出来るんだ。すごい生殖能力だね、あなたも宮本も」
「…や、それは…」
もうしっかり妊婦のくせに、今更顔赤らめるなよ。
「向うの親御さんには…? お母さまが特に透さんを溺愛してるから、あなたも大変なんじゃない?」
「あ、いえ…まだお会いしてないんです。透さんが話してくれたみたいですけど、御園さんのことが片付くまではって」
私はまるでごみ処理置き場のダンボール並の扱いだ。
「ふーん」
けど、ここだけの話、透のお母さんは、私のこともすごく気に入ってくれてた。
もちろん、好きな人のお母さんってことで、私も人気のスイーツ、手土産に持っていったり、気に入られるように努力はしていたけれど。
両家顔合わせの日、私の手を取って、「これからは御園さん、じゃなくて、咲良ちゃんて呼んでいいわよね? 義理だけど母子なんだから」そんな風に言ってくれたお母さんに、透はなんて言い訳するんだろ。
復讐するつもりなんだから、慰謝料だって、私はきっちりもらうつもりだし。
「あちらのお母さん、とても厳しくてマナーや作法にうるさい方だから、順序の違った結婚なんて、なかなか受け入れてもらえないかもしれないけど、頑張ってね」
「…もちろんです。私が結婚するのは、お母さんじゃなくて、透さんですから」
私の嫌味に、美雪はびしっと言い返してきた。
うわ、やっぱり私とガチで張れるんじゃん。
私と違うタイプ選んで、ほっとしてるんだとしたら、…当てが外れたかもよ、透。
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