8 / 41
第3章 辞表は切り札に
①
しおりを挟む
次の日、始業前の営業課のフロアに突然あの子が来た――白井美雪。
「昨日はご挨拶出来なかったので」
それでわざわざ透が来る前に私のとこに挨拶ですか。
名前通りの白い肌に、ナチュラルなメイクを施して、私たち営業とは違って、ベージュが基調の制服をきっちりと身に纏ってる。
外見からは凄く真面目なおとなしそうな女の子に見えるし、私も昨日まではそう思っていたけれど。
この子、相当気が強いと見た。
「わざわざどうも」
「あの、今回はこんな形で御園さんから奪うみたいな形になってしまってすみません。けど、私ずっと宮本さんのことが好きで…あの夜も…ただ傍にいてあげたくて、それだけだったんです」
今、『あの夜』に力こめた?
「傍にいるだけで子ども出来るんだ。すごい生殖能力だね、あなたも宮本も」
「…や、それは…」
もうしっかり妊婦のくせに、今更顔赤らめるなよ。
「向うの親御さんには…? お母さまが特に透さんを溺愛してるから、あなたも大変なんじゃない?」
「あ、いえ…まだお会いしてないんです。透さんが話してくれたみたいですけど、御園さんのことが片付くまではって」
私はまるでごみ処理置き場のダンボール並の扱いだ。
「ふーん」
けど、ここだけの話、透のお母さんは、私のこともすごく気に入ってくれてた。
もちろん、好きな人のお母さんってことで、私も人気のスイーツ、手土産に持っていったり、気に入られるように努力はしていたけれど。
両家顔合わせの日、私の手を取って、「これからは御園さん、じゃなくて、咲良ちゃんて呼んでいいわよね? 義理だけど母子なんだから」そんな風に言ってくれたお母さんに、透はなんて言い訳するんだろ。
復讐するつもりなんだから、慰謝料だって、私はきっちりもらうつもりだし。
「あちらのお母さん、とても厳しくてマナーや作法にうるさい方だから、順序の違った結婚なんて、なかなか受け入れてもらえないかもしれないけど、頑張ってね」
「…もちろんです。私が結婚するのは、お母さんじゃなくて、透さんですから」
私の嫌味に、美雪はびしっと言い返してきた。
うわ、やっぱり私とガチで張れるんじゃん。
私と違うタイプ選んで、ほっとしてるんだとしたら、…当てが外れたかもよ、透。
「昨日はご挨拶出来なかったので」
それでわざわざ透が来る前に私のとこに挨拶ですか。
名前通りの白い肌に、ナチュラルなメイクを施して、私たち営業とは違って、ベージュが基調の制服をきっちりと身に纏ってる。
外見からは凄く真面目なおとなしそうな女の子に見えるし、私も昨日まではそう思っていたけれど。
この子、相当気が強いと見た。
「わざわざどうも」
「あの、今回はこんな形で御園さんから奪うみたいな形になってしまってすみません。けど、私ずっと宮本さんのことが好きで…あの夜も…ただ傍にいてあげたくて、それだけだったんです」
今、『あの夜』に力こめた?
