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#11 懐かしの故郷は彼方
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私は、田舎から出稼ぎにやって来た家族思いの娘に擬態してクィン王国の王都へ戻ってきました。そのため格好もかつての煌びやかなものではなく、つぎはぎだらけの服になっています。
寄合馬車を降りた私はかつての街並みを見渡しました。
外観で変わったところは特にありませんが、そこにエコーズ家の面影はありません。かつて王国一を誇った我が家の旗はエコーズ&ランチマネー商会という名に代わり、通りのあちこちを我が物顔ではためいています。
「不愉快ですね」
できることなら今すぐにでもあの旗を焼きたいところですが、物事には手順というものがあります。それはよして、私は向かうべきところに足を進めることにしました。
場所は知っています。それはもう、言うまでもないくらい。たったの二年で忘れるものではありません。
私は懐かしの我が家へ帰ってきました。
「こんにちわ」
私は門番に声を掛けました。
「なんだ? お前みたいなみすぼらしいガキが来るところじゃないぞ。帰れ」
「……」
私の知らない人です。私がいた頃の門番はもっと優しい人でした。この人間は醜悪な風貌で下卑た目をしています。
「聞いてんのか?」
「あの、私イェス・クルーガーと言います。ここで新しく雇われたメイドです」
「ん? ああ、そういや旦那様がメイドがどうたらこうたら言ってたな。今日がその日だったか」
「紹介状もあります」
私は懐からあらかじめ用意していた紹介状を広げて門番に見せました。
「ふん、くれぐれも旦那様に無礼を働くんじゃねえぞ」
「はい、ありがとうございます」
私が門をくぐろうとしたときでした。
「おいおい、待てよ」
と、門番に呼び止められました。
「何でしょうか?」
「何ってわかんだろ? 通行料だよ」
「通行料?」
どういうことでしょう? 門をくぐるのにお金が必要なんて聞いたことがありません。無視しようとも思いましたが、ここで問題を起こしてしまっては計画がオジャンになる可能性があるのでグッと飲み込み、ポケットからいくらかのお金を取り出しました。
「違う違う。別に俺は本当に通行料が欲しいわけじゃねえ。なあ、わかるだろ?」
門番が私の肩に手を置き、下心を隠そうともせず私を頭から足の先まで舐めるように観察します。
私はあまりの気持ち悪さに身震いしました。
「触りたいんですか?」
「いやいや! そんな直接言うもんじゃねえぜ? もっと恥じらいを持ってくれねえと」
「いいですよ、触っても。でも私、自慢できるような体ではありませんので、もっと人目のつかない場所がいいです」
「おいおいおい、いいのか?」
「ええ、案内してくれます?」
門番は私を門の横にある小屋に案内してくれました。
「じゃあさっそく……」
「――跪け」
私は問答無用に鼻の下を伸ばした醜男へ服従の魔法をかけ体の自由を奪いました。それから魅了の魔法をかけて私の命令に逆らわないようにします。
「今日からあなたは私の下僕です。これからはランチマネー子爵ではなく、私のために働いてください」
「……はい」
まず一人。
「それで? なんでしたっけ? 通行料がどうのこうの言っていましたが」
「めめめ滅相もございません! どうして私が通行料など取りましょうか! どうぞご自由にお通り下さい!」
「ふふ、ありがと」
私は小屋から出ると鼻歌交じりに門扉を叩きました。
寄合馬車を降りた私はかつての街並みを見渡しました。
外観で変わったところは特にありませんが、そこにエコーズ家の面影はありません。かつて王国一を誇った我が家の旗はエコーズ&ランチマネー商会という名に代わり、通りのあちこちを我が物顔ではためいています。
「不愉快ですね」
できることなら今すぐにでもあの旗を焼きたいところですが、物事には手順というものがあります。それはよして、私は向かうべきところに足を進めることにしました。
場所は知っています。それはもう、言うまでもないくらい。たったの二年で忘れるものではありません。
私は懐かしの我が家へ帰ってきました。
「こんにちわ」
私は門番に声を掛けました。
「なんだ? お前みたいなみすぼらしいガキが来るところじゃないぞ。帰れ」
「……」
私の知らない人です。私がいた頃の門番はもっと優しい人でした。この人間は醜悪な風貌で下卑た目をしています。
「聞いてんのか?」
「あの、私イェス・クルーガーと言います。ここで新しく雇われたメイドです」
「ん? ああ、そういや旦那様がメイドがどうたらこうたら言ってたな。今日がその日だったか」
「紹介状もあります」
私は懐からあらかじめ用意していた紹介状を広げて門番に見せました。
「ふん、くれぐれも旦那様に無礼を働くんじゃねえぞ」
「はい、ありがとうございます」
私が門をくぐろうとしたときでした。
「おいおい、待てよ」
と、門番に呼び止められました。
「何でしょうか?」
「何ってわかんだろ? 通行料だよ」
「通行料?」
どういうことでしょう? 門をくぐるのにお金が必要なんて聞いたことがありません。無視しようとも思いましたが、ここで問題を起こしてしまっては計画がオジャンになる可能性があるのでグッと飲み込み、ポケットからいくらかのお金を取り出しました。
「違う違う。別に俺は本当に通行料が欲しいわけじゃねえ。なあ、わかるだろ?」
門番が私の肩に手を置き、下心を隠そうともせず私を頭から足の先まで舐めるように観察します。
私はあまりの気持ち悪さに身震いしました。
「触りたいんですか?」
「いやいや! そんな直接言うもんじゃねえぜ? もっと恥じらいを持ってくれねえと」
「いいですよ、触っても。でも私、自慢できるような体ではありませんので、もっと人目のつかない場所がいいです」
「おいおいおい、いいのか?」
「ええ、案内してくれます?」
門番は私を門の横にある小屋に案内してくれました。
「じゃあさっそく……」
「――跪け」
私は問答無用に鼻の下を伸ばした醜男へ服従の魔法をかけ体の自由を奪いました。それから魅了の魔法をかけて私の命令に逆らわないようにします。
「今日からあなたは私の下僕です。これからはランチマネー子爵ではなく、私のために働いてください」
「……はい」
まず一人。
「それで? なんでしたっけ? 通行料がどうのこうの言っていましたが」
「めめめ滅相もございません! どうして私が通行料など取りましょうか! どうぞご自由にお通り下さい!」
「ふふ、ありがと」
私は小屋から出ると鼻歌交じりに門扉を叩きました。
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