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#12 悪魔とメイド服
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扉を叩くと、中から丸ぶち眼鏡をかけた立派な執事がぬうっと現れたので、私は門番にしたのと同じ説明をしたところ、別棟へ行くように指示されました。
どうやらそこに私の部屋が用意されているようです。執事に礼を述べてから別棟へ行くと、そこはこの屋敷で働く従者たちの住まいとなっており、メイドをはじめとした従者が沢山いました。
ひとまず広間に行くと、一人のメイドが話しかけてきました。
「あら、あなたがイェス・クルーガー?」
「はい。今日からここで働くことになりました。イェス・クルーガーです。これからよろしくお願いします」
「よろしく。話はメイド長から聞いているわ。私はジェシカ・フーチ。あなたの教育係よ」
私たちは握手を交わします。
「その恰好だと旦那様の前には出られないから、着替えに行きましょうか。あなたの部屋に案内するわ。と言っても私との相部屋だから期待はしないでね」
「はい」
私の部屋は別棟三階の一番端の部屋で、ベッドが二つとその間に小さな机が置かれているだけの質素な造りでした。
「そっちがイェスのベッドでこっちが私のね。上に置いてあるのはあなたのメイド服と着替えよ。見た感じあなたは特別背が高いという訳でもなさそうだから、多分サイズは問題ないはずよ」
「ありがとうございます」
「着替えちゃって。その服は……持っていてもいいけど、これから着る機会は多分ないとだけ言っておくわ」
「わかりました」
まあ、それもそうです。私は田舎から出稼ぎにきた娘なわけで、屋敷での生活につぎはぎだらけの服が合うはずがありません。後で処分しておきましょう。
私がメイド服に着替えていると、ジェシカさんが眉間にしわを寄せてこちらを凝視していることに気が付きました。
「ど、どうしましたか?」
もしかして擬態がバレたのでしょうか? でも、この擬態は第六位階まで見える悪魔の目を持っていなければ見破れないはずですし、ただの人間であるジェシカさんが見抜けるはずありません。
「イェスって本当に農民?」
「え? はい、そうですが」
「にしては物凄い肌が綺麗よね」
「……」
失念していました。擬態するなら細部までこだわらない駄目だとマスターに言われたことを思い出しました。
「あー……よく、よく言われるんです。ここに来る途中門番さんにも言われました」
「あのエロ門番め。早速イェスにも目をつけたわね。何かされなかった?」
「いいえ、何もされませんでした」
嘘です。『通行料』を請求されましたし、下僕にしました。
「もし何か変な要求されたら迷わず私に言ってね?」
「わかりました」
上手く話を逸らせたでしょうか?
「話を戻して。どうしてそんなに綺麗なの?」
ダメでした。
「えとえと、私の故郷は温泉が多いところでして、毎日お風呂に入る習慣があって温泉に浸かっていたからでしょうか?」
「もしかして、イェスの故郷ってザクラ地方? あそこの温泉には美肌効果があるって聞いたことがあるわ。いいなあ、私も毎日温泉入りたいなあ」
納得してくれたようです。私はジェシカさんが遠い目をしている内に、新たな興味を生まないよう素早くメイド服に着替えました。
「着替え終わりました」
「どんな感じ?」
「丁度いいサイズです。ありがとうございます」
「やはり私の目に狂いはなかったわね。よく似合ってるわ」
「ありがとうございます」
姿見がないので何とも言えませんが、体を捻ったりして確認した限り問題なさそうです。
「というか、イェスの顔なら旦那様の付き人にもなれそう。悔しいけど、美貌はあなたの勝ちね。でも仕事なら負けないわよ」
「……」
勝手にライバル視されて困惑ですが、それよりも聞き捨てならないことを言いました。今それの話題を掘り下げるのは不自然かもしれないので、もう少ししてから詳しく聞いてみましょう。
「それじゃあ、まずは旦那様に挨拶に行くわよ」
「はい」
いよいよ、
どうやらそこに私の部屋が用意されているようです。執事に礼を述べてから別棟へ行くと、そこはこの屋敷で働く従者たちの住まいとなっており、メイドをはじめとした従者が沢山いました。
ひとまず広間に行くと、一人のメイドが話しかけてきました。
「あら、あなたがイェス・クルーガー?」
「はい。今日からここで働くことになりました。イェス・クルーガーです。これからよろしくお願いします」
「よろしく。話はメイド長から聞いているわ。私はジェシカ・フーチ。あなたの教育係よ」
私たちは握手を交わします。
「その恰好だと旦那様の前には出られないから、着替えに行きましょうか。あなたの部屋に案内するわ。と言っても私との相部屋だから期待はしないでね」
「はい」
私の部屋は別棟三階の一番端の部屋で、ベッドが二つとその間に小さな机が置かれているだけの質素な造りでした。
「そっちがイェスのベッドでこっちが私のね。上に置いてあるのはあなたのメイド服と着替えよ。見た感じあなたは特別背が高いという訳でもなさそうだから、多分サイズは問題ないはずよ」
「ありがとうございます」
「着替えちゃって。その服は……持っていてもいいけど、これから着る機会は多分ないとだけ言っておくわ」
「わかりました」
まあ、それもそうです。私は田舎から出稼ぎにきた娘なわけで、屋敷での生活につぎはぎだらけの服が合うはずがありません。後で処分しておきましょう。
私がメイド服に着替えていると、ジェシカさんが眉間にしわを寄せてこちらを凝視していることに気が付きました。
「ど、どうしましたか?」
もしかして擬態がバレたのでしょうか? でも、この擬態は第六位階まで見える悪魔の目を持っていなければ見破れないはずですし、ただの人間であるジェシカさんが見抜けるはずありません。
「イェスって本当に農民?」
「え? はい、そうですが」
「にしては物凄い肌が綺麗よね」
「……」
失念していました。擬態するなら細部までこだわらない駄目だとマスターに言われたことを思い出しました。
「あー……よく、よく言われるんです。ここに来る途中門番さんにも言われました」
「あのエロ門番め。早速イェスにも目をつけたわね。何かされなかった?」
「いいえ、何もされませんでした」
嘘です。『通行料』を請求されましたし、下僕にしました。
「もし何か変な要求されたら迷わず私に言ってね?」
「わかりました」
上手く話を逸らせたでしょうか?
「話を戻して。どうしてそんなに綺麗なの?」
ダメでした。
「えとえと、私の故郷は温泉が多いところでして、毎日お風呂に入る習慣があって温泉に浸かっていたからでしょうか?」
「もしかして、イェスの故郷ってザクラ地方? あそこの温泉には美肌効果があるって聞いたことがあるわ。いいなあ、私も毎日温泉入りたいなあ」
納得してくれたようです。私はジェシカさんが遠い目をしている内に、新たな興味を生まないよう素早くメイド服に着替えました。
「着替え終わりました」
「どんな感じ?」
「丁度いいサイズです。ありがとうございます」
「やはり私の目に狂いはなかったわね。よく似合ってるわ」
「ありがとうございます」
姿見がないので何とも言えませんが、体を捻ったりして確認した限り問題なさそうです。
「というか、イェスの顔なら旦那様の付き人にもなれそう。悔しいけど、美貌はあなたの勝ちね。でも仕事なら負けないわよ」
「……」
勝手にライバル視されて困惑ですが、それよりも聞き捨てならないことを言いました。今それの話題を掘り下げるのは不自然かもしれないので、もう少ししてから詳しく聞いてみましょう。
「それじゃあ、まずは旦那様に挨拶に行くわよ」
「はい」
いよいよ、
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