「傍にいるだけで子ども出来るんだ。すごい生殖能力だね、あなたも宮本も」
「…や、それは…」
もうしっかり妊婦のくせに、今更顔赤らめるなよ。
「向うの親御さんには…? お母さまが特に透さんを溺愛してるから、あなたも大変なんじゃない?」
「あ、いえ…まだお会いしてないんです。透さんが話してくれたみたいですけど、御園さんのことが片付くまではって」
私はまるでごみ処理置き場のダンボール並の扱いだ。
「ふーん」
けど、ここだけの話、透のお母さんは、私のこともすごく気に入ってくれてた。
もちろん、好きな人のお母さんってことで、私も人気のスイーツ、手土産に持っていったり、気に入られるように努力はしていたけれど。
両家顔合わせの日、私の手を取って、「これからは御園さん、じゃなくて、咲良ちゃんて呼んでいいわよね? 義理だけど母子なんだから」そんな風に言ってくれたお母さんに、透はなんて言い訳するんだろ。
復讐するつもりなんだから、慰謝料だって、私はきっちりもらうつもりだし。
「あちらのお母さん、とても厳しくてマナーや作法にうるさい方だから、順序の違った結婚なんて、なかなか受け入れてもらえないかもしれないけど、頑張ってね」
「…もちろんです。私が結婚するのは、お母さんじゃなくて、透さんですから」
私の嫌味に、美雪はびしっと言い返してきた。
うわ、やっぱり私とガチで張れるんじゃん。
私と違うタイプ選んで、ほっとしてるんだとしたら、…当てが外れたかもよ、透。
3
あなたにおすすめの小説
【完】王妃の座を愛人に奪われたので娼婦になって出直します
112
恋愛
伯爵令嬢エレオノールは、皇太子ジョンと結婚した。
三年に及ぶ結婚生活では一度も床を共にせず、ジョンは愛人ココットにうつつを抜かす。
やがて王が亡くなり、ジョンに王冠が回ってくる。
するとエレオノールの王妃は剥奪され、ココットが王妃となる。
王宮からも伯爵家からも追い出されたエレオノールは、娼婦となる道を選ぶ。
教養が足りない、ですって
たくわん
恋愛
侯爵令嬢エリーゼは、公爵家の長男アレクシスとの婚約披露宴で突然婚約破棄される。理由は「教養が足りず、公爵夫人として恥ずかしい」。社交界の人々の嘲笑の中、エリーゼは静かに会場を去る。
地味で無才な私を捨てたことを、どうぞ一生後悔してください。
有賀冬馬
恋愛
「お前のような雑用女、誰にでも代わりはいる」
そう言って私を捨てたディーン様。でも、彼は気づいていなかったのです。公爵家の繁栄を支えていたのは、私の事務作業と薬草の知識だったということに。
追放された辺境の地で、私はようやく自分らしく生きる道を見つけました。無口な辺境伯様に「君がいなければダメだ」と熱烈に求められ、凍っていた心が溶けていく。
やがて王都で居場所をなくし、惨めな姿で私を追いかけてきた元婚約者。
「もう、私の帰る場所はここしかありませんから」
絶望する彼を背に、私は最愛の人と共に歩み出します。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
殿下、妃殿下。貴方がたに言われた通り、前世の怨みを晴らしに来ましたよ
柚木ゆず
恋愛
「そんなに許せないのなら、復讐しに来るといいですわ。来世で」
「その日を楽しみに待っているぞ、はははははははははっ!」
濡れ衣をかけられ婚約者ヴィクトルと共に処刑されてしまった、ミリヤ・アリネス。
やがてミリヤは伯爵家令嬢サーヤとして生まれ変わり、自分達を嵌めた2人への復讐を始めるのでした。
婚約を奪った義妹は王太子妃になりましたが、王子が廃嫡され“廃嫡王子の妻”になりました
鷹 綾
恋愛
「お姉様には、こちらの方がお似合いですわ」
そう言って私の婚約者を奪ったのは、可憐で愛らしい義妹でした。
王子に見初められ、王太子妃となり、誰もが彼女の勝利を疑わなかった――あの日までは。
私は“代わり”の婚約者を押し付けられ、笑いものにされ、社交界の端に追いやられました。
けれど、選ばれなかったことは、終わりではありませんでした。
華やかな王宮。
厳しい王妃許育。
揺らぐ王家の威信。
そして――王子の重大な過ち。
王太子の座は失われ、運命は静かに反転していく。
離縁を望んでも叶わない義妹。
肩書きを失ってなお歩き直す王子。
そして、奪われたはずの私が最後に選び取った人生。
ざまあは、怒鳴り声ではなく、選択の積み重ねで訪れる。
婚約を奪われた姉が、静かに価値を積み上げていく王宮逆転劇。
【完結】お飾りの妻からの挑戦状
おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。
「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」
しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ……
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全18話で完結予定
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる