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夏休みのお出かけ編 3
ここねの部屋にて 6
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ここねが軽食を作りに行っている最中、ここねの部屋には涼音と菜々美と若菜の三人だけだった。
「ねえ菜々美、歌って」
「急ね」
「あたしも歌ってほしいです」
「涼音ちゃんまで……⁉」
菜々美の歌を生歌唱で聴いてみたい。基本的に涼香にしか興味が無い涼音までそう言うとは。
「でも断るわ。私の歌はここねのためにあるのよ」
胸に手を当てて目を閉じる菜々美である。
「それは……仕方ないか。じゃあ文化祭楽しみにしてるわ」
「歌わないわよ! 私の話聞いてた?」
「柏木菜々美文化祭スペシャルライブ決定!」
「やらないわよ‼」
そうやって二人が言い合っていると、涼音のスマホが着信音を奏でる。
「「涼香?」」
「ですね」
最近は夏美から連絡が来たりするため、全てが涼香からだとは言えなくなってきているのが嫌だった。
とりあえず誰からかと確認すると涼香からだったため、小さくホッと息を吐いた涼音は通話ボタンをタップする。
「なんですか」
『すず……ね……』
今にも命が尽きそうな、そんな声がスピーカーから聞こえてくる。
涼音はそのまま、黙ってなにも言わない。
『なにか言ってくれてもいいではないの』
涼音がなにも返答しなかったことで諦めたのか、いつも通りの涼香の声が聞こえる。
「なんですか」
『理由が無いと電話をしてはダメなの?』
「勉強でもしてればいいんじゃないんですか?」
『意地悪ね、まあいいわ。そこにいる菜々美と若菜に言いたいことがあるの、スピーカーにしなさい』
「えぇ……」
「なんて言ってるの?」
「スピーカーにしろと」
心底面倒そうに息を吐いた涼音が渋々スピーカーをオンにする。これで涼香の声は二人に聞こえる。
「どうしたのよ?」
スピーカーになったことを確認した菜々美が涼香に問いかける。
『菜々美、今日の昼食はここねが作ってくれるサンドイッチかしら?』
「どうしてわかるの……?」
『ちなみに私はスモークサーモンのサンドイッチが好きよ‼』
「え、ここねがサンドイッチ作ってくれてるの?」
『若菜、今は黙りなさい』
「先輩、言いたいことはそれだけですか? 切っていいですか?」
『どうしてそこまで意地悪なことを言えるのかしら。まあいいわ、私はこの休憩時間が終わればまた勉強なのよ』
「大変ですね、早く勉強に戻ってください」
『涼音、愛してるわよ』
「切っていいですか?」
『本題の涼音あるあるを言ってもいいかしら?』
「切りますね」
『涼音は可愛い‼』
通話を終了する涼音であった。
「ねえ菜々美、歌って」
「急ね」
「あたしも歌ってほしいです」
「涼音ちゃんまで……⁉」
菜々美の歌を生歌唱で聴いてみたい。基本的に涼香にしか興味が無い涼音までそう言うとは。
「でも断るわ。私の歌はここねのためにあるのよ」
胸に手を当てて目を閉じる菜々美である。
「それは……仕方ないか。じゃあ文化祭楽しみにしてるわ」
「歌わないわよ! 私の話聞いてた?」
「柏木菜々美文化祭スペシャルライブ決定!」
「やらないわよ‼」
そうやって二人が言い合っていると、涼音のスマホが着信音を奏でる。
「「涼香?」」
「ですね」
最近は夏美から連絡が来たりするため、全てが涼香からだとは言えなくなってきているのが嫌だった。
とりあえず誰からかと確認すると涼香からだったため、小さくホッと息を吐いた涼音は通話ボタンをタップする。
「なんですか」
『すず……ね……』
今にも命が尽きそうな、そんな声がスピーカーから聞こえてくる。
涼音はそのまま、黙ってなにも言わない。
『なにか言ってくれてもいいではないの』
涼音がなにも返答しなかったことで諦めたのか、いつも通りの涼香の声が聞こえる。
「なんですか」
『理由が無いと電話をしてはダメなの?』
「勉強でもしてればいいんじゃないんですか?」
『意地悪ね、まあいいわ。そこにいる菜々美と若菜に言いたいことがあるの、スピーカーにしなさい』
「えぇ……」
「なんて言ってるの?」
「スピーカーにしろと」
心底面倒そうに息を吐いた涼音が渋々スピーカーをオンにする。これで涼香の声は二人に聞こえる。
「どうしたのよ?」
スピーカーになったことを確認した菜々美が涼香に問いかける。
『菜々美、今日の昼食はここねが作ってくれるサンドイッチかしら?』
「どうしてわかるの……?」
『ちなみに私はスモークサーモンのサンドイッチが好きよ‼』
「え、ここねがサンドイッチ作ってくれてるの?」
『若菜、今は黙りなさい』
「先輩、言いたいことはそれだけですか? 切っていいですか?」
『どうしてそこまで意地悪なことを言えるのかしら。まあいいわ、私はこの休憩時間が終わればまた勉強なのよ』
「大変ですね、早く勉強に戻ってください」
『涼音、愛してるわよ』
「切っていいですか?」
『本題の涼音あるあるを言ってもいいかしら?』
「切りますね」
『涼音は可愛い‼』
通話を終了する涼音であった。
